『HERE’S LEE MORGAN』の6曲目は【BESS】(以下【ベス】)。

 【ベス】は,リー・モーガンの異色作である。とにかく楽しいハード・バップであり,軽快&快調な演奏が素晴らしい。
 リー・モーガンミュート・トランペットクリフォード・ジョーダンテナー・サックスが,ユニゾンありカウンターありの“コール・アンド・レスポンス”! ノリノリのゴキゲンである。

 しかし【ベス】の真の聴き所は,ウィントン・ケリーピアノである。4分4秒からのピアノソロも跳ねているが,フロントをバックに“飛び跳ねている”バッキング・ピアノが全体を演出している。
 例えば,34秒での合いの手があるから,フロントがリラックスできるし,ポール・チェンバースベースアート・ブレイキードラムが裏で繊細なビートを準備できる。要はタメである。

 そう。【ベス】のハイライトとは,前線でリズムをキープするウィントン・ケリーのポスト・プレーのスゴ技にある。ウィントン・ケリーの「いぶし銀のパス捌き」がリー・モーガンクリフォード・ジョーダンの“コール・アンド・レスポンス”の快演を呼び込んでいる。名演である。

 
LEE MORGAN : Trumpet
CLIFFORD JORDAN : Tenor Saxophone
WYNTON KELLY : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
ART BLAKEY : Drums

HERE'S LEE MORGAN-1
here's LEE MORGAN
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION



詩編143編 私を教え,あなたの望むことを行えるようにしてください
キース・ジャレット 『誕生