
ハードでキャッチーな“純日本的”インスト・ポップ・ライターが安藤まさひろならば,泣ける&しみるの“純日本的”インスト・バラード・ライターが和泉宏隆である。
T−スクェアのファンは皆,和泉宏隆による珠玉のバラード作品を,敬愛の念を込めて「和泉バラード」と呼んでいる。
そんな「和泉バラード」好きにとってはたまらない選曲の,和泉宏隆のピアノ・トリオによるリメイク集『A SQUARE SONG BOOK』(以下『ア・スクェア・ソング・ブック』)なのであるのだが…。
「ザ・スクェアからT−スクェアに至る16年間の在籍中に提供した数々の名曲が,いまピアノ・トリオで甦る!」。
あの【OMENS OF LOVE】が【TAKARAJIMA】の美メロがピアノ・トリオ用の新アレンジで奏でられている。要は和泉宏隆自身によるセルフ・カヴァーであるのだが,どうも印象として“しっくり”こないしどうにも“物足りない”。
理由は単純! 和泉宏隆トリオの演奏ももちろん素晴らしいのだが,それ以上にスクェアのあのアレンジがハマッていたのだ!
管理人の頭の中では和泉バラードの極上メロディーが流れ出すと同時に,あの「奇跡の5人」が演奏した最高のアレンジが流れ出してしまう! あのメロディーにはスクェアの音色,スクェアのリズムが最高に合う!
そう。管理人にとって『ア・スクェア・ソング・ブック』は,和泉バラードのメロディーの良さ以上に,本家スクェアのアレンジの良さを実感するためのアルバムである。

特に村上聖の6弦ベースとは思えない“端整で柔らかなベース・ライン”をフューチャーしたピアノ・トリオとしての演奏は素晴らしい。名曲の「産みの親」が自慢のピアノ・トリオで描きだす,T−スクェアとは別世界の和泉バラードが産み出されている。
テイク別の聴き比べはジャズ/フュージョン・マニアの専売特許であるのだが『ア・スクェア・ソング・ブック』は相当に手ごわい。
『ア・スクェア・ソング・ブック』は「スクェアのオリジナル・バージョンと聴き比べてみよう」という“邪念を起こさずに”聴く自信のあるスクェア・ファンだけが楽しめる代物である。
管理人はもう心から楽しむ資格を失ってしまった。『ア・スクェア・ソング・ブック』からスクェアの音楽に親しむことのできるファンは幸福である。
T−スクェアの,そして和泉宏隆の比較的最近ファンになった皆さん。「違いが分かる男」のゴールドブレンド=『ア・スクェア・ソング・ブック』を召し上がれ?
01. The Catcher In The Rye
02. White Mane
03. Cape Light
04. Twilight In Upper West
05. Omens Of Love
06. November Rain
07. Play For You
08. Leave Me Alone
09. Takarajima
10. Enrai
HIROTAKA IZUMI : Piano
KIYOSHI MURAKAMI : 6 Strings Bass
MASAMI ITAGAKI : Drums
(アンドフォレスト・ミュージック/&FOREST MUSIC 2008年発売/NNCJ-1013)
(ライナーノーツ/和泉宏隆)
(ライナーノーツ/和泉宏隆)
使徒の活動2章 ペンテコステの日に聖なる力が注がれる
CHICK COREA ELEKTRIC BAND 『ビニース・ザ・マスク』
コメント一覧 (6)
自分では「オリジナル至上主義」とは無縁だと思っていましたが,オリジナルって超誘惑的なのに改めて気付いたわけで…。
「違いが分かる女」になって私にいろいろと教えてくださ〜い。