STARDUST-1 前作『SARA SMILE』に続くニューヨーク録音による『STARDUST』(以下『スターダスト』)。
 同じニューヨーク録音でも『SARA SMILE』と『スターダスト』のトランペットの音造りは大きく異なる。
 この違いは市原ひかりの目指した着地点の違いであり,全体を広く見渡せるようになったアレンジ・センスの賜物である。

 温かい音色&柔らかいフレージング。一言で言えば“まろやかな”トランペットが,ストレートに飛び込んでくる。
 『スターダスト』の第一印象は「随分と大人びたなぁ」であった。成長というか成熟というか,トランペッターとしての自信と余裕が聴こえてくる。

 手垢のついたジャズ・スタンダードに斬新なアレンジで息を吹きかけるのだが,これが「気負いのない自然体」なのだ。「ねぇ,聞いて&聞いてよ」も「お涙頂戴」も一切なし。
 力まず,ひるまず,おごらずの「地にどっしりと足の着いた」演奏スタイルなのに,なぜか“ふわふわした”浮遊感を伴う市原ひかりトランペット

STARDUST-2 市原ひかりの放つ持つ独特の浮遊感が豪華な共演者の演奏をも包んでいる。心穏やかに心優しくなれる“大人な”市原ひかりジャズ・スタンダード

 3管なのに小品っぽい。トランペットサックスっぽい。『スターダスト』に市原ひかりの“控えめな”でも確かな色気への記録がある。

  01. Blue minor
  02. Stardust
  03. When you wish upon a star (星に願いを)
  04. Skylark
  05. 走馬灯
  06. I'll wait for you (シェルブールの雨傘)
  07. Smile
  08. I remember Clifford
  09. And they lived happily ever after

(ポニー・キャニオン/AFTER BEAT 2007年発売/PCCY-60006)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
(ライナーノーツ/中川ヨウ)

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