CRUSIN'-1 管理人は『CRUSIN’』(以下『クルージン』)を聴いて大西順子の本質を理解できたと思っている。
 大西順子は“オーソドックスなジャズ・ピアニスト”であって革命児ではない。大西順子J-ジャズウイントン・マルサリスであり“新伝承派”と考えてまず間違いない。

 大西順子自身はオリジナルを録音したつもりかもしれないが『クルージン』で強烈に浮かび上がる雰囲気は“新伝承派”の正にそれであった。管理人が『ワウ』で感じた“流行最先端の”スイングだったのも,これで合点がいく。
 そう。『クルージン』は『ワウ』あっての『クルージン』である。『クルージン』は『ワウ』がなければ生まれてこなかったと思う。

 この論理には音楽的な意味合いだけでなく商業的な意味合いも含まれている。なぜなら『クルージン』には『ワウ』が大ヒットしたからこそのビリー・ヒギンズとの共演盤なのだから…。

 ビリー・ヒギンズと言えば(管理人的にはパット・メセニーなのであるが)オーネット・コールマンであろう。
 あのオーネット・コールマン・カルテットの名ドラマー。そして大西順子のアイドルの1人がオーネット・コールマンである。
 そう。大西順子ビリー・ヒギンズの共演は,東芝EMIからの『ワウ』大ヒットのプレゼントであった。

 この豪華共演が当たった! ビリー・ヒギンズドラミングに乗せられて大西順子ジャズに対する「ウルトラ・オーソドックス」な演奏が露わになっている!

CRUSIN'-2 指が重い感じでゴツゴツ来るのはセロニアス・モンクばり。それでいてドライブする辺りはバド・パウエルばり。暗く深く内へと向かう演奏表現はビル・エヴァンスである。
 しかしその中心にはどっしりと大西順子が座している。

 『クルージン』で露わになった,独特の低音の使い方こそ,新伝承派=J-ジャズウイントン・マルサリス大西順子の証しである。

  01. EULOGIA
  02. THE SHEPHERD
  03. SUMMERTIME
  04. CONGENIALITY
  05. MELANCHOLIA
  06. CARAVAN
  07. ROZ
  08. SWITCHIN' IN
  09. BLUE SEVEN

(サムシンエルス/SOMETHIN'ELSE 1993年発売/TOCJ-5555)
(ライナーノーツ/児山紀芳,大西順子)
★1994年度読者人気投票【ジャズマン・オブ・ザ・イヤー】受賞
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