
このCD帯を見て初めて,カシオペアが2つ(野呂一生+向谷実=新生カシオペアと桜井哲夫+神保彰=ジンサク)に内部分裂したことを知った。
正直,大ショックだった。メンバー・チェンジに馴れっこだったT−スクェアならまだしも,鉄壁のバンド・アンサンブルが“売り”だったはずのカシオペアが…。
管理人の青春が終わった瞬間,一つの時代が終わった瞬間であった。…が,まだのりピーととろりんがいるではないか!っと思ったのもつかの間,管理人を癒してくれたのはのりピーでもとろりんでもなくブランニュー・カシオペアの音・音・音!
『THE PARTY − AUDIO STACK』がいい! この燃え立つ熱気は,新バンドの船出だからか? それとも『THE PARTY − VISUAL STACK』のせい? 音と映像の一発録音でダンサー付が,タイトル=『THE PARTY』の所以であろう。
CD帯,正しく『鳴瀬(Bass),日山(Drums)を迎え,野呂,向谷が燃え』ているのだ。
新生カシオペアは,後日,野呂一生よりも向谷実よりも“格上であり先輩でもある”ナルチョの“無法地帯”によって破壊されてしまうのだが,新生カシオペア加入当初のナルチョのベースは,まだ野呂一生からの“抑えが効いていて”最高である!
これは結果論であるが,野呂一生がカシオペアの新ベーシストにナルチョを指名したのは,カシオペアのバンド・カラーを熟慮しての人選ではなく,単純に脱退した桜井哲夫への当て付けとして“鼻を明かすがための”ビッグ・ネームの召集だったのではなかろうか? 野呂一生としては「桜井哲夫,ざまあみろ」の怨念だった?
いや,決め手は鳴瀬喜博の音楽性だったと死ぬまで信じようと思っています。
新加入のもうお一方,新ドラマーの日山正明も,世間で騒がれるほど悪くはない。
ナルチョの影に隠れがちであるが,日山正明特有のノリが,新生カシオペアの成功に貢献している。
とにかく日山さんは“器がデカイ”! ジョーカーであるはずの“世界の神保”の後釜を引き受けたのだ。何という“太っ腹”! ドラミング自体も,どちらかと言えば「軽い」神保彰に対し日山正明は「重い」。ドスン,ズシンと下腹辺りに響いてくる。いわれのない低評価は見直されるべきだろう。
さて『THE PARTY』。その『AUDIO STACK』と『VISUAL STACK』の製作は,世界の猛者たちをしても二の足を踏むであろう,実に凄い企画である。
新生カシオペアの“お披露目”と来れば,それだけで十分インパクトがあるはずなのに,全曲新曲の暗譜及びノーダビングの音と映像の一発録り=スタジオ・ライブ作である。しかもメンバー各自に専用カメラが迫っている。

この難題を新生カシオペアが結束して乗り越えていく。メンバー4人の気力が伝わってくる。この新バンドに確かな手ごたえを感じ,自信を感じ,熱い思いがフツフツと込み上がっているような“歓喜の音”の表情で充満している。
『THE PARTY − AUDIO STACK』は,新生カシオペアによる「カシオペア名義」の襲名盤!
新生カシオペアこそ,野呂一生+向谷実+桜井哲夫+神保彰の4人が築いた“世界のカシオペア”・ブランドを名乗るにふさわしい。バンドのカラーは変わっても“世界のカシオペア”は揺るがない!
01. CYBER ZONE
02. 青い炎
03. ILLUSION
04. NOSTALGIA
05. FLUSH UP
06. STORMY HEARTS
07. 目撃者
08. ROMANCING
09. ときめき
10. GOLDEN ISLAND
11. THE PARTY NIGHT
12. 大世界
(パイオニアLDC/PIONEER LDC 1990年発売/PICL-1006)
(ライナーノーツ/久保剛常,野呂一生,向谷実,鳴瀬喜博,日山正明)
(ライナーノーツ/久保剛常,野呂一生,向谷実,鳴瀬喜博,日山正明)
コメント一覧 (4)
当時はこのメンバーチェンジ、本当に驚きました・・が、セラビーさんと違い、ボクが聴き始めた頃は、既にユーフォニーが出てまして、ジンサク時代よりも、ナルチョの方が、リアルタイムに思い入れが深かったりします(^^)
そんな訳で、この「THE PARTY」は、カシオペア遅咲きのボクにとって、思いで深い一枚なんです。
当時は、映像と音を一発で、しかも全部新曲!という事で、聴いてるこちらも緊張が張りつめてました。
特に映像の方は、ダンサーや観客までもが踊りだすと言う、演出に驚きました。
この頃の内部のゴタゴタを一気に吹っ飛ばすかのようなインパクトのある物を野呂さんは考えたのでしょうね・・きっと
ジンサク脱退の悲しみを音で吹き飛ばした『THE PARTY』は名盤ですね。
ジンサク時代が大好きだったファンとしては新生カシオペアを消化するのに必死でしたが,野呂さんとしては,新生カシオペアの音造りの先の先を見据えていた時期のリリースで,引きずっていないと言うかチャレンジ。インパクトありました。
the partyとfull colorsはジンサク時代のアルバムより好きです。
確かにいつまでナルチョとジンサクのバンド・サウンドを比較するのでしょうね。どちらも受け止められなければ片一方だけでは野呂一生は聴けないと思います。
『the party』と『full colors』。いいアルバムです。未だによく聴くアルバムです。