
『FRESHNESS』以降も,新作が出る度にCDを買い続けてきたが,これはもう習慣というか惰性というか…。つまりは「慣性の法則」?
野呂さんへの印税のプレゼントとして「出たら買う」状態(こんな昔ながらのカシオペア・ファンって多いのでは?)であって,新作CD購入後も,CDラックでインテリアとして飾られる放置状態。1ヵ月後に買っていたことを思い出して聴いてはみるが,すぐにCDラックのインテリアへと逆戻り。
正直『FRESHNESS』以降のカシオペアは真剣に聴き込んでいません。我ながら悲しい。
これ程のダメージを負ってしまったのが,4社目のレコード会社「ポニー・キャニオン」への移籍第一弾『ASIAN DREAMER』のクソのせい。
何がクソかを説明すると,過去の完成された“珠玉の名演”“至極のアレンジ”に手を加えてしまったから。
読者の皆さんも一緒に考えてみましょう。例えば,レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』に,ちょっと見飽きたからといって加筆しますか? 絶対に有り得ないでしょう?
カシオペアが『ASIAN DREAMER』でやったことはそんなことです。もう絶対に有り得ない。もう絶対に許せない。管理人のまぶたの裏に記憶された,青春の美しい思い出のBGMが全て“ぐちゃぐちゃにされた”思いで痛かった。
『ASIAN DREAMER』は,カシオペア“お得意の”焼き直しのセルフ・カヴァーCD。
リメイクのために選ばれた全19曲(【ASIAN DREAMER】の初出はLD『PERFECT LIVE』の初回特典の8cmシングルCD盤)は,カシオペアの結成18年&デビュー16年の歩みを代表する名曲のオンパレードである。
レコード会社移籍も分かる。CDタイトルからして新たなターゲット層が東南アジアなのも分かる。神保彰クラスの熊谷徳明獲得をアピールしたいのも分かる。しかしだからといって,過去の遺産を全て“なきもののように扱うこと”には反対である。
【ASAYAKE】での向谷実の拍外しの早押しは絶対NGの嫌悪感。幾ら演奏し尽くしたといってもこれはない。
【SPACE ROAD】【MIDNIGHT RENDEZVOUS】のスピード感のなさ。熊谷徳明はついて来れるのにナルチョがついて来れないせい?
【EYES OF THE MIND】でのナルチョの歪みが汚なすぎる。
【MISTY LADY】での向谷実の音色は尺八なのか? ETC
さて『ASIAN DREAMER』の音造りの特徴はライブ感。これこそ,新生改め真正カシオペアの「ライブ・バンド宣言」!
事実『ASIAN DREAMER』以降のカシオペアのライブは『ASIAN DREAMER』のアレンジが基本踏襲されている。
『ASIAN DREAMER』におけるカシオペアの「ライブ・バンド宣言」は大歓迎なのだが,それはジンサク時代のカシオペアのお話。この演奏スタイルでは歓迎できない。以前と比べて,緊張感やスピード感が失せてしまっている。
カシオペアが退化したわけではない。敢えて“もったり”演奏しているのだ。
この全てはナルチョのベースが基準となっている。野呂一生,向谷実,熊谷徳明が,ナルチョのベースに音を合わせ,結果,引きずられている。

こんな「鳴瀬喜博・ウィズ・カシオペア」をバンド・サウンドの核に据えて作られた『ASIAN DREAMER』に未来はない。過去の栄光が失われ,現在のスピード感に不満を抱き,カシオペアの未来に失望させられた『ASIAN DREAMER』はクソである。
しかし『ASIAN DREAMER』に星2つは付けられない。【DOMINO LINE】と【LOOKING UP】は,カシオペアの歴史に残る名演である。
この成功の功労者は当然ナルチョ。「鳴瀬喜博・ウィズ・カシオペア」に新生改め真正カシオペアの命運をあずけてみるとしましょうか…。
DISC 1
01. ASAYAKE
02. SPACE ROAD
03. MIDNIGHT RENDEZVOUS
04. DOMINO LINE
05. HOSIZORA
06. BLACK JOKE
07. EYES OF THE MIND
08. NORTH SEA
09. MISTY LADY
10. THE SOUNDGRAPHY
DISC 2
01. LOOKING UP
02. CONJUNCTION
03. TAKE ME
04. DOWN UPBEAT
05. THE CONTINENTAL WAY
06. COAST TO COAST
07. TWILIGHT SOLITUDE
08. SWEARE
09. GALACTIC FUNK
10. ASIAN DREAMER
(ポニー・キャニオン/PONY CANYON 1994年発売/PCCR-00129)
(CD2枚組)
(CD2枚組)
コメント一覧 (2)
なぜなら、セラビーさんがレビューに書いてある理由そのままだからです。
こんな緊張感のないカシオペアは、誰も望んでいないでしょう・・
「あれれ??やっちゃた〜!?」の一枚です。
「こんな緊張感のないカシオペアは、誰も望んでいないでしょう・・
「あれれ??やっちゃた〜!?」の一枚です」に同感です。
でも【DOMINO LINE】と【LOOKING UP】だけは名演なので無闇に捨てられません。残りはバッサリと?