
永遠のライバル関係にありながら“互いを認め心から尊敬し合ってきた”音楽同士たちである。もはやバンドの違いを越えたところで仲間意識を有している。
これは同じ釜の飯を喰ってきた当人たちでないと理解できない。なにせ,この2大巨頭がJ−フュージョンを支えてきた,と言っても過言ではないのだから…。
そんなカシオペアとザ・スクェア初のジョイント・ライブが2003年に実現した。過去に某ジャズ・フェスティバル等で同じステージに立ってきた2大巨頭のオフィシャルな初共演である。
レビューは後述するとして,まずは一言! なんで福岡は来なかったんだよぉ〜。『CASIOPEA VS THE SQUARE』のCD盤&DVD盤両方の記念写真(裏ジャケット)を見るたびに「東京厚生年金会館のバカ野郎〜」と叫びたくなる衝動を感じます。それぐらいに素晴らしい。良い悪いでは計測不能な,これぞ感動のドキュメンタリー作であろう。
『CASIOPEA VS THE SQUARE』にも,当然?2種類ある。DVD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE THE LIVE!!』とCD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE LIVE』である。
管理人はまずはCD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE LIVE』を購入した。DVD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE THE LIVE!!』を“スルー”した事実が期待値の表われ。内容はさておきルーティンで買ったにすぎない。
しかしこれが良かった? 懐古趣味ではない圧巻のバトルは,新フュージョン・バンド「ザ・カシェア」の大誕生!
大編成のカシオペアと言えば『20TH』の悪夢が脳裏をよぎる。きっちりと隙間なくアレンジされたカシオペアの曲を7人で演奏しただけで“とっ散らかり+ごちゃごちゃとしすぎ”のNGワード。しかし「ザ・カシェア」は違った。メンバーの誰かが持ち味を発揮できないような後味の悪さは一切ない。
カシオペアとザ・スクェアの2大巨頭が元来一つのバンドのようにグルーヴしている。とっても分厚くとっても繊細な音の洪水は,総勢10人の重量級ジャズメンの個性が“共鳴する”新しいバンド・サウンドを生み出している。
正確かつフィーリングのある演奏に仕上がった秘訣は,安藤まさひろのリーダーシップ無きリーダーシップと野呂一生のリーダーシップが上手にブレンドされた結果であろう。
さて,CD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE LIVE』は,東京公演1日目のカシオペアとザ・スクェアの共演音源のみの収録盤。
これは「VS」とネーミングされてはいても所謂セッション・バトルではない。火花が飛び散るというよりは10人のジャズメンの個性を浮き立たせるセッションだと思う。
特筆すべきは神保彰と則竹裕之のドラム・セッション。丁々発止のドラム・バトルを披露したかと思えば,次の瞬間,2人のドラムがまるで1セットのドラムに聴こえる完璧ユニゾン。
この完成度の高さは,いつもパートナーを組んでいるナルチョの証言から明らかである。ねっ「SYNCHRONIZED DNA」しているでしょ?
ズバリ,ジョイント・ライブのハイライトは【JAPANESE SOUL BROTHERS】をすかした【FIGHTMAN】でのソロ廻し! 10人のジャズメンの個性あふれる自己主張!
お約束のナルチョとストさんの“ベース放談”はおいといて,和泉宏隆の「エリーゼのために」や伊東たけしの「サイレン」のフレーズにニヤリである。

いえいえ,CD盤が東京公演1日目でDVD盤が東京公演2日目。そう。1日目と2日目のアドリブの違いを聴き分けることができる。う〜ん。負け惜しみかも?
あっ,CD盤はスーパーオーディオの高音質! う〜ん。DVD盤の方が高音質かも?
最後に,管理人はその昔,ジンサク時代のカシオペアに伊東たけしのアルト・サックスが入った最強バンドを妄想していたものだ。
ついに聴いた【ASAYAKE】のはずが,どうにも“やぼったい”。残念。カシオペアに伊東たけしは似合わない。いや,アルト・サックスではなくEWIだったなら? これが本田雅人だったなら? 管理人の妄想はまだまだ続く〜。
01. OMENS OF LOVE
02. LOOKING UP
03. KAPIOLANI
04. JUSTICE
05. ONCE IN A BLUE MOON
06. MIDNIGHT CIRCLE
07. 勇者 (YUH-JA)
08. MID MANHATTAN
09. ECCENTRIC GAMES
10. NAB THAT CHAP!!
11. JAPANESE SOUL BROTHERS
12. FIGHTMAN
13. TRUTH
14. ASAYAKE
(ヴィレッジ/VILLAGE 2004年発売/VRCL-10003)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
(ライナーノーツ/山本美芽)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
(ライナーノーツ/山本美芽)