
『MARBLE』は後々,カシオペアの転換点,として語られることになると思っていたが,次作『SIGNAL』での活動休止は痛い。活動休止で『MARBLE』で造り上げた音世界も一巻の終わり。精力的な努力も水泡と化してしまった。惜しいなぁ〜。
こう書いてはみたが『MARBLE』の凄さが分かってきたのは,つい最近のこと。カシオペアは長い間,管理人にとっては単なるコレクション。『FRESHNESS』以降は,正直,聴き込んではいない。
『MARBLE』も,発売直後に数回聴いただけで放置してきた。今回もカシオペアのCD批評の一環として聴き始めたにすぎない。そんなはずだったのだが…。
違う。これまでとは明らかに違う。このジワジワと来る感覚はパット・メセニー・グループの『ザ・ウェイ・アップ』に近い。そう。『MARBLE』は,5回,10回と聴き込んで初めて味わえる感動の名盤なのだった。
なんと勿体ないことを…。いや,ここに来て巡り合えたのは逆にラッキーかも?
『ザ・ウェイ・アップ』=『MARBLE』=【UNIVERSE】! 【UNIVERSE】=BEGINNING+DEEP SPACE+DISCOVERY+HUMANITY+CHAOS+HIGH SPIRIT+HARMONIZE+BEYNODからなる組曲。ただしこの組曲はそんじょそこらの組曲ではない。ある意味,野呂一生はパット・メセニーを超えてしまっている。理由は計算である。
『MARBLE』はカシオペアの25周年記念盤。そこで野呂一生は演奏時間25分にこだわった。125テンポ,785小節の【UNIVERSE】の誕生である。
「初めに尺ありき」はライヴで既に経験済。1曲25分以上も『20TH』の【FRASH BACK MEDLEY】で既に経験済。そうかっ,野呂一生にとって8部構成の【UNIVERSE】は8曲のメドレーを作るようなもの? なあ〜んだ,じゃないない。“地獄の作曲作業”だったに違いない。

『MARBLE』の収録曲は,野呂一生2曲,向谷実2曲,鳴瀬3曲,神保彰1曲の全8曲。普段は多作の野呂一生の作曲数が極端に少ないのは【UNIVERSE】のせいであろう。
しかし【UNIVERSE】が地獄だったのは野呂一生だけではない。恐怖の7枚スコアを演奏する他のメンバー3人にとっても地獄。噂によるとメンバーから苦情でまくりだったようで…。
でもって,結果は最高の演奏。カシオペアの壮大な宇宙が表現されている。
でもやっぱりコアなファンにしか評価されそうもない? 尺の長さを考えると【UNIVERSE】がベスト・アルバムに収録されることもないでしょうし,ライブでも同様。難解な大作ゆえにこのまま忘れ去られてしまいそうなのが残念だよなぁ。
さて,ここまで『MARBLE』=【UNIVERSE】を語ってきたが,管理人が感じた『MARBLE』の真の凄さはここからである。
“お腹一杯の”【UNIVERSE】に続く,爽快チューンのオンパレード! 【SOUTHERN BREEZE】が流れ出すと,いつものカシオペアが【UNIVERSE】での宇宙旅行から帰還してきたかのような親近感! 『MARBLE』ってもしかしたら,大理石ではなくマーブルチョコレートの意味!? 甘くおいしくパクパクいけてしまう。
この辺も『MAIN GATE』から加速した“ナルチョ・シフト”の総決算的演奏である。
そう。『MARBLE』は,カシオペア25周年のダブル・ネーミング盤! タイトルが大理石とマーブルチョコレートの掛詞であるならば,野呂一生の難解な【UNIVERSE】がA面で,ナルチョ。シフトな【SOUTHERN BREEZE】以降の7曲がB面の2枚組み仕様! だから「力作」なのである。いや〜「力作」である。

待望の名盤『MARBLE』。こんな「力作」なら何年でも待つ。カシオペア・ファンは『SIGNAL』以降,再び待たされている。今回も活動休止明けの名盤な大作の予兆と読んでいる。ねっ,野呂さん?
01. UNIVERSE
Beginning
Deep Space
Discovery
Humanity
Chaos
High Spirit
Harmonize
Beyond
02. SOUTHERN BREEZE
03. Mawari-Michi
04. REMINISCENCE
05. WHEN YOU GROW UP
06. BLESSING
07. 雨ガ来ル
08. SPREAD
(ジェネオン/GENEON 2004年発売/GNCL-1015)
(☆スリップ・ケース仕様)
(☆スリップ・ケース仕様)
コメント
コメント一覧 (24)
大作になってしまうと、どうしても途中で、ダレたりする部分があるのではないかと、不安にもなりましたが、実際そんな心配はなく、一気に聴き終えた爽快感が今も忘れられません。
この曲を札幌でライブで聴いた時も同様で、完全にこの曲の音世界に呑みこまれました。
他の曲もメンバーそれぞれの個性が出ていて、このアルバムはボクにとってかなり重要です♪
残念なのはやはり、次のアルバムで活動が休止になってしまった事で、カシオペアファンとしては、今後どうなるか本当に心配です。
でも、野呂さんのソロ作を聴く限り、縛りから解き放たれ、充実して演奏してる気がするし・・少し複雑な思いがあります。
「大作になってしまうと、どうしても途中で、ダレたりする部分があるのではないかと、不安にもなりましたが、実際そんな心配はなく、一気に聴き終えた爽快感が今も忘れられません」に同感です。
超大作【UNIVERSE】を冷静に聴き込むにつれ衝撃が大きくなっています。力業でもなくインテリジェンスでもない構成力と言うかバランス感覚と言うか…。
今やカシオペア以外のソロ活動に打ち込んでいる野呂さん。私は活動再開へ向けた充電中だと信じています。
セラビーさんの仰るように、この曲は宇宙旅行だと思って聴くと解り安いかもしれません。深宇宙への長い旅、SF映画的ですかね…?自分なりに解釈する以外ないですね。
野呂さんの曲以外(最後の曲もUNIVERSEっぽい)は、安心して聴いていられるポップな良曲だと思います。わざと、対比させたのでしょうね。
神保さん作曲のREMINISCENCE。タイトルは、回想とか懐古という意味なのだそう。私はこの曲に堕ちました。懐古趣味に陥ってメソメソしている(うそ)私の前に現れた不思議な曲。いとも簡単にその術策にはまりました。しばらく酔っ払っていることでしょう。
重みのある、とても上質なアルバムだと思います。このまま埋もれてしまうのは本当に惜しいです。
長文失礼しました。
『MARBLE』。グイグイ喰い込んできますよね。【UNIVERSE】の組曲と他の楽曲との対比。狙っていたのだと思います。
【REMINISCENCE】には私も落ちました。
【UNIVERSE】と【REMINISCENCE】がこのまま埋もれてしまうのは惜しいです。
いつの日かカシオペアが復活するその日まで『MARBLE』『SIGNAL』の絶頂期を風化させないよう大事に聴き込んでいこうと思います。pesceさんとご一緒にのつもりですよっ。
お久しぶりです。お元気でいらっしゃいましたか?
なんと、カシオペアが活動再開するそうですね!再開は有り得ないと思っていたのでかなりびっくりしました。
野呂さんの苦渋の決断でしょうか?でもファンとしては取りあえず期待してしまいますが・・・どうなりますやら。
祝・カシオペアの再始動! 野呂さん,ついに決断しましたか〜。
「カシオペア3rd」のロゴはカッコイイですね。キーボードがオルガンに代わって,こちらもかなりカッコイイと予想します。
でもちょっと今度の再始動は様子見気分です。向谷さん抜きのカシオペアは(特に向谷フリークというわけではありませんが)受け入れ難いです。黄金期のファンとしては燃えにくい? その辺り,pesceさんはどうですか?
結成35周年。長い時間経過と共に人間模様も変化してしまったのは仕方ないことですかね…
とにかくカシオペアの名前を冠するわけですから、リーダー野呂さんの采配を信じたいです。
今まで語られなかった活動休止の主因は,野呂さんと向谷さんの不仲にあったんでしょうか? 噂では野呂・バーサス・ナルチョが蔓延していましたのでビックリ。真実は奇なり〜。
十字架を背負っての再スタート? 理由はともかくカシオペアの名前を冠する意味は重いです。野呂さん頑張って〜!
う〜ん。向谷さんがぶちまけたのですか…。
野呂さんは頑固な性格の人ですからオリジナル・メンバーであってもバンド優先でないとダメなのでしょうね(←すみません。USTの内容も知らずに憶測で書きましたがハズレていますか?)
でもこうなってしまった以上,カシオペア・ファンとしては大高清美さんを応援するしかないですね。とりあえず「東京JAZZ2012」に行こうと思います。チケット取れるかなぁ。
東京JAZZ2012に行かれるようでしたらまたご感想を聞かせてくださいね。
向谷さんの副業に対する野呂さんの見方はジンサク脱退の時と似ていますね。カシオペアは野呂さん一人のバンドじゃないと思っていますが伝わらない?
向谷さんの「カシオペアへの未練」はこれから増幅することでしょう。満員の観衆を前にして司会屋魂が疼かないわけはないと思います。
「東京JAZZ2012」は小曽根ファンよりもカシオペア・ファンで占拠されそうです。
書き込みがくどくなりますがどうしても聞きたくなってしまって…
もし、神櫻向谷で活動再開するとすればどんな風になると思われますか?
おっと,考えてもいませんでしたが,もし神櫻向谷で活動再開するとすれば,軽快でシャープなユニゾン大会になると思いますが,スクェアの『ワンダフル・デイズ』のようなアダルトな楽曲が揃うのでは,と思いました。
個人的には『マーブル』『シグナル』のラスト2作の出来が素晴らしかったので,あの路線踏襲の発展系であれば,神櫻向谷でなくとも満足です。
次はpesceさんの考える「神櫻向谷で活動再開」について教えてくださいね。GW楽しみましょうねっ。
再結成の発表から日が経つにつれなんだか悲しくなってしまって、やはりあの4人が集まって最後の光輝を放ってもらいたかったとただ思っています。詮無いことですが……
「再結成の発表から日が経つにつれなんだか悲しくなってしまって、やはりあの4人が集まって最後の光輝を放ってもらいたかったとただ思っています。詮無いことですが……」。
同感です。もう何で私の気持ちが分かるんですか?
自分にとってジンサク時代のカシオペアとナルチョ時代のカシオペアが別物であるように,カシオペアとカシオペア3rdは違うんです。
勿論,期待はしていますけど,気持ちの中で絶対に超えない音であることは分かっていますから。なので【朝焼け】は許すとして【ルッキング・アップ】【スペース・ロード】【アイズ・オブ・マインド】なんかは「アレンジ変えないでほしい」「そっとしてほしい」と願います。
多分,カシオペア3rdの新作が届くたびに,反動で昔のCDを聴いて懐かしむ日々を過ごしたりして。喜びと憤りが交差して胸中複雑。乱文をお許しください。
復活の日を待ちに待ってました。
桜井復帰かと思いきや、なんと
向谷脱退というビックリ。
新メンバーにも期待大です。
ハルボンさんもカシオペア復活おめでとうございます。
私はナルチョも好きなのですが,本音では桜井さんに復帰してほしかったですし,向谷さんにも参加してほしかったので,カシオペア3rdに胸中揺れ動いています。
この不安なモヤモヤを新メンバーに吹き飛ばしてほしい。そんな快演を期待している毎日です。
ハルボンさんの心は快晴でしょうか? もしそうならうらやましく思います。
快晴?微妙ですね(笑)
私の場合、野向桜神こそがカシオペアだと
信じています。あの同世代の4人でだから
こそ出来るサウンドだと。ナルチョもいいですが、ライブでのオンステージは、カシオペアの趣向ではないかなと。ここのタグでは
ないので申し訳ありませんが、80年代の
カシオペアファンでなので、ミントセッションのDVDのHALLEで、あの4人が向かい合って
笑顔で演奏している姿に涙が出ました(泣)
野呂さんもいつになくノリが良かったと
感じましたが・・・・。
お互いに曇り空なのでしょうね。でも光が射しそうな気配も漂っていると思っています。
私はどんなに探してももう一生手に入らないものを探していることは自覚できています。『ミントセッション』は未聴ですが,FM公開録音で4人が円になって演奏している様子を見ました。その時は神保さんだけが顔を背けながら叩いている様子でしたが,和気藹々としたあのバンドの雰囲気が音に表われていると思いました。
もう2度とあの時間あの空気が返ってこないことは分かっていますが,どうしてもカシオペアにはあの雰囲気の演奏を重ね合わせて批評してしまいます。
復活ライブまでには泣くだけ泣いてカシオペア3rdを応援したいと思います。
野呂さん,神保さんだけは手放しそうにありませんね。野呂さんの頭の中では常にドラムは神保さんが鳴らしているのでしょう。イメージを形にするなら神保さんオンリー・ロンリーなのでカシオペア3rdもまとまったバンド・サウンドになることでしょう。
「カシオペアは拘束がきついので向谷氏の副業との兼合いが難しかったのでしょうね、きっと」。きっとではなくそのようですよ。向谷さんが激白。野呂搾り。
そうですね、セラビーさんの仰るとおりナルチョ時代のカシオペアはそれ以前とは別物ですね。それにこの時代にもいい作品は多々あります。そういう意味では私も全面否定はしていません。最近久しぶりに聴いたこのMARBLEもそうですね。UNIVERSEは野呂節のメドレーで聴いていて妙な安心感。で、各曲のメロディも野呂さんらしいが、つなぎは相変わらず上手いなぁと感心納得したものです。他のメンバー作曲も入っていてお得感なCDでした。
UNIVERSEはナルチョの個性がキラリと光っていますね。Keyの奥深さは、まぁ野呂さんの譜面指示もあるのでしょうが、向谷のセンスもさすがです。何でもこのタグの上の方で不仲説が出ていましたけど、本当だとしたら残念ですが、個性の強い2人ですから仕方のないことです。
でもメンバーチェンジもバンドのカラーを聴き比べる上ではリスナーとしては楽しみでもあります。
UNIVERSE。聴き直しました。やはり力作ですね。
野呂節に負けずにナルチョも神保さんも自分の個性出していると思いますよ。そうして向谷さんです。このキーボードの感じこそがカシオペアを感じますね。
櫻井さんとナルチョは別物ですが,向谷さんと大高さんも別物ですね。野呂さんの場合,メンバーの個性をイメージしてアレンジしますので,UNIVERSEも大高清美が演ると違和感があることと思いますが,それもそれで聴いてみたいような。バンドって本当に行き物なのですね!