『FAIRY TALE』の3曲目は【THE ISLAND】(以下【ジ・アイランド】)。


 イヴァン・リンスの代表作である【ジ・アイランド】は“垢抜け”したブラジル音楽! 土臭さを残しつつも贅肉?を大胆に削ぎ落とし,実にシャープなリズムの上を“極上”メロディ・ラインが優雅に駆け抜けていく。

 【ジ・アイランド】成功の立役者こそ,ジャズ以外にもマルチな活躍を見せているピーター・アースキンドラミングであろう。細かにリズムを刻むのではなく,波のような大きなうねりの中でリズムを打つ! もっとも彼特有の細かなパーカッションによる“味付け”も聴き所の一つである。  

 このシャープ,かつ大きなリズムの波に乗った木住野佳子ピアノが,自然と盛り上がり自然と消え去っていく…。波打ち際には,美しいメロディ・ラインの“心地良さ”だけが残される。
 この美しいピアノ・タッチに,木住野佳子の【ジ・アイランド】に対する愛情を感じてしまう。

 3分39秒からのマーク・ジョンソンアドリブは,力の入った熱いロング・ソロ。まるで自分の感情をウッド・ベースに叩きつけているかのようである。こちらも表現手法は異なるが【ジ・アイランド】への愛情表現の“発露”であろう。

YOSHIKO KISHINO : Piano
MARK JOHNSON : Bass
PETER ERSKIN : Drums, Percussion