R・E・S・O・R・T-1 バンド結成30年。安藤まさひろ伊東たけしを別にしてスクェアには重要人物が3人いる。
 ベース田中豊雪キーボード和泉宏隆アルト・サックス本田雅人である。

 このうち田中豊雪は『マジック』で,本田雅人は『ニュース』で,それぞれ“鮮烈のデビュー”を飾ったと言っていい。
 一方,和泉宏隆は『脚線美の誘惑』でスクェアへ加入したのだが『脚線美の誘惑』の一押しが久米大作の【チェンジ・ユア・マインド】だったこともあり,どうしても久米大作の“後釜兼代役”を強く意識させられたものだ。

 まぁ,プレッシャーという点では,ザ・スクェアの顔=伊東たけしの後釜でる本田雅人の比ではない。しかし本田雅人アルト・サックスである。インパクトあるフロント楽器の存在感は『ニュース』(もっと言えば1曲目の【MEGALITH】)だけで一発OK。
 その点,キーボード・プレイヤーとして裏方でスクェアを支え続けた和泉宏隆の“才能の爆発”を知らしめるには10TH『R・E・S・O・R・T』(以下『リゾート』)を待たねばならない。『リゾート』で起きた“奇跡”は和泉宏隆“抜き”に語ることなどできやしない!

 『リゾート』は【ハワイへ行きたい】とタイトルに念を込める程に入れ込んでいた,安藤まさひろ“念願の”ハワイ録音にしてザ・スクェア初の海外録音作。
 ファンの間でよく語られるのが『リゾート』=ハワイの音だが,管理的には『リゾート』=フィーチャリング和泉宏隆の音である。

 マイルス・バンドの音は,その全てがマイルス・デイビスであるように『リゾート』の音は,その全てが和泉宏隆である。和泉宏隆のハイセンスなアレンジ能力が炸裂しまくっている。

 この『リゾート』における“スクェア和泉化”はスクェアの歴史における重要な転換点である。
 音楽監督=和泉宏隆のサウンドをベースに,安藤まさひろ伊東たけし田中豊雪長谷部徹の4人が“スクェア・サウンド”へと着色していく! しかも和泉宏隆のアイディア以上の鮮やかさで着色していく! これぞ,歌えるメロディを緻密にアレンジされた音使いで広げるオーケストレーション!

 そう。コンポーザーが誰であろうとバンド全員が“スクェア・サウンド”のイメージを共有しコンポーザーの意図した以上のカラーを施す! これぞ『トゥルース』へと通ずるザ・スクェア“勝利の方程式”の完成形である。
 『リゾート』で姿を現した,フィーチャリング和泉宏隆の“スクェア・サウンド”は正直“神がかっていた”としか表現できない。ブレイクスルーしたイマジネーションの世界が『リゾート』に色濃い。

 『リゾート』における“スクェア和泉化”は楽曲面でも大きな成果をもたらした。そう。スクェアの2枚看板=“ロックな安藤メロディ”と“和泉バラード”の確立である。

 『リゾート』のオープニングが【オーメンズ・オブ・ラヴ】でラストが“和泉バラード”名曲中の名曲【フォーゴトゥン・サガ】の和泉宏隆作。中盤を締めるが【チャンス】と“ロックな安藤メロディ”の【プライム】が安藤まさひろ作。
 この“両雄揃い踏み”が,安藤まさひろをよりロックへと向かわせ和泉宏隆をよりバラードへと向かわせる。この分業制(専業制ではない!)の確立が『トゥルース』での【トゥルース】と【トワイライト・イン・アッパー・ウェスト】のドロップ・アウトへの一本道。

 『リゾート』が“これ以外には考えられない完璧な出来のシンセサイザー”でイントロが始まる“黄金パターン”の走り。そう。和泉宏隆ザ・スクェアの“最初の奇跡”の記録である。

PS 有名リゾート地で聴くスクェアの『リゾート』は最高なんだろうなぁ。 ← 未だ海外リゾート未体験。御宿や三浦海岸で聞いた『リゾート』はサザンや山下達郎よりも良かったです。待ってろよ,青い海,青い空,白い砂浜とマリン・スポーツ。絶対ハワイで聞いてやる〜。絶対モルディブで聞いてやる〜。ああ〜。

  01. OMENS OF LOVE
  02. FEEL ALRIGHT
  03. CHANCES
  04. STIMULATOR
  05. WE'LL NEVER HAVE A TROUBLE
  06. IN THE GRID
  07. MERYLU
  08. PRIME
  09. FORGOTTEN SAGA

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