
見てよし&聴いてよし。まるで採寸して仕立て上げられたスーツのような完成度。イタリアはカプリ島録音〜アメリカはLAミックスで“ピカピカ”の音〜ジャケット写真はエジプト撮影と3重の“ドレスアップ”を施された『B.C. A.D.(BEFORE CHRIST & ANNO DOMINI)』こそ“音のオートクチュール”である。
『B.C. A.D.(BEFORE CHRIST & ANNO DOMINI)』も,T−スクェアの定番=夏CDであるが『B.C. A.D.(BEFORE CHRIST & ANNO DOMINI)』の夏は,T−スクェアの定番=爽やかな風が止んでいる。
イタリア録音のはずなのにエジプトの強烈な陽射しが照りつけている。灼熱の恋に身を焦がされる。そう。メンバー全員の作曲のバランス素晴らしく,緩急を織り交ぜながら真昼の太陽と化していく。
前半は【勇者(YUH−JA)】でのスティール・ドラムや【PIOGGIA DE CAPRI】でのフルートの“新機軸”を打ち出し,リスナーの注意を引きつけたところで,シングル・カットの【VICTORY】で逝ってしまう。
中盤に,涙のソプラノ・ミディアム・バラード【LATELY】と“ギミック本田”な【CIAO!!!】の大名曲の2連発で逝ってしまう。
締めは,結婚式ソングな【TERRA DI VERDE】で逝ってしまう。

バラエティに富んだ楽曲群での構成力と細かいディテールまで計算された“音のシルエット”が最高である。
01. 勇者 (YUH-JA)
02. PIOGGIA DI CAPRI
03. VICTORY
04. NAUGHTY BOY
05. LATELY
06. CIAO!!!
07. BOSSA GRIGIA
08. SUNSHINE SHOWER
09. TERRA DI VERDE
(ソニー/SONY 1996年発売/SRCL3550)
コメント