FRIENDSHIP-1 バンド形態の解消後,安藤まさひろが選んだ,新しいT−スクェアの形。それは“盟友”伊東たけし安藤まさひろ2人だけのユニット体制。
 ギターサックス以外はゲスト参加でまかなうゆえ“2人ならではのコンビネーション”を新しいT−スクェアの“カラー”として強く打ち出す音造り。

 ユニット体制第1弾『FRIENDSHIP』(以下『フレンドシップ』)を聴いて感じた,懐かしさ以上の安心感。安藤メロディを伊東たけしが演奏すると,厳しい演奏でも無関係に漂い始める“ほんわかムードの空気感”。この感じはこの2人でしか出せない,決して出てこないオリジナルな音世界。

 『GRAVITY』で宮崎隆睦が新フロントとして加入した時,T−スクェア伊東時代に引き戻されたように感じる瞬間があったが,それは間違いだった。
 『フレンドシップ』を聴いた時,キャッチコピーよろしく「おっ! 伊東たけしが帰ってきた!」と思ってしまった。そう。これこそ,T−スクェア伊東節。伊東たけし宮崎隆睦は,似ても似つかぬ別人でした。まっ,それ程本田雅人が凄かったということです。

 いや,待てよ。『フレンドシップ』での伊東たけしが何だか違う。宮崎隆睦と違うのはいいのだが,以前の伊東たけしのイメージとも何だか違うのだ。
 伊東たけしが素晴らしい。こんなに凄かったのか?

 ずっと伊東たけしのソロCDも追いかけていたので気付かなかったが,伊東たけしは10年間のソロ活動で“円熟味”を増している。伊東前期と伊東後期ではプレイ・スタイルが変化している。T−スクェアでのバンド活動から離れて,国内外の大物ジャズメンとのセッションで体感したテクニック以上の表現力! くぅ〜!

 この伊東フレンドシップ』。やはり伊東たけしを“知り抜いている”安藤まさひろのプロデュース力が凄いと思う。
 伊東たけしT−スクェアを離れてからも,安藤まさひろ伊東たけしフレンドシップは続いていた。例えば,伊東たけしソロの最高傑作『T.K.BREEZE』は安藤まさひろプロデュース。

 『フレンドシップ』の真実は,安藤メロディを奏でる伊東たけしのソロCD第12弾!?
 「余裕しゃくしゃく」に聴こえるのが,伊東たけし10年間のソロ活動の集大成! 伊東節の旨みが出まくっている!

 最先端フュージョン・サウンドをリードした『T−スクェア』からユニット体制の『フレンドシップ』へ。またしても振り幅の大きなサウンドの革新。
 『T−スクェア』以上に『フレンドシップ』に好意を持った。当初は単純に,安藤まさひろ伊東たけしの組み合わせが懐かしくて好きなのだろう,と自分でも誤解していた。誤解だった。演奏が純粋に素晴らしい。

FRIENDSHIP-2 『フレンドシップ』は,確かに安藤まさひろ伊東たけしの“鉄壁のコンビネーション”が最大の聴き所であるのだが,繰り返し聴き込むにつけ,バックの名演が耳に残りだす。

 ネーサン・イーストエイブラハム・ラボリエルヴィニー・カリウタを始めとするLAの名手たちによる“大人のフュージョン・サウンド”が素晴らしい。これぞLAフュージョンのオールスター・サウンド。この豪華メンバー。演奏の質が悪かろうはずがない。
 安藤メロディの名曲=【FRIENDSHIP】と【HEAVENLY DAYS】を「フィーチャリング・伊東たけし」でLAフュージョン

 そう。『フレンドシップ』の真の真実?は,安藤まさひろ伊東たけしフレンドシップに留まらず,T−スクェアの2人を支える“FRIENDS”たちとのフレンドシップの掛詞。

 ユニット体制の『FRIENDSHIP』『BRASIL』『NEW ROAD, OLD WAY』の3作は巷で言われるT−スクェアの暗黒時代。そうかもしれない。でもそんなに言うほど悪くはない。管理人は「T−スクェアのユニット時代」も評価しています。

  01. FRIENDSHIP
  02. SAFARI
  03. DAY DREAMS
  04. MAYBE TOMORROW
  05. SHERYL
  06. IN THIS TOGETHER
  07. PAIN IN MY HEART
  08. BELIEVE IN ME
  09. HEAVENLY DAYS

(ヴィレッジ/VILLAGE 2000年発売/VRCL-3333)
(ライナーノーツ/安藤まさひろ,伊東たけし,伊藤八十八,熊谷美広)

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