WONDERFUL DAYS-1 T−スクェアの30周年記念は“T−スクェア・オールスターズ”=T−スクェアスーパーバンド
 安藤正容伊東たけし河野啓三坂東慧の現メンバー4人に加えて,田中豊雪和泉宏隆則竹裕之須藤満宮崎隆睦の歴代メンバーの代表格5人が合体した,総勢9人のスーパーバンド! これぞ“極上の30周年記念盤”である。

 こんな豪華メンバーが勢揃いすれば“スクェアらしい”黄金期のスクェア・サウンドの復活を否が応でも期待してしまうもの。
 しか〜し,あれから30年(綾小路きみまろ風)である。スクェアのメンバーも主力は50代を迎えている。そう。スクェアの30年は熟成の30年である。貫禄と余裕の30年である。かっての元気が良い曲,勢いのある曲を今か今かと待ち構えて続けて迎えるエンディング。
 いくら期間限定のお祭りバンドであるとしても,もはや“イケイケ”の復活をT−スクェアスーパーバンドに要求してはかわいそうである。その昔のロック少年たちもおじさんとなり,今ではすっかり落ち着いてしまったのだ。

 T−スクェアスーパーバンドのデビューCD?『WONDERFUL DAYS』(以下『ワンダフル・デイズ』)は“スクェアらしい”爽やか系,ロック系に加えて,オープニングの伊東たけしのCMソング【ISLET BEAUTY】でのカリプソ・タッチ,ファンク,スムーズ・ジャズ和泉バラードと楽曲はバラエティに富んでいる。
 往年のメイン・コンポーザーである安藤正容和泉宏隆に加えて,新生T−スクェアのメイン・コンポーザーである河野啓三坂東慧が各2曲ずつ提供している。う〜ん,いい曲ばかりだ。

WONDERFUL DAYS-2 T−スクェアスーパーバンドが『ワンダフル・デイズ』で目指したは,30周年を迎えた今だからこそ作り上げられる“じっくりと腰を据えて聴き込むべき”フュージョンである。単なるセッションCDにならないよう,構成に“スクェアらしい”仕掛けが施されている。
 そのためか,総勢9人が一同に演奏したトラックはない。楽曲毎にメンバー編成を変え,その曲の世界観を演出する“新鮮なコラボレーション”こそ『ワンダフル・デイズ』の聴き所である。

 特に【OMENS OF LOVE ’03】以来となる【CALERA】【FRECKLES】での,伊東たけし宮崎隆睦“待望”の再共演! ここでの演奏を聴いて思うのは「伊東たけしには伊東たけしの,宮崎隆睦には宮崎隆睦の持ち場がしっかり与えられ明確化されている」ということ。きっと伊東たけしのソロを宮崎隆睦が吹いても“しっくりこない”のだろうし,その逆もまた同じ。

 そう。『ワンダフル・デイズ』は,細部のアドリブに至るまでメンバーの個性を知り尽くした上での作編曲がなされているように思う。9人に9人の持ち場が事前に決められていてその枠内での演奏に徹しているのだろう。スクェアを退団した5人にしてみれば,久しぶりの“縛りのある”アドリブが気持ちよい? スクェア・サウンドを演奏することを楽しんでいるように聴こえるのだが?

 『ワンダフル・デイズ』には,スクェアの「変われない部分」と「変わっていく部分」とが1枚のCDに混在し共存するコントラストが非常に興味深い。
 スクェアの「変われない部分」である,伝統の「ポップ・インストゥルメンタル」はそのままに「変わっていく部分」である,新メンバーの個性溢れる名曲郡。この受け渡しが,新メンバーの歴代メンバーへのリスペクトによりスムーズに展開している。
 その意味でもやはり『ワンダフル・デイズ』は,30周年を迎えた今だからこそ作り上げられる“じっくりと腰を据えて聴き込むべき”フュージョンCDに違いない。

WONDERFUL DAYS-3 全10曲が名曲であるが,金賞は和泉バラードの2曲。タイトル・チューンの【WONDERFUL DAYS】と【FRECKLES】。
 銀賞も2曲。【SEEKING THE PEARL】はT−スクェア版のPMG河野啓三ライル・メイズしている。【MISSIN’ YOU】は「フィーチャリング・宮崎隆睦」のバラード
 この2曲の銀賞が河野啓三坂東慧作なところが,T−スクェア30周年記念の“象徴”である。

 さて,管理人の結論。『ワンダフル・デイズ批評

 “極上の30周年記念盤”『ワンダフル・デイズ』は名盤である。ずっとスクェアを追いかけてきた“進行形の”ファンには“久々のご褒美”となったはずである。
 しかし,スクェアを久々に聴く,かっての本田時代,松本時代のファンにとっては“物足りなさ”がつきまとう。“T−スクェア・オールスターズ”=T−スクェアスーパーバンドを名乗る以上,安藤正容は,本田雅人松本圭司の不在を嘆くスクェア・ファンの苦言に真摯に耳を傾けるべきだと思う。
 あの日の夢をもう一度。管理人はもう一度『GRAVITY』での【JAPANESE SOUL BROTHERS】以来となる,伊東たけし本田雅人宮崎隆睦の“3管ユニゾンの揃い踏み”を是非聴いてみた〜い。なので最終評価は星4つ。

WONDERFUL DAYS-4 “極上の30周年記念盤”『ワンダフル・デイズ』に,本田雅人松本圭司の参加で実現する“究極の30周年記念盤”『ワンダフル・デイズ』。
 ここは一丁“ニセスクェア”「MASATO HONDA with VOICE of ELEMENTS」にも,T−スクェアの30周年記念盤を作ってもらうとしましょうか?

  01. Islet Beauty
  02. Anthem
  03. Calera
  04. Seeking The Pearl
  05. Wonderful Days
  06. Blues For Monk
  07. Sweet Catastrophe
  08. Freckles
  09. System Of Love
  10. Missin' You

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