FIFTH DIMENSION-1 DIMENSIONファンにとって『FIFTH DIMENSION』と来れば「超絶技巧」であり【BREAK OUT】であろう。
 そう。【BREAK OUT】こそ,初期DIMENSIONの“トレードマーク”であり『FIFTH DIMENSION』の“顔”である。「本格超絶技巧オンパレード」の【BREAK OUT】の中に『FIFTH DIMENSION』全10トラックのエッセンスが凝縮されている。

 果たして『FIFTH DIMENSION』の真髄=【BREAK OUT】の真髄は“バンド・サウンド”にある。【BREAK OUT】から聴こえてくるDIMENSION・サウンドは,増崎孝司小野塚晃勝田一樹の3人の音ではない。
 サポート・ベーシスト青木智仁とサポート・ドラマー石川雅春を加えた“5人のDIMNSION”の音へと「フラッグシップ化」されている。これぞ「超絶技巧(集団!)」DIMENSIONが誕生した瞬間であろう。

 思えば『FIFTH DIMENSION』での“バンド・サウンド”の誕生は『THIRD DIMENSION』『FOURTH DIMENSION』で蒔かれた種の成長と大いに関係がある。

 『THIRD DIMENSION』では,完全打ち込みのリズム隊外し。これが増崎孝司小野塚晃勝田一樹DIMENSIONメンバーの中に「核となる3人での音」を植え付けた。そして『FOURTH DIMENSION』では,青木智仁の生ベースだけを入れている。
 そうして訪れた『FIFTH DIMENSION』での“スーパー・ドラマー石川雅春の生ドラム。収穫の季節が訪れたのだった。

FIFTH DIMENSION-2 増崎孝司小野塚晃勝田一樹の3人がゲストに迎え従える構図の青木智仁石川雅春の重量級リズム隊。個人の力とバンドの力。このバランスが見事に整っている。

 【BREAK OUT】の演奏が突出しているが,他のトラックもどうしてどうして…。キメキメの構成とハードなアドリブ,そして通好みなテクニカル・ポップな楽曲群。きれいな演奏ときれいな楽曲に胸がトキメク新感覚。
 管理人がCD帯のキャッチ・コピー「近未来フュージョンユニット」の言葉を真面目に意識し始めたのが『FIFTH DIMENSION』での“バンド・サウンド”であった。あぁ,青春も下り坂だった頃の思い出~。

  01. Break Out
  02. Aquarius
  03. Nothing Doing!
  04. Tones
  05. Safety Zone
  06. La・di・da Woman
  07. Blue Garden
  08. Aquatic Wall
  09. Colors of the Rainbow
  10. Autumn River

(BMGルームス/BMG ROOMS 1995年発売/BMCR-7003)

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