
さらば既存のDIMENSION。今の位置には安住しない。停滞は後退と等しい。常に前進&常にチャレンジ。
『EIGHTH DIMENSION』で選ばれた,新しいサウンド・テーマは,ミディアム&バラードからの“AOR”。
えっ? 「月刊ディメンション」の締めなのに“AOR”? 『SIXTH DIMENSION “LIVE”』『SEVENTH DIMENSION』の流れを受けた“トドメの超ハード・ボイルド作”『EIGHTH DIMENSION』への高まる期待を見事に裏切られた。
( だって『EIGHTH DIMENSION』のジャケット写真。8thだからハチなのは分かりますが,ハチと来れば「蜂の巣をつついた大騒ぎ」を期待させるでしょう? 8の真意はスズメバチ繋がりで「イエロー・ジャケッツ」だったのか~。後日納得の自己解決 )
そこはかとなく“AOR”な雰囲気の『EIGHTH DIMENSION』での“ぶち壊し”っぷりが激しい。
DIMENSIONお得意の“超絶技巧”テクニカル・チューンが一曲もない。ロックもファンキーもない。従来のDIMENSION“らしさ”は“うっすら&ほんのり&かすかに”漂う程度である。
だが,このDIMENSIONだから作れる“AOR”が管理人のアンテナに引っ掛かった。
そう。『EIGHTH DIMENSION』こそ,管理人が選ぶDIMENSIONの“裏”名盤の最右翼である。
( 『KEY』『HEARTS』『MELODY』のようなミディアム路線はどれも最高である。う~ん,悩ましい )
『EIGHTH DIMENSION』の魅力は,とにかくカツオである。全てをカツオが持っていく。カツオ~ではなくカツオさん。いつもの振り切れたパワー押しのカツオではなく,しっとり甘くリラックスした勝田一樹のアルト・サックスがいつになくアンニュイ。微妙なニュアンスの描写がいつになく深い。
そう。この進化(深化)が「イエロー・ジャケッツ」を目指した『EIGHTH DIMENSION』での成果であろう。

いつもの“目一杯吹き切る”メタリックなサックスもいいが『EIGHTH DIMENSION』での“歌い上げる”サックスが心に染みる。サックスならではの緩やかなメロディーをきっちりと届けてくれている。これこそ既存の勝田一樹の“ぶち壊し”である。
いや“ぶち壊し”なら増崎孝司。『EIGHTH DIMENSION』での増崎孝司が高中正義している。これは“硬派な”マスヤン・フリークにはイメージ・ダウン? いいや,きっとイメージ・アップ!?
01. It's Not All Truth
02. Dear You
03. Daydream
04. Goodbye Girl
05. Kindness
06. Georgy Porgy
07. Stella
08. Into Your Heaven
09. Blue Moon
(BMGルームス/BMG ROOMS 1996年発売/BMCR-7006)
コメント一覧 (2)
月刊ディメの最終刊が、何とも聴き易く、癒しの一枚となりましたね。
それにしても、引き出しの多いバンドですね♪
決してセンチメンタルに流されることなく、何処かピンと張り詰めてる所がある・・このアルバムのボクの印象です。
良い意味で期待を裏切ってくれたというか、勝田一樹の魅力を再確認しました。
Stellaは何度聴いたか覚えてません♪
「決してセンチメンタルに流されることなく、何処かピンと張り詰めてる所がある・・このアルバムのボクの印象です。
良い意味で期待を裏切ってくれたというか、勝田一樹の魅力を再確認しました」に同感です。
真に『8th』は「ディメンション・フィーチャリング・カツオ」なフォーメーションですね。こんなにカツオがメロウなサックス奏者とは。新発見でした。
曲想に没頭しすぎることのない“勝田一樹スタイル”の【STELLA】がディメのバラードの定番化の走りだと思いますが,風の少年さんはどう思われますか?