
そう。『TEN-TH DIMENSION』は“円熟のクラッシュ・アンド・ビルド”期のアルバムとしては珍しい高得点狙い!
『TEN-TH DIMENSION』は『NINTH DIMENSION “I IS 9TH”』路線の“攻撃的チューンアップ”の実験作である。
『TEN-TH DIMENSION』の特長は『NINTH DIMENSION “I IS 9TH”』での新サウンドを更なる電気装備で固め上げ,3人の個性を前面に押し出し,グルーヴィーなリズム重視なジャズ・ロック・テイスト。
結果『TEN-TH DIMENSION』はDIMENSION歴代の個性派アルバム群の中でも,とりわけ“灰汁の強い”アルバムに仕上がっている。
『TEN-TH DIMENSION』の“特異な存在感”は,例えるならラーメン・チェーンの「天下一品」のよう。「天下一品」に行くいう行為はラーメンを食べに行くことではない。あの濃厚な味は,もはやラーメンというくくりを超えている。
同様に『TEN-TH DIMENSION』を聴くという行為はDIMENSIONを聴くことではない。『TEN-TH DIMENSION』を聴くことだ。あの濃厚な味は,もはやDIMENSIONというくくりを超えている。
管理人は『TEN-TH DIMENSION』を愛するDIMENSIONファンを同士と認める。『TEN-TH DIMENSION』の“灰汁の強さ”に惹かれてこそ,DIMENSIONを聴く意味があると思うからだ。
勿論『TEN-TH DIMENSION』を駄盤とするファンも少なくはない。それはそれでいいと思う。しかし次の事実だけは心に留めていて欲しい。
それは,DIMENSIONファンが,自分のお気に入りの一枚を選ぶのと同様に『TEN-TH DIMENSION』も10thを聴くにふさわしいファンを選ぶ。リスナーを選ぶ。『TEN-TH DIMENSION』の良さを理解できるのは“10thに選ばれし”DIMENSIONファンだけなのだ。

“10thに選ばれし”DIMENSIONファンは何も少数精鋭である必要はありません。誰しもが“10thに選ばれし”DIMENSIONファンになれるのです。
10thでDIMENSIONがビッグ・チャレンジできたのは9thまでの積み上げがあればこそ。
「爽やかギター・フュージュン系 → ユニット固めからのバンド化 → 超絶技巧のフューチャー・サウンド → オンリー・ワンの新世代サウンド」という“DIMENSIONサウンド変遷の歴史”を追いかけていれば(後追い可)『TEN-TH DIMENSION』の濃厚な味付けを理解できるのです。そして大好物になるのです。
そう。『TEN-TH DIMENSION』は“聴き込めば聴き込むほどに味が出る”例のアレなのです。きっと『TEN-TH DIMENSION』を“聴かず嫌い”な半同士の皆さんも,10thに詰め込まれているアイディア&アプローチの斬新さに“ハッ”とさせられる瞬間に数多く出会われることでしょう。
増崎孝司のハードなロック・ギター,小野塚晃のジャジーなピアノ,勝田一樹のメロディアスなサックスが自由にアドリブを弾き“互いに干渉し合う”時のギャップが聴き所の【Q】。ポップな夏ソングの【SUN BEAM】。エリック・クラプトン・ライクな増崎孝司の「ザ・中秋の名月」【HARVEST MOON】。ドラムンベースとバッキング・ギターが主役な【CYBER ADVENTURE】。そして10thのハイライト曲【RED SQUEEZE】のリアルな一発撮り。く~,小野塚晃の音選びのハイセンスとラストの音処理はこれが一発撮りなのか~?

01. Q
02. Sun Beam
03. Harvest Moon
04. Cyber Adventure
05. Back for You
06. M・S・F・B
07. Head Hunter
08. Asian Dream
09. Black Groove
10. Red Squeeze
(BMGルームス/BMG ROOMS 1998年発売/BMCR-7023)
コメント一覧 (4)
『10th』の「こってりスープの実験作」は再現するのがあれなのかライブではあまり取り上げてくれないのが寂しいです。私も今晩『10th』聴きたくなりました。
マスヤンのエレキシタールが最高な【ASIAN DREAM】も批評してほしいのですが…。
「天下一品」なくなってしまったのですか~。残念~。まだパンケはありますか?
『10th』の名曲を私もライブで聴きたいですね。【RED SQUEEZE】は二度と再現できないでしょうけど【RED SQUEEZE】“もどき”でも心から聴いてみたいのです。
【ASIAN DREAM】は“いかにも”感アリアリですがアリだと思いますよっ。これ以上は星3つになりそうなので続きはパンケででも。しばらく習志野には行けませんけど。
「10th」興味深く読ませて頂きました。セラビーさんのディメ愛を充分感じる事が出来ましたよ(^^)
「10th」は彼らの中で特異な位置に属するアルバムだと思ってたのですが、この選評を読んで今分かりました。まさにリスナーを選ぶアルバムだったのですね!
正直なところ、「9th」の衝撃の強さで「10th」の狙いや良さが、ぼやけたまま聴いてたのですが、セラビーさんに助けられた感じです。ボクももう一度「10th」と向き合いたいと思います。
もう,めっそうもありません。何書いているんですか。よいしょされても何もあげませんからね~。
風の少年さんは『10th』に選ばれしお一人に違いありません。すでにディメ側に選ばれているのですから,後は風の少年さんさえ『10th』に振り向けば、もしや『9th』を超える熱愛関係が始まる?
いや,風の少年さんには『9th』愛を守り通していただきたいと願っております。