
そうして辿り着いた16th=『MELODY 〜WALTZ FOR FOREST〜』(以下『メロディー 〜ワルツ・フォー・フォレスト〜』)で,自分たちの「鉄の掟」を徹底的に潰してきた。
その1。CDタイトルの定番『○○TH DIMENSION』シリーズ。DIMENSIONの16thは『16TH DIMENSION』ではない。『メロディー 〜ワルツ・フォー・フォレスト〜』。これがファンが便宜上そう呼んでいるDIMENSIONの16thのタイトルである。
その2。勝田一樹のアルト・サックスからソプラノ・サックスへの転向。素晴らしくメロウである。
その3。DIMENSION3人の総意としての勝田一樹推し。16thは「DIMENSION・フィーチャリング・勝田一樹」。増崎孝司と小野塚晃が勝田一樹のサポート役に徹している。
その4(初の全編バラード)。その5(初のストリングスの導入)。その6(増崎孝司のアコギと小野塚晃のピアノ=アコースティック楽器のフィーチャー)。その7(初のメイン・ボーカルの導入)。その8(初のセルフ・カヴァー)。その9(初のCD−EXTRA)。その10(ROOMSからZAIN)などと細かく挙げれば枚挙にいとまがない。
そう。『メロディー 〜ワルツ・フォー・フォレスト〜』こそ“最強にして最後の”クラッシュ・アンド・ビルドである。
そう。16thが最後の激変。『メロディー 〜ワルツ・フォー・フォレスト〜』が,8thから9作に渡って進化を追い求めてきたDIMENSIONの金字塔である。管理人はそう強く信じる。
激変の『メロディー 〜ワルツ・フォー・フォレスト〜』なのに,全く違和感のないDIMENSION・サウンドが流れている。DIMENSIONファンにこそ『メロディー 〜ワルツ・フォー・フォレスト〜』を聴いてほしい。是非聴き込み,そして感じてほしい。
DIMENSIONの代名詞である,超絶技巧も未来志向をも削ぎ落とし,残るはただただ,美しいメロディ。全く違う肌触りなのに,ビンビン感じる『FIRST DIMENSION』のあの筆舌に尽くし難い“特有のクセ”。そう。16thには,最高に楽しかったFIRST当時のDIMENSIONの“エキス”が溢れ出ている。
『FIRST DIMENSION』が深海であるならば『メロディー 〜ワルツ・フォー・フォレスト〜』は樹海。深い森での森林浴。マイナス・イオンが音となって飛んでくる。
こう書くとあれだが『メロディー 〜ワルツ・フォー・フォレスト〜』は,癒し系にしてヒーリング・ミュージックではない。繊細な表現で心に染み入るのだが,底辺ではいつもと変らぬDIMENSION特有のノリが流れている。
そう。木を見てはならない。森を見よ。“円熟のクラッシュ・アンド・ビルド”期であっても底辺は揺るがないDIMENSIONのコンテンポラリー志向に熱狂を覚える。この抑え目な表現が濃密な空間を創造した秘訣であろう。
16thは1stへの原点回帰ではなく1stから脈々と流れ続けるDIMENSION特有のメロディー。

『メロディー 〜ワルツ・フォー・フォレスト〜』は過去の15作(『LE MANS』を含めると16作)なくしては完成しなかった。
『COMPLETE OF DIMENSION AT THE BEING STUDIO』のライナーノーツで小野塚晃が『メロディー 〜ワルツ・フォー・フォレスト〜』についてこう語っている。
「僕らがこのバンドを立ち上げた頃だったら,今回のようなアルバムは出来なかったと思います。10年やって来たからこそ,シンプルだけど,ごまかしが効かない音楽を真っ正面からやれるようになった」。
そう。テクニックやアレンジの妙ではない。DIMENSIONがストイックに追い求め続けていたのはメロディー。DIMENSIONは管理人の“誇り”である。
01. Everlasting Melody
02. Voice of the moon
03. Waltz for Forest
04. Remember of the days
05. Song of my heart
06. Indian Summer
07. CHINITA (dreams)
08. If featuring 4 P.M.
(ザイン/ZAIN RECORDS 2003年発売/ZACL-8009)
CD−EXTRA仕様:【EVERLASTING MELODY】
CD−EXTRA仕様:【EVERLASTING MELODY】