
『オブセッション』も『ハイ・プレッシャー』に続くLA録音。メンバーは前回にもまして超豪華。キーボードにドン・グルーシン,ギターにマイケル・ランドウ,ベースにティム・ランダース,ドラムにハービー・メイソン,シンセサイザーにラリー・ウイリアムスの「鉄壁セクステット」。
今回の『オブセッション』セッションには『ハイ・プレッシャー』のセッションにはなかった,何かが生まれている。思うにメンバーのMALTAへの熱い期待のような何かが…。
それを管理人は“追撃”デヴィッド・サンボーンと呼んでいる。MALTAにデヴィッド・サンボーンを重ね合わせている。いいや,メンバー全員,MALTAの演奏に目を丸くして自然と“サンボーン超え”を期待していたのだった。
ちょうど『オブセッション』の発売直後にリリースされたデヴィッド・サンボーンの『クローズ・アップ』。管理人はこの年(1988年),チック・コリアの『アイ・オブ・ザ・ビホルダー』を加えたこの3枚を中心にヘビロしていた。
エレクトリック・バンドのサウンドは独特だったがエレクトリック・バンドにもエリック・マリエンサルという名手がいる。必然的にMALTA,デヴィッド・サンボーン,エリック・マリエンサルのアルト奏者3人を聴き比べる毎日が訪れる。
うん。MALTAは凄い。MALTAは世界のビッグ・ネームだ。デヴィッド・サンボーン,エリック・マリエンサルと完全に肩を並べた。そう思っていたものだ。
この時の強烈なイメージが管理人をMALTAの追っかけへと突き動かす。MALTAが売れ線をあくまで追いかけラップに走る前までは…。
だから管理人にとってMALTAと言えば,後の『マイ・ヒット・アンド・ラン』や『サファイア』といった名盤ではなく『オブセッション』なのである。ついでに言えばMALTA=バブリーな香りも連想する(この話はおいおいと)。
ところで,多分その随分前から変化していたのであろうけど『オブセッション』と『クローズ・アップ』を交互に聴き込んでいるうちにMALTAの音色の変化,もっと言えば吹き方の変化を感じるようになった。MALTAがサンボーンに思える瞬間があった。
やっぱり…。原因はデュコフであった。ギラギラのメタル・マウスピース。犯人はキャビンのCMしてやったり〜。
バブルがMALTAにサンボーンを求め,バブルがMALTAにスクェアを求めてのマウスピースの変更であろうが,フレージングがフュージョンしている。例の『ハイ・プレッシャー』で“引きずっていた”MALTAの「ジャズへの迷い」が払拭されている。
そう。間接的な原因はデュコフにあるが直接的な原因はMALTA自身の“追撃”デヴィッド・サンボーン。硬質な音色に本気で世界を獲りに行く強い決意が込められている。

【センチメンタル・モーニング】の何ともセンチメンタル・モーニングなドン・グルーシンのキーボード。甘いバラードが1曲目ですか? おお〜。
続く“鬼ナンバー”問答無用の【オブセッション】は【スラム】級のハードボイルド。ハイライトはマイケル・ランドウのギター・ソロである。このギター・ソロばかりをリピートしていたものである。
【ソー・ファー・アウェイ】の対抗馬に挙げたい【ルッキング・フォー・ユー】の存在が後の【フェイス・トゥ・フェイス】へつながったと思う。【ルッキング・フォー・ユー】〜【ラッキー・セブン】〜【リフレクションズ】の軽快な流れはソプラノ・サックス投入の妙。デヴィッド・サンボーンの個性とは間逆寄りなのが興味深い。
個人的に『オブセッション』のNO.1は,恐らく他のMALTA・ファンは誰も挙げないであろう【ノット・イエット】。あのコーラスでのリフレインがどうにもこうにも耳に残る。【オブセッション】【リフレクションズ】【星に願いを】の3大メジャーを葬り去る。気が狂うほどに好きなリフレインに星5つ。
だから管理人は【ノット・イエット】が好き→AKBの派生ユニット「NOT YET」が好き→大島優子が好きなのだ。ちゃんちゃん。
01. SENTIMENTAL MORNING
02. OBSESSION
03. 101 FREEWAY
04. STEP CLOSER
05. LOOKING FOR YOU
06. LUCKY SEVEN
07. REFLECTIONS
08. WHEN YOU WISH UPON A STAR
09. TIME AND TIDE
10. NOT YET
11. SWEET DREAMS
(ビクター/JVC 1988年発売/VDJ-1139)
コメント
コメント一覧 (2)
懐かしいな〜
勢いがありますよね!
メンバーも最強だし、楽曲も良かったし、マルタの演奏も最高だし(^^)
言われてみれば、この頃のマルタはサンボーンに近づいていたかも・・
当時、深夜に放送していた城島ジャズインのセンチメンタル・モーニングやオブセッションが懐かしいです♪
では、今年もありがとうございました。
来年も、セラビーさんらしいレビューを期待しています。
よいお年をお迎え下さいね。
MALTAを聴くと『オブセッション』を聴くと特にバブリーな時代を思いだすんですよね〜。
風の少年さんが仰る「勢い,最強メンバー,楽曲と演奏の良さ」がそう感じさせるのでしょうね。
MALTAとサンボーンの最高の音を聴いていた者としては,最近のMALTAとサンボーン,すっかり元気なくなってしまって寂しいのです。グスン。
いつも励ましのコメントに感謝しています。素晴らしい写真もありがとうございます。風の少年さんの凡人には真似できないハイセンス・ブログが私のお気に入りです。
本年もお世話になりました。来年も仲良くしてくださいねっ。