ズバリ書こう。山中千尋の最高傑作は『BRAVOGUE』(以下『ブラヴォーグ』)である。
『ブラヴォーグ』での山中千尋は,言わばオーソドックスに徹した“大人のジャズ・ピアニスト”。管理人は『ブラヴォーグ』での「正統派路線」を産み落としたという理由で,前作『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』を評価したい。
ところで『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』でお蔵となったボツ企画って何だったのだろう? 気になる〜。仮にそのボツ企画でレコーディングが進んでいたら『ブラヴォーグ』は聴けなかったでしょうね? オスカー・ピーターソンさまさまです。ちーたん・ファンを代表してオスカー・ピーターソンへ感謝です。オスカーは亡くなっても真に偉大です。
さて,山中千尋の個性とは,本人はいたって真面目に演奏しているだけなのに,あれよあれよとぶっ飛んでいく。平均的に壊れている。その壊れっぷりが四方八方破れかぶれだから強烈な一点が目立たない。ゆえに管理人は山中千尋を「オール4」なオールラウンダーと呼んでいる。
そんな山中千尋が,いつもの変態チックな個性を意識的に抑えている。自分にブレーキをかけてまで聴かせる,模範的で教科書通りのジャズ・ピアノが美しい。アドリブを含めて全体を綺麗にまとめ上げている。自分の内で感じる欲望や衝動を90%コントロールできている。ゆえに“大人のジャズ・ピアニスト”なのである( ← 残り10%は【AQUARIAN MELODY】での高音キーの乱れ打ち。もうやめてくれ〜。山中千尋のブラック・エンジェルが顔を出しています )。
『ブラヴォーグ』の成功の秘訣が2つある。1つは「縛り」である。元来ちーたんは自由人。しかもセルフ・プロデュースだからやりたい放題。前作『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』は,正しくは『アフター・アワーズ〜エディ・ヒギンズへのオマージュ』であって,オスカー・ピーターソン&ジャズ・スタンダード「縛り」のように思えて,実際はそうではなかった。
今回の『ブラヴォーグ』は抑制美&エリス・レジーナ「縛り」。【AQUARIAN MELODY】【A TIME FOR LOVE】【VOU DEITAR E ROLAR】はエリス・レジーナのおはこである。『ブラヴォーグ』にサブタイトルがあるとすれば『ブラヴォーグ〜エリス・レジーナへのオマージュ』。
元来ちーたんはS。自らの意思で選んだM。初体験の「縛り」が山中千尋に本気で“大人のジャズ・ピアノ”を追求させている。
例えば『アビス』での電化はフュージョンを感じたが『ブラヴォーグ』での電化はジャズそのもの。これはチャレンジではない。冒険でもない。ストイックさの表われだと思う。
『ブラヴォーグ』成功の2番目の秘訣は「ジーン・ジャクソン」である。山中千尋のような「アンサンブル指向」のジャズメンには,覚醒させてくれる共演者が必要である。
その点,ドラムのジーン・ジャクソンは「アンサンブル指向」の家元=ハービー・ハンコック家の出身。山中千尋をハービー・ハンコックに見立てて,概ね,感性任せのピアノを時に優しくサポートし時に激しくリードしている。ハービーのファンをも囲い込まんばかりの心憎い演出付き。ハードにスイングする華麗なる変拍子。いい。相性チリバツである。
管理人の結論。『ブラヴォーグ』批評。
山中千尋の2大名盤『アビス』が攻めなら『ブラヴォーグ』は受け。
『ブラヴォーグ』は「安心して耳を傾けられる」スルメ盤である。いつものほんわかそのままに,自身で設定した裏テーマの統一感とまとまりに“大人のジャズ・ピアニスト”山中千尋を再発見した思いである。
管理人の愛する山中千尋は澤野工房時代の“ブッ飛び系”であるのだが,その点を踏まえても『ブラヴォーグ』の優位は揺るがない。“鍵盤鍵盤ブッ叩き”からの淑女への高低さ耳キーン。
『ブラヴォーグ』が山中千尋の最初の一枚にふさわしく『ブラヴォーグ』が山中千尋の最後の一枚にふさわしい。最高傑作認定盤。山中千尋の“旨み”が聴こえる愛聴盤。
『ブラヴォーグ』が『ブラヴォー』! ワオ!(ますおか岡田風)
PS 『ブラヴォーグ』を購入するなら絶対に「初回生産限定盤」をお奨めいたします。造り込まれたドキュメンタリー仕立ての特典DVDはオンもオフも必見ですよっ。アバクロ美人のちーたんが稲森いずみの妹を演じきっていま〜す。
DISC 1 CD
01. Aquarian Melody
02. Carillon
03. A Time For Love
04. Uni
05. Vou Deitar E Rolar
06. Boolavogue
07. Dois Pra La, Dois Pra Ca
08. Circle
09. Le Fruit Defendu
10. Staccato
11. When You Wish Upon A Star
12. Backstroke Dance
DISC 2 DVD
01. The Making of Bravogue “Her Ordinary Day In New
York”
『ブラヴォーグ』での山中千尋は,言わばオーソドックスに徹した“大人のジャズ・ピアニスト”。管理人は『ブラヴォーグ』での「正統派路線」を産み落としたという理由で,前作『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』を評価したい。
ところで『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』でお蔵となったボツ企画って何だったのだろう? 気になる〜。仮にそのボツ企画でレコーディングが進んでいたら『ブラヴォーグ』は聴けなかったでしょうね? オスカー・ピーターソンさまさまです。ちーたん・ファンを代表してオスカー・ピーターソンへ感謝です。オスカーは亡くなっても真に偉大です。
さて,山中千尋の個性とは,本人はいたって真面目に演奏しているだけなのに,あれよあれよとぶっ飛んでいく。平均的に壊れている。その壊れっぷりが四方八方破れかぶれだから強烈な一点が目立たない。ゆえに管理人は山中千尋を「オール4」なオールラウンダーと呼んでいる。
そんな山中千尋が,いつもの変態チックな個性を意識的に抑えている。自分にブレーキをかけてまで聴かせる,模範的で教科書通りのジャズ・ピアノが美しい。アドリブを含めて全体を綺麗にまとめ上げている。自分の内で感じる欲望や衝動を90%コントロールできている。ゆえに“大人のジャズ・ピアニスト”なのである( ← 残り10%は【AQUARIAN MELODY】での高音キーの乱れ打ち。もうやめてくれ〜。山中千尋のブラック・エンジェルが顔を出しています )。
『ブラヴォーグ』の成功の秘訣が2つある。1つは「縛り」である。元来ちーたんは自由人。しかもセルフ・プロデュースだからやりたい放題。前作『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』は,正しくは『アフター・アワーズ〜エディ・ヒギンズへのオマージュ』であって,オスカー・ピーターソン&ジャズ・スタンダード「縛り」のように思えて,実際はそうではなかった。
今回の『ブラヴォーグ』は抑制美&エリス・レジーナ「縛り」。【AQUARIAN MELODY】【A TIME FOR LOVE】【VOU DEITAR E ROLAR】はエリス・レジーナのおはこである。『ブラヴォーグ』にサブタイトルがあるとすれば『ブラヴォーグ〜エリス・レジーナへのオマージュ』。
元来ちーたんはS。自らの意思で選んだM。初体験の「縛り」が山中千尋に本気で“大人のジャズ・ピアノ”を追求させている。
例えば『アビス』での電化はフュージョンを感じたが『ブラヴォーグ』での電化はジャズそのもの。これはチャレンジではない。冒険でもない。ストイックさの表われだと思う。
『ブラヴォーグ』成功の2番目の秘訣は「ジーン・ジャクソン」である。山中千尋のような「アンサンブル指向」のジャズメンには,覚醒させてくれる共演者が必要である。
その点,ドラムのジーン・ジャクソンは「アンサンブル指向」の家元=ハービー・ハンコック家の出身。山中千尋をハービー・ハンコックに見立てて,概ね,感性任せのピアノを時に優しくサポートし時に激しくリードしている。ハービーのファンをも囲い込まんばかりの心憎い演出付き。ハードにスイングする華麗なる変拍子。いい。相性チリバツである。
管理人の結論。『ブラヴォーグ』批評。
山中千尋の2大名盤『アビス』が攻めなら『ブラヴォーグ』は受け。
『ブラヴォーグ』は「安心して耳を傾けられる」スルメ盤である。いつものほんわかそのままに,自身で設定した裏テーマの統一感とまとまりに“大人のジャズ・ピアニスト”山中千尋を再発見した思いである。
管理人の愛する山中千尋は澤野工房時代の“ブッ飛び系”であるのだが,その点を踏まえても『ブラヴォーグ』の優位は揺るがない。“鍵盤鍵盤ブッ叩き”からの淑女への高低さ耳キーン。
『ブラヴォーグ』が山中千尋の最初の一枚にふさわしく『ブラヴォーグ』が山中千尋の最後の一枚にふさわしい。最高傑作認定盤。山中千尋の“旨み”が聴こえる愛聴盤。
『ブラヴォーグ』が『ブラヴォー』! ワオ!(ますおか岡田風)
PS 『ブラヴォーグ』を購入するなら絶対に「初回生産限定盤」をお奨めいたします。造り込まれたドキュメンタリー仕立ての特典DVDはオンもオフも必見ですよっ。アバクロ美人のちーたんが稲森いずみの妹を演じきっていま〜す。
DISC 1 CD
01. Aquarian Melody
02. Carillon
03. A Time For Love
04. Uni
05. Vou Deitar E Rolar
06. Boolavogue
07. Dois Pra La, Dois Pra Ca
08. Circle
09. Le Fruit Defendu
10. Staccato
11. When You Wish Upon A Star
12. Backstroke Dance
DISC 2 DVD
01. The Making of Bravogue “Her Ordinary Day In New
York”
(ヴァーヴ/VERVE 2008年発売/UCCJ-9097)
★【初回限定盤】 SHM−CD+DVD
★【初回限定盤】 SHM−CD+DVD
コメント一覧 (2)
もう何回も聴いてるのに、全然飽きが来ない。。
それどころか、ますます彼女の世界に引き込まれて行くような気がします。
そして、電化も「アビス」のそれとは、全く違いますね。
アコースティックの流れの中で自然に耳に馴染むというか・・
「アビス」の時は「この辺で一発エレクトリックしますよ!」的な気負いが感じられました。
「ブラヴォーグ」に続く後の作品も決して悪くはないのですが、このアルバムの完成度の高さが際立って、少しかすんでしまいます。
『アビス』も最高なのですが『ブラヴォーグ』にはいつでもやられてしまいます。何回聴いても『ブラヴォーグ』は消化しきれません。ちーたん特有の音使いが奥深いです。
『ブラヴォーグ』に続く後の作品評。同感です。全て名盤なのですが私の中で『ブラヴォーグ』が尾を引いています。最高傑作『ブラヴォーグ』を越えるのは大変ですがちーたんならそのうちやってくれるでしょうね。ちーたんをこれからも追いかけます。