ASIAN SUPER GUITAR PROJECT - GUITAR SAM GUK JI-1 アコースティック・ギターの名手3人が集い「世界指向(アジア指向)」を掲げて挑戦した渡辺香津美の新しい企画盤。それが『ASIAN SUPER GUITAR PROJECT―GUITAR SAM GUK JI』(以下『エイジアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三国志』)である。

 「本家」=ジョン・マクラフリンアル・ディメオラパコ・デ・ルシアによるスーパー・ギター・プロジェクトのコンセプトを丁寧に煮詰めたもんだ。
 日本では無名のユージン・パオジャック・リーの両ギタリストであるが,渡辺香津美クラスのスーパー・ギタリストであることを見せつけられた。しかし今回のレコーディングでは“アコースティック・ギター弾き”に徹した渡辺香津美に「一日の長」有りも明白。スチール弦とナイロン弦を巧みに使い分け“扇の要”の役割を果たしている。

 …と『エイジアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三国志』の聴き所は,超絶技巧を誇る3人のスーパー・ギタリスト“夢の競演”にあるのだろうが,真の聴き所はテクニックにあらず。

 『エイジアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三国志』のハイライトは,3人の素晴らしい音楽性である。「アジア指向」の文字が躍る割にはアジアの雰囲気は希薄。『エイジアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三国志』のプロジェクト名は『ヨーロピアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三銃士』とか『アメリカン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター・インディアン』のネーミングでも十分にいける。
 管理人は『エイジアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三国志』にECMを感じてしまった。

ASIAN SUPER GUITAR PROJECT - GUITAR SAM GUK JI-2 『エイジアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三国志』のハイライト曲=【サムホエア・イン・タイム】が泣ける。

 こんなにも悲しいマイナー調は「ギター3本だからできた」ジャック・リーのアレンジの賜物。いいや,ジャック・リーのアレンジの才を超える渡辺香津美ユージン・パオのアンサンブルとインタープレイ

 エレクトリック・ギターでメロウな哀愁を弾き続けるジャック・リー。ナイロン弦ギターで歌心溢れるフレーズを紡ぎ出す渡辺香津美。スチール弦ギターによるシャープな音色のユージン・パオのハーモニーに酔いしれる。

  01. For The Children
  02. Asian Triangle
  03. Made In France
  04. Waiting In Rain
  05. Off Side
  06. Azimuth
  07. Libertango
  08. Spanish Fried Rice
  09. Somewhere In Time

(ビデオアーツ/VIDEOARTS 2006年発売/VACM-1291)
(ライナーノーツ/石沢功治)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)