
確かにアルバム全体を聴き通すと“おぼろげ”フュージョンしていると思う。
ゲイリー・マクファーランドの影響を渡辺貞夫が全開で表現した初めてのアルバムであろうし,何しろ共演者の錚々たる面々。ギターのリー・リトナー,キーボードのデイブ・グルーシン,ベースのチャック・レイニー,ドラムのハービー・メイソン,パーカッションのスティーヴ・フォアマンの,ほぼジェントル・ソウツ。
確かにアルバム全体を聴き通すと“バック”がフュージョンしていると思う。
しかし,管理人の中では「ナベサダ・フュージョン」の原点とは『オータム・ブロー』までスルーして『カリフォルニア・シャワー』からと決まっている。
「ナベサダ・フュージョン」の立役者はデイブ・グルーシンであってリー・リトナーではない。だから『マイ・ディア・ライフ』はフュージョンの“走り”で決まりなのだ。
そう。『マイ・ディア・ライフ』の真実は“フュージョン寄りのジャズ”である。ジェントル・ソウツが“次世代のフュージョン”していても,渡辺貞夫は“次世代のジャズ”の雰囲気である。
しかし『マイ・ディア・ライフ』の“次世代のジャズ”が,結果,大変素晴らしかった。【マイ・ディア・ライフ】こそが渡辺貞夫“生涯の”代表曲にして代表的名演に違いない。
( 渡辺貞夫=【マイ・ディア・ライフ】の図式は,FM東京系「渡辺貞夫・マイ・ディア・ライフ」の番組名にあることは承知の上での宣言です )
リー・リトナーの“ブルージーな”ギターに紹介されて登場する,渡辺貞夫の“ダークな”アルト・サックスのあのトーン。『マイ・ディア・ライフ』の中で唯一聴かせるジャズ・サックスが,幸か不幸か,渡辺貞夫のトレードマーク。それまでの軽快なアルト・サックスとフルートの印象を一掃している。
( 【マイ・ディア・ライフ】=“ダークな”アルト・サックスの図式は,FM東京系「渡辺貞夫・マイ・ディア・ライフ」のナレーター=小林克也の低音ヴォイスにあることは承知の上での宣言です )

『マイ・ディア・ライフ』を聴く時にはいつでも,1−7トラックのフュージョン路線で止めておくか,名演の8トラック目だけを聴くか,それとも全曲聴くかを迷ってしまう。
そして大体は8トラック目(【マイ・ディア・ライフ】)だけを聴くのだが,そのうち「渡辺貞夫・マイ・ディア・ライフ」での小林克也のナレーションを聴きたくなる。そうしてその昔にエア・チェックしたカセット・テープを引っ張り出して聴くようになる。
せっかく高音質の「K2HDリマスタリング」紙ジャケット盤に買い直した意味ないなぁ。
01. Massai Talk
02. Safari
03. Hunting World
04. L.A. Sunset
05. Samba Em Praia
06. Music Break
07. Malaika
08. My Dear Life
(フライング・ディスク/FLYING DISK 1977年発売/VICJ-61366)
(紙ジャケット仕様)
(紙ジャケット仕様)