
渡辺貞夫とデイブ・グルーシンの「相棒・Season 1」が始まったのが『CALIFORNIA SHOWER』(以下『カリフォルニア・シャワー』)であった。
( 注:渡辺貞夫とデイブ・グルーシンの初コラボ『MY DEAR LIFE』は「相棒・警視庁ふたりだけの特命係」の位置づけが大正解です )
「相棒」がブレイクしたのは「Season 1」ではなかったが『カリフォルニア・シャワー』は「Season 1」で大ヒット。「相棒」が国民的人気番組になったのと同様『カリフォルニア・シャワー』も「日本のジャズ/フュージョン人気」を決定づけた超名盤。
あの時代,管理人はまだジャズ/フュージョンにハマる前の子供だったが渡辺貞夫と【カリフォルニア・シャワー】は知っていた。サックス奏者が知っているサックス奏者ではなく,サックスを吹かない人でも知っている渡辺貞夫は偉大なのです。
『カリフォルニア・シャワー』大ヒットの理由は,明るく爽やかな楽曲とズバ抜けてハッピーな演奏力。打ち込みでは表現できない(普通の生演奏でも表現できない)“笑い声”が聞こえてくるような“活き活きとした”演奏力。西海岸の凄腕プレイヤーが,互いの音を聴き分けながら,適当にアドリブを交えつつ一体感を生み出していく。
この良い意味での“いい加減さ”が,それまでもボサノヴァやアフリカン・ビートを自身のジャズにいち早く取り入れてきた渡辺貞夫の感性にマッチしている。
電気楽器のデジタル臭さの抜けたジャズ・ベースのフュージョン・サウンドは,渡辺貞夫とデイブ・グルーシンが“本気で”フュージョンと対峙しクリエイティブした結果なのだろう。
『カリフォルニア・シャワー』での「成功したサウンド・メイキング」がジャズとポップスの垣根を取り払った“ザ・フュージョン”な名演中の名演なのである。
ここで“キーマン”デイブ・グルーシンの登場である。
キーボード・プレイヤーとしてのデイブ・グルーシンも素晴らしいが,それ以上にギターのリー・リトナー,ベースのチャック・レイニー,ドラムのハービー・メイソン,パーカッションのポリーニョ・ダ・コスタ,トランペットのオスカー・プレッシャー,トロンボーンのジョージ・ボハノン,テナー・サックスのアーニー・ワッツの名サイドメンと渡辺貞夫をつなぐ“橋渡し役”。そして仕上げに“大河の一滴”を加えてブレンドした匠の技が素晴らしい。

カリフォルニアは麦であって芋でも米でもないのだ。実に“まろやかな都会風味の”焼酎味。陽気で,気楽で,ファンキーで,女性を意識した色気もある“洗練されたスマートな”焼酎味。
そう。『カリフォルニア・シャワー』の真実とは『カリフォルニア・サワー』なのだ。デイブ・グルーシンが作るサワーはレモン搾りのようである。
絶品サワーに仕上げる“ブレンダー”デイブ・グルーシンが渡辺貞夫の「相棒」である。寺脇康文か及川光博のいない「相棒」が成立しないのと同様,デイブ・グルーシンなしの『カリフォルニア・シャワー』。
もっと言えばデイブ・グルーシンなしの「ナベサダ・フュージョン」など成立しない。
01. CALIFORNIA SHOWER
02. DUO-CREATICS
03. DESERT RIDE
04. SEVENTH HIGH
05. TURNING PAGES OF WIND
06. NGOMA PARTY
07. MY COUNTRY
(フライング・ディスク/FLYING DISK 1978年発売/VICJ-61363)
(ライナーノーツ/児山紀芳)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/児山紀芳)
(紙ジャケット仕様)