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FRONT SEAT-1 70年代の渡辺貞夫ジャズだった。80年代の渡辺貞夫フュージョンだった。
 そして1989年の渡辺貞夫は『FRONT SEAT』(以下『フロント・シート』)。『フロント・シート』は渡辺貞夫の未来をも指し示している。

 そう。『フロント・シート』は渡辺貞夫の過去と現在と,そして未来をも結ぶ集大成。
 ズバリ,渡辺貞夫は『フロント・シート』を造り上げるために音楽活動を続けてきたのだ。渡辺貞夫の全ての道は『フロント・シート』に通じている。間違いない。

 『フロント・シート』の渡辺貞夫ジャズでもフュージョンでもない。正に“ザ・渡辺貞夫”というカテゴリーで呼ぶにふさわしい“渡辺貞夫な”渡辺貞夫であり“渡辺貞夫中の”渡辺貞夫! そうとしか表現する言葉が見当たらない。

 『フロント・シート』でのアコースティックエレクトリックの絡み。ボーカルと伴奏の絡み。アルト・サックスソプラニーニョの絡み。緊張感とリラックスの絡み。メジャーとマイナーの絡み。日本とアメリカの絡み。
 繰り返す。『フロント・シート』の全てが“渡辺貞夫な”渡辺貞夫であり“渡辺貞夫中の”渡辺貞夫なのである。

 真に渡辺貞夫は格調が高い。日本人ジャズメンの誇りである。渡辺貞夫アルト・サックスには“和”を感じる。勿論,第一の“和”は大和魂のことであるが,第二の“和”は仲間である。

 『フロント・シート』の完璧なバランス。毛色の異なるプロデューサーが3人参加しているとはにわかに信じ難い統一感。リズム隊もフロントも個性豊かにメロディアス。
 渡辺貞夫サックスで“歌う”。パティ・オースティン以上に“歌っている”。ジョージ・デュークロビー・ブキャナンラッセル・フェランテの指示の元,渡辺貞夫サックスで“歌う”とパティ・オースティンは勿論のこと,ポール・ジャクソンJR.エイブラハム・ラボリエルジミー・ハスリップジェフ・ポーカロカルロス・ベガジョン・ロビンソンアレックス・アクーニャポリーニョ・ダ・コスタオスカー・カストロ・ネヴィスニール・スチューベンハウスたちもが歌い出す。
 もはや『フロント・シート』のサウンドは「チーム・ナベサダ」という“和”の結晶なのである。

FRONT SEAT-2 “和”の中心である渡辺貞夫のあの“世界最高の音色”に惹かれてのことか,あるいは渡辺貞夫の人柄に惹かれてのことだろうか,どちらにしても最初の一音で綺麗に全員が溶け合っていく。
 全てはナベサダの“人徳”に尽きる。人肌を感じる。温もりを感じる。優しい音で“身も心も”包まれていく。

 管理人も本当に幸福なことに『フロント・シート』の“和”の中に入ることができた。単純に『フロント・シート』のライブを体験できた。とにかく感動で心の震えが止まらなかった。
 あの「ザ・クラブ」でのライブから23年。『フロント・シート』が流れると,いつでもどこでも感動で心が震えてしまう。

 管理人の結論。『フロント・シート批評

 渡辺貞夫は『フロント・シート』に始まり『フロント・シート』に終わる。“最高傑作”『エリス』をも『フロント・シート』が包含する。そしてナベサダ未来の大傑作までをも…。

 管理人にとって『フロント・シート』こそ,男のロマンなのです。

  01. SAILING
  02. ONE MORE TIME
  03. ONLY IN MY MIND
  04. MILES APART
  05. ANY OTHER FOOL
  06. ON THE WAY
  07. ANGA LA JUA (Place In The Sun)
  08. WILD FLOWERS
  09. FRONT SEAT
  10. TAKIN' TIME

(エレクトラ/ELEKTRA 1989年発売/29P2-2785)

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