IN TEMPO-1 短命だったファンハウス時代の渡辺貞夫はやりたい放題?
 渡辺貞夫本人の意向が強いのか? レコード会社の意向が強いのか? クリスマス・ライブの『A NIGHT WITH STRINGS』の2枚『VOL.2』『VOL.3』の売れ線・続編。そしてスタジオ録音の2枚『EARTH STEP』と『IN TEMPO』(以下『イン・テンポ』)の名盤・続編。

 名盤FRONT SEAT』の続編が『EARTH STEP』なら名盤ELIS』の続編が『イン・テンポ』。
 そう。『イン・テンポ』は渡辺貞夫のブラジリアン・リターンズ,あるいはセザール・カマルゴ・マリアーノ・リターンズ。渡辺貞夫が“生涯の友”と呼ぶ,セザール・カマルゴ・マリアーノとの“濃密な”コラボレーションが“爆発”している。

 このように書くと『イン・テンポ』は“ブラジル爆発”と思いきや,そうではない。セザール・カマルゴ・マリアーノはワールド・ワイドなスーパー・ミュージシャン。『イン・テンポ』の基本はジャズである。そこにサンバやサルサのエッセンス,ボーカルホーンのエッセンスがフュージョンされている。ここが,ただのブラジル,ではない理由。

 しかし,管理人の『イン・テンポ』への期待は『ELIS』リターンズ。その点で『イン・テンポ』には“期待外れ”の印象が強い。
 テストで90点以上取っている優等生なはずなのに,出来の良い兄がいつも100点取っていたばっかりに弟は劣等生扱いの不運。あぁ,出来の良い兄『ELIS』を持ってしまった弟『イン・テンポ』の不運。どうしても比較してしまうんだよなぁ。セザール・カマルゴ・マリアーノ,どうもすみません。

 『イン・テンポ』の“ブラジル不発”の同時期に“ブラジル爆発”がサッカーW杯。どうしても『イン・テンポ』を聴くとW杯ブラジル優勝を思い出す。いいや,ブラジルが爆発した優勝ではない。ロベルト・バッジョのPK失敗を思い出す。

 どうにもマイナスな印象のブラジルつながりの『イン・テンポ』。本当は星5つなのに星4つの『イン・テンポ』。『イン・テンポ』を最後に渡辺貞夫のファンハウス時代も終了した。おかげで次作『GO STRAIGHT AHEAD ’N MAKE A LEFT』までの3年間,ナベサダの新作が聴けなくなったじゃないですか〜!

IN TEMPO-2 管理人の結論。『イン・テンポ批評

 実力は“エース格”なのに,なにかとマイナスな印象の『イン・テンポ』。『イン・テンポ』は江川と西本の西本聖?
 そう。渡辺貞夫の“不運のエース”アルバム。それが『イン・テンポ』なのである。

PS1 『イン・テンポ』の不運があったからこそ「幸運を呼んだ」『GO STRAIGHT AHEAD ’N MAKE A LEFT』でのヴァーヴ移籍と思います。
PS2 『イン・テンポ』の不運の元凶が【PORTAS FECHADAS(ACOUSTIC VERSION)】のシークレット・トラック。出来が良いのに隠そうとするから…。
PS3 ブラジルつながりのサッカーつながりなのか知りませんが【O BELLMARE】はベルマーレ平塚の応援ソングだそうです。コンサドーレ札幌のT−スクェアの【KNIGHT’S SONG】より印象悪いのもマイナス要因。反省。

  01. A MESSAGE TO BAHIA
  02. EYE TOUCH
  03. FROM THE HEART
  04. IN JERSEY
  05. MEMORIAS
  06. PORTAS FECHADAS (Closed Door)
  07. IN TEMPO
  08. NEW YORK SCENE
  09. KARIBU
  10. O BELLMARE
  11. VITORIA 〜When We Feel The Wind〜
  12. PORTAS FECHADAS (Acoustic Version) [Secret
     Track]


(ファンハウス/FUNHOUSE 1994年発売/FHCF-2177)
(ライナーノーツ/R.B.)

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