
管理人は『モーニン』派なのだが,頑固者なジャズ・マニアには『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』(あるいは『コンプリート・バードランドの夜 VOL.2』)派が多数である。
ゆえに『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』の紹介には尾ひれが付く。例えば「ジャズ・メッセンジャーズ結成前夜,ジャズ・メッセンジャーズの事実上の出発点,ハード・バップ誕生のドキュメント」…。
全てのコピーが「的を得ている」のは認めます。でもでも,いかにも歴史的名盤扱い,なのがどうにもこうにも勿体無い。
そう。『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』は「音・音・熱気」なのである。事実『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』を前にしたジャズ・ファンは皆,膨大な知識や理屈やコレクションの全てが「アート・ブレイキーの一発の爆音によって吹き飛ばされる」ことを身を持って経験したことと思う。
ゆえに『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』の紹介の際は,予備知識など何にも与えず,ただの一言「これ聞いてみろ」!で決まりである。リスナーは「アート・ブレイキーの一発の爆音」にひれ伏すのみ。
そう。“理屈抜きに身体が揺れる圧倒的なグルーヴ”。それが『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』最大の魅力なのだ。
『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』を初めて耳にした人は「このトランペッターって誰? このサックス・プレイヤーって誰?」。そう思うに違いない。そしてそう思った瞬間,新たなジャズ・マニアの誕生である。後は放っておいても自分勝手にクリフォード・ブラウンやルー・ドナルドソンを“漁り出す”。
事実,管理人が生き証人。放っておいても“芋ずる式”。放っておいても『バードランドの夜 VOL.1』に別テイクが入ったと聞けば『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』へと買い直し,RVG盤(ジャズ界“伝説の”録音技師=ルディ・ヴァン・ゲルダー本人による24ビットリマスタリング盤)が出ると聞けばまた買い直す〜。紙ジャケット盤も持っているのに買い直す〜。もはや完全に病気の領域〜。
だ・か・ら全てのジャズ・マニアにお願いである。ジャズ入門者へ『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』を勧める時には,変な予備知識をひけらさないでほしい。素直に「音・音・熱気」に触れさせてあげてほしい。切にそう願う。

でもこう書かれると気になる?(って,詳細を書き記して全ての欲求を吐き出したいもう一人の自分がいるのも事実です)
どうしても『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』のウンチクが気になるのなら『コンプリート・バードランドの夜 VOL.2』批評の記事をご覧ください。
01. Announcemwnt by Pee Wee Marquette
02. SPLIT KICK
03. ONCE IN A WHILE
04. QUICKSILVER
05. A NIGHT IN TUNISIA
06. MAYREH
07. WEE-DOT (alternate take)
08. BLUES
(ブルーノート/BLUE NOTE 1954年発売/TOCJ-7081)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,原田和典)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,原田和典)
コメント一覧 (8)
ハードバップの出発点的な扱いをされる作品ですが、レビューにもあるように、
余計な知識は下手な先入観を生むだけなので、純粋にこの時代の熱気を楽しみたいですね(^^)
アート・ブレイキーの一発も凄いのですが、クリフォードの歌うトランペットも絶品です。
もし、タイムマシンがあるのなら、この「伝説」を生で体感したいです♪
ブラウニーはやっぱり凄いですよね。デビュー時にしてこの完成度はウィントンと双璧でしょう。
生で体験したいのは当然なので置いといて,ブルーノートだから体験できる生を超えるライブがあるとも思っています。『バードランドの夜』はジャズの美味しさの凝縮盤です。異次元のライブ盤は生を超えているかもしれませんね?
クワガッタンさんはどう思われますか? レコードはライブを超えられませんか?
どんな演奏でも生のライブの迫力は素晴らしいのですが、
逆に、それを記録したレコードだからこそ、聴く度に新たな感動を得られる・・
特にブルーノートのライブ盤は、そう感じる事が多いです。
レコードはライブを越えられるか・・一夜の奇跡が半世紀以上も色褪せる事なく今でも多くの人に感動を与え続けている・・この事実だけで答えは出ているように思いますが如何でしょう(^^)
「聴く度にイマジネーションを膨らませてくれる。聴く度に新たな感動を得られる。一夜の奇跡が半世紀以上も色褪せる事なく今でも多くの人に感動を与え続けている」。クワガッタンさんの意見は強いですね。私もその通りだと思います。
ライブ盤はドキュメンタリーが全てではありませんよね〜。マイルスなんかはテオがハサミを入れることで何倍にも評価されていますし。
ブレイキーとライオン。覚醒ですね。勿論,ブレイキーやブラウニー,シルヴァー,ルーらの素材の良さがあっての名盤に違いありません。
セラビーさんが言われる通り、ライブ盤はドキュメンタリーが全てではないと思います。
マイルスとテオの関係を考えれば、まさにその通りですね♪
あの二人の関係があってこその名盤でしたよね。
あくまで、名演奏あっての名ライブですものね!
あらっ,いつも謙遜なクワガッタンさんが偉そうでしたら私はどうなるんですか〜。友人にはブログでは二重人格だとか言われても頑張って偉そうなことを書き連ねています。人間ペンを持つと暴力的になる生き物を演じちゃいますよね? 私も自分の書いたコメント読み返して赤面した経験何度もあります。もう気にしてないです。
ライブ盤はドキュメンタリーが全てではない。ブログの本文も後で編集できるからドキュメンタリーではない。でも他の人のブログに付けたコメントは編集できないからドキュメンタリー。クワガッタンさんのブログへ付けた恥ずかしいコメント。テオやライオンばりにクワガッタンさんの裁量でいいように編集しておいてくださいねっ。
熱い文章に引き込まれて、ショーター入りのalbum「チュニジアの夜」の記事から遡って読ませて頂きました。
良いですよねーっ、たまりませんよねぇブレイキー御大のレコードはどれもこれも。
グリフィン入りの方のalbum「チュニジアの夜」もまた大好物であります。
で、ブルーノートの「バードランドの夜 Vol.1」です。
これはもう、一曲目の SPLIT KICK 一発でK.O.でした。
クリフォード・ブラウンを聴く積もりで購入し、見事にルー・ドナルドソンまで気に入ってしまった熱いライヴ盤。
LPからCDに主流が替わった時期、タワレコで購入したCDジャケットがこれでした。
後から東芝EMIの国内盤の方も買いましたが、未だに交互にかけてしまう不思議な魅力があります(笑)
訳あって一時期ジャズのCDは殆ど手放してしまいましたが、気に入っていたalbumから現在再購入中です。
…此方の記事を閲覧させて頂いていると、また部屋一杯にCDが溢れる予感がします。
熱いコメントですね。ショーター入りの『チュニジアの夜』はブレイキーが最高ですがグリフィン入りの『チュニジアの夜』はグリフィンに惹かれてしまいますね。
で「バードランドの夜 Vol.1」での【SPLIT KICK】一発。勿論ブラウニーなのですが,この時期のバッパーであるルー・ドナルドソンは掛け値なしに最高です。自然と耳を奪われてしまったジャズ・ファンは多いと思いますよ。
「LPからCDに主流が替わった時期、タワレコで購入したCDジャケットがこれでした」。このジャケットは別テイク入りのコンプリート盤でしてオリジナル盤はブレイキーの雄姿ですね。私も2種類のジャケ違いを所有しております。
「訳あって一時期ジャズのCDは殆ど手放してしまいましたが、気に入っていたalbumから現在再購入中です。
…此方の記事を閲覧させて頂いていると、また部屋一杯にCDが溢れる予感がします」。
是非ご一緒にCD山積みライフを楽しみましょうよっ。こちらの世界にまた来てくださ〜い。