THE BIG BEAT-1 アート・ブレイキー・ファンの読者の皆さん,ジャズ・メッセンジャーズ・ファンの読者の皆さん。ごめんなさい。
 先に謝っておきます。管理人はウェイン・ショーター偏重主義者なのです。

 ゆえにジャズ・メッセンジャーズのディスコ・グラフィの中では,3管時代のジャズ・メッセンジャーズをよく聴きます。お目当てはアート・ブレイキードラム以上にウェイン・ショーターテナー・サックス。もはや3管時代のジャズ・メッセンジャーズウェイン・ショーター抜きで“公平に”批評することなどできません。ごめんなさい。

 ただし,二匹目の『モーニン』を狙った,続・ファンキー・ジャズ路線〜3管セクステットになる前の「ウェイン・ショーター入りジャズ・メッセンジャーズ」なら,幾らかアート・ブレイキー目線で聴けたりもします。そう。名盤THE BIG BEAT』(以下『ザ・ビッグ・ビート』)と名盤A NIGHT IN TUNISIA』(以下『チュニジアの夜』)です。

 『ザ・ビッグ・ビート』と『チュニジアの夜』。この2枚の主役は“御大”アート・ブレイキードラミングである。とにかく凄い。お口あんぐりの大連発。
 知り合いのドラム好きの複数人から同じような話を耳にしたことがあるのだが「アート・ブレイキードラミングってド派手なだけで簡単にコピーできそうな気がする。しかしあのノリは中々真似できやしない。特に難しいことはやっていないのだがアート・ブレイキードラミングを突き詰めて行くと相当奥が深い」らしい。

 管理人が選ぶと,アート・ブレイキーの最高峰のドラミングは『チュニジアの夜』だと思うのだが,ドラム好きの師匠たちが選ぶのは『ザ・ビッグ・ビート』。『ザ・ビッグ・ビート』こそ“ジャズ・ドラマーアート・ブレイキーの“最高傑作”と認定してくる。

 管理人は「ちょっと待った〜」と言って逃げ帰る。家に帰宅して『ザ・ビッグ・ビート』を聞き返してみる。掴めない。そのうち『ザ・ビッグ・ビート』のジャケット写真に見入ってしまう。アート・ブレイキーのこの喜びの表情を見続けていると最高のドラミングが聞こえてきそうです。空想です。

THE BIG BEAT-2 そういうことで,アート・ブレイキーの「凄いのは分かる。でもどこが最高なのかは理解できない」ドラム目当てで繰り返し聴いた“暗い?思い出”の『ザ・ビッグ・ビート』。本当のお目当てであるウェイン・ショーターは,そんなでもない。

 理由としては『ザ・ビッグ・ビート』の狙いが,典型的なファンキー・ジャズ,なのが大きい。主役であるアート・ブレイキードラムは当然として,他のメンバー,トランペットリー・モーガンピアノボビー・ティモンズベースジミー・メリットファンキー・ジャズジャズメンとして,ウェイン・ショーターより「一日の長」がある。

 ファンキー・ジャズのフォーマットはジャズ・メッセンジャーズの主戦場。ウェイン・ショーターファンキー・ジャズは似合わない? まっ,しょうがない。新入りだし「先輩方の顔を立てる」必要もあったでしょうし。

 管理人の結論。『ザ・ビッグ・ビート批評

 ウェイン・ショーター好きとしては『ザ・ビッグ・ビート』は星4つ。『ザ・ビッグ・ビート』ではウェイン・ショーターのあのフレーズの堪能度は薄いです。
 ただしウェイン・ショーターを単なるテナー吹き,あるいはベニー・ゴルソンハンク・モブレーの“シャドー”テナー・サックス・プレイヤーと捉えるなら『ザ・ビッグ・ビート』は星5つ。やっぱりジャズ・メッセンジャーズの名の売れた名盤はどれも最高なのです。

  01. THE CHESS PLAYERS
  02. SAKEENA'S VISION
  03. POLITELY
  04. DAT DERE
  05. LESTER LEFT TOWN
  06. IT'S ONLY A PAPER MOON

(ブルーノート/BLUE NOTE 1960年発売/TOCJ-6599)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,岡崎正通)

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