25-1 『25』は【TAKE TO THE SKIES】のためのアルバムである。久しく誕生していなかった【SE.LE.NE】の後継ナンバーの誕生なのである。

 DIMENSIONの“最高傑作”『24』を受けての『25』。管理人は“そうやすやすと”『25』が『24』を超えることはないと思って聴き始めた。
 なんたって,ついにコレダ!と確信できた『24』の大インパクト! DIMENSIONのコンプリートが完成したというのに,ほぼ『24』ばかりを聴いている。「DIMENSIONに駄盤なし!」なのにである。

 しかし,しかし,しかし【TAKE TO THE SKIES】であった。思いっきり返り討ちにあってしまった。【SE.LE.NE】だけではなく【IF】を聴いた時の感動を思い出さずにはいられない。メロディーアドリブユニゾン,どれをとっても完璧である。
 尤も,キラー・チューンを数十曲も有するDIMENSION。【IF】【SE.LE.NE】に次ぐ定番曲の地位を【TAKE TO THE SKIES】に与えるのはまだ早い。管理人以上のディメ・マニアから寄せられる,お叱りの言葉も多いことだろう。

 そう。【TAKE TO THE SKIES】は,管理人の私的な理想系なのだ。【TAKE TO THE SKIES】を初めて聴いた瞬間に感じたインパクトが最高だった。
 『24』のオープナーにして,こちらも“野生の本能丸出し”が大好物な【MAKE A SPLASH】とは全く異なるラストのギター・ソロがピュアピュアのクリーン。【TAKE TO THE SKIES】は,管理人の脳内のどこかで流れていた,まだ一度も聴いたことのない“DIMENSIONらしさ”を具現化してくれた。いやホント,この瞬間を常に待ち焦がれていた自分に気付いた。
 例えば,理想の女性像があって,現実には現れないであろうと思うくらいの高望みを死守している場面へ,長澤まさみがドン!みたいな。アレッ? バンド名が「ディメンション」なだけに,2次元のCGアイドルが3次元となって存在した,まゆゆがドン!みたいな。アレッ?

 マジで想定外の『24』を超えた瞬間であった。要するに「一目惚れ」なのだ。DIMENSIONを20年間聴いてきて,初めての「一目惚れ」なのだ。
 まだこんな“極上品”が増崎孝司小野塚晃勝田一樹の体内に残されていたのか…。しばし呆然の思考停止状態…。

 【TAKE TO THE SKIES】の飛び切りのキャッチーと高難度な7拍子→「上半身と下半身」→(参戦予定のライブをイメージして)「上手く手拍子が取れない」→「爽やかな秋晴れ」→「天高く馬肥ゆる秋」→「NO NAME HORSES」→「小曽根真」→「小野塚晃」。
 そう。練りに練られた均整な構成の上で,最後の仕上げに“一さじ加える”小野塚晃のバランス感覚。小野塚晃が全体を仕切りつつ,増崎孝司勝田一樹を自由に走らせる,唯一無二のDIMENSIONらしい“塩梅”が「だ・あ・い・す・き」なのです。

 お願いマスヤン! 【TAKE TO THE SKIES】を,今後10年,ディメライブのオープナーに使ってみてください。きっと【SE.LE.NE】に肩を並べるオープナー,ディメの新・定番曲に育つに違いありません。管理人のディメ・マニアとしてのプライドを賭けて保証します。←何の保証なのぉ。
 つまりは単純に「一目惚れ」した【TAKE TO THE SKIES】をずっとライブで聴き続けたいのです。だからお願い!

 おおっと,危ない。紙面が【TAKE TO THE SKIES】だけで埋め尽くされてしまいそう〜。
 【TAKE TO THE SKIES】以降も『25』の快進撃は続く〜。まず全ての曲いい。その昔の“超絶技巧集団”と呼ばれたDIMENSIONはここにはいないのだ。 当然ながら“超絶技巧”は益々進歩しているのだが,DIMENSIONの“売り”は増崎孝司小野塚晃勝田一樹の“メロディー・ミックス”! バンドとして楽器で歌うためのハイ・テクニックに徹している。

 しかし【TAKE TO THE SKIES】の「もう一丁」までは見当たらず…。残念ながら『25』の『24』超えは1曲目だけの瞬間最大風速だった。そう。『25』=秋台風〜!

 “壮大系”な【DREAM OF DREAMS】。“近未来フュージョンの王道”【RAISE YOUR HAND】。増崎孝司ソロ名義【SHADOWS】の“アナザー・ストーリー”【SONGBIRD】に関しては,ラストのテーマのユニゾンで“崩し”のような“一捻り”な展開があれば失神トラックに成り得たかも〜。
 それにしても読者の皆さん,上記3曲における小野塚晃のキーボードはパット・メセニーグループライル・メイズっぽさを感じてしまいませんか?

25-2 さて,管理人が『25』を聴き込むにつれて一番強く意識したのはリズム・セクションの充実の秋であった。
 特に則竹裕之の正確無比なテクニックとグルーヴ坂東慧のニュアンスが大人なだけに,先輩後輩の関係性が逆転している。“若さ”の則竹裕之と“円熟”の坂東慧が最高のドラミングでプッシュしている。

 単なる客演を超え,DIMENSIONの3人と共に楽曲の深い部分でクリエイトに加わった感じが漂うリズム・セクション。こんな感覚は青木智仁石川雅春の時代でも感じたことはなかった。
 う〜ん。『25』は,気付けばドラムばかりを追いかけている自分に「ハッ」としてしまった。

 “超・売れっ子”セッションドラマー則竹裕之坂東慧に,スクェアの面影は一切ない。『25』のドラミングを聴く限り“ディメの”則竹裕之坂東慧になっている。
 そう。『25』の真髄は,DIMENSION版“伝説の5人”のグループ・サウンドにあると思う。

 『25』のジャケット写真が主張する“鉄壁の3人”によるグループ・サウンド。しかし実際には5人の腕が必要なのです。いや,よく見ると,うっすらと,則竹裕之坂東慧須藤満川崎哲平種子田健の手首見える? 午前0時の満月の日には透かし絵が見えると噂の都市伝説? 信じるも信じないもあなた次第です。

PS たまたまかぶっちゃたのでしょうね。FOURPLAYの『ESPRIT DE FOUR』。ジャケット見比べてみてください。

  01. Take To The Skies
  02. Jump Off
  03. Dream Of Dreams
  04. Raise Your Hand
  05. Songbird
  06. Our Inspiration
  07. Spiral
  08. Stay With Me
  09. Sad Stories
  10. Colors

(ザイン/ZAIN RECORDS 2012年発売/ZACL-9055)
(☆スリップ・ケース仕様)
(ライナーノーツ/近藤正義)

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