
ただし,その事実は後日知るようになった。自分でもなぜだか分からないが【MANHATTAN DAYLIGHT】のテナー・サックスはアンディ・スニッツァーではなくマイケル・ブレッカーだと思い込んでいた。多分『FAIRY TALE』での共演があったから『RENDEZ−VOUS』もマイケル・ブレッカーだと思い込んだか?
いいや,違う。【MANHATTAN DAYLIGHT】での,あんなにも最高なテナー・サックスを聴かされては,思い浮かべるはマイケル・ブレッカー以外には考えられない? まっ,言い訳ですけども…。
それ位【MANHATTAN DAYLIGHT】での,完璧なテナー・サックスに酔いつぶれた後で,それがマイケル・ブレッカーではなかった,しかも名前さえ知らないテナー奏者だと分かった瞬間の衝撃たるやもう…。
この経験以降,俄然,管理人の「アンディ・スニッツァーびいき」が始まったのも想像いただけると思うが,実は管理人の「アンディ・スニッツァー・キャンペーン」は短命に終わってしまう。
理由はアンディ・スニッツァーのソロCD『ALFIE’S THEME』(以下『アルフィーのテーマ』)を聴いてしまったから。
お〜っと,このように書き出すと『アルフィーのテーマ』が駄盤のように伝わったかもしれないが,そうではない。『アルフィーのテーマ』は名盤である。
『アルフィーのテーマ』はアンディ・スニッツァーのワン・ホーン・カルテット。ストレート・アヘッドなアドリブは【MANHATTAN DAYLIGHT】での名演に肩を並べるとまではいかないが,あの名演を彷彿させるに十分である。
ただ管理人がアンディ・スニッツァーに“マイケル・ブレッカーの後継者”を勝手に求めていただけなのである。
そう。(至極当然であるのだが)アンディ・スニッツァーはアンディ・スニッツァーであって“マイケル・ブレッカー2世”では有り得ない。『アルフィーのテーマ』にアンディ・スニッツァーの“個性”を聴いたのである。
ソニー・ロリンズ,ジョン・コルトレーン,デヴィッド・サンボーンをアイドルとするアンディ・スニッツァーの“個性”。
それは“マイケル・ブレッカー2世”ではない。“マイケル・ブレッカー2世”を名乗るのであれば“デヴィッド・サンボーン2世”の方が近いようにも思えるが,そのどちらでもなく現代版“スタンリー・タレンタイン2世”の雰囲気が漂っている。
アンディ・スニッツァーの体内にはマイケル・ブレッカーのような“変態フレーズ”は宿っていなかった。アンディ・スニッツァーは基本ソウル・ジャズの人。
テナー・サックスのダークな音色はジャズの王道を狙っている。アドリブにはバップが入っている。しかしノリとかブロウがジャズ・ファンクである。スタンリー・タレンタイン・スタイル!

そう言えばアンディ・スニッツァーのファースト・ソロCDのタイトルが『SUGAR』だった。
ねっ“スタンリー・タレンタイン2世”に納得でしょ? ← 後付にしては上出来です。この意味?な読者の皆さんはスタンリー・タレンタインのディスコグラフィを調べてみてください。
01. ALFIE'S THEME
02. MERCY MERCY MERCY
03. EASY STREET
04. TENOR MADNESS
05. THE DREAM
06. STAN'S SHUFFLE
07. TOO YOUNG TO GO STEADY
08. SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE
09. SUPERSTAR
(ビデオアーツ/VIDEOARTS 2002年発売/VACM-1218)
(ライナーノーツ/ルーシー・ケント)
(ライナーノーツ/ルーシー・ケント)
コメント
コメント一覧 (2)
当時、アルトはランジェル、コズ、スニッツァがサンボーン・チルドレンだと思いました。
これを聴くと、ゴリゴリのジャズマンですね。
スニッツアーがアルトでサンボーン・チルドレンだったとは知りませんでした。【MANHATTAN DAYLIGHT】も『ALFIE’S THEME』もテナーのストレート・アヘッドなジャズですしMJQのワン・ホーンを務めるスニッツアーですし。
アルトでフュージョン。しかもサンボーン情報に興味津々です。