今日は一日『サックス』三昧 〜ジャズ&ポピュラー編 昨日,NHK−FMにて「今日は一日『サックス』三昧 〜ジャズ&ポピュラー編」なる特別番組が放送されました。
 「衆議院議員・総選挙の日」に『サックス』三昧とは,国営放送として大丈夫? やはり日本は「世界一のジャズ大国!」を実感いたしました。

 本当はエア・チェックで済ませて天神のバーゲン・セールに出掛けるつもりでしたが,ラジオを聴き始めたら出かけられなくなりました。なぜって? それ聞くんですか?
 1年振りに聞く本田雅人の「ズーズー節」に決まっているじゃないですか〜! 今回な番組の出演はゲストMCということで「実演付」で,アルト・サックスソプラノ・サックステナー・サックスバリトン・サックスの順番で全4種類の楽器としてのサックスの解説&サックス・プレイヤーのバック・ボーンの情報担当。その甲斐あって?曲に色味や深みや厚みが加わって,本田雅人の個人的な余計な情報も加わって〜?

 そ・れ・か・ら・な・ん・と・本田雅人の相方=メインMCが高頭なおちゃん。うぉ〜,超久しぶり。毎週BAY−FMで聞いてたので懐かしすぎる。偶然再会した名(迷?)パーソナリティお2人に先導された放送時間6時間35分の長丁場。ジョン・コルトレーンの13分越えな【MY FAVORITE THINGS】もフル・オンエアー。ラジオの生放送なのにたっぷりと〜。

 選曲の妙と2人の掛け合い。本田さんの脱線になおちゃんの節度ある受け答えが素敵なコラボ。途中途中で流れる,恐らくは本田雅人作の“凝りまくった”番組ジングルがカッコイイ!
 もう聴き所,突っ込み所満載な放送でして,全てを拾ったら大変な事になりそうですので,この記事では本田雅人発信の「プチ情報」に絞って感想文を書いてみます。

1)サックスの解説コーナー

テナー・サックスの演奏は,懐が深くなり息も深くなる。普段はアルト・サックスを吹いている本田雅人にとってテナー・サックスは顔が赤らむ位にちょっと疲れるらしい。

バリトン・サックスアルト・サックスのオクターブ下なので倍より大きくなる「できるだけ持って行きたくない楽器」。「馴れと根性の楽器」だそうです。
バリトン・サックス本体はゴルフのハーフセットぐらいの重量でケースを含めるとゴルフ・バックぐらいはある。本田雅人は首に掛けても演奏できるが身体に悪い気がしてスタンドに置いて吹いているとの告白。バリトン・サックスには「色が変わった楽しさ」があるそうです。

本田雅人の肺活量は小3から管楽器を吹いているのに普通の人と同じ位らしい。許容量としてはあるといいのかもしれないが瞬間的に息が必要ではないので「ソプラノ・サックスでもバリトン・サックスでも演奏するのに必要な肺活量変わらのではないか」という見解有り。

・フラジオのコツ。普通の運指表には書いていないサックスの裏声。つい小っちゃく吹きたくなるがちゃんと息を入れて吹かないと高い感じが出ない。オーバートーンとか指使いが大変なので練習して〜。

2)サックス・プレイヤーの解説コーナー

ソニー・ロリンズ:巨人で王様。ポップでいて豪快というか,根っからの演奏家というか,理屈っぽいことよりも自分の中に自然に湧き出てきたものをとにかく音に出して聴かせてくれるイメージ。

ジョン・コルトレーン:どこか理論的であり,ちょっとクールなイメージもあり,その中に情熱がある感じ。シーツ・オブ・サウンドとモードの発明王。研究熱心。音を醸し出すムードからして独特の新しさが今聴いてもある。楽しんでいるうちに突き進んでいった人。こんなスタイルですと一言では言い表わせない。

デクスター・ゴードン:とにかく歌のバリエーションが異常に広く,特にリズムの出し方が多彩。凄いタンギングをする。ジャズ・サックスは音が2つあると2つに1つ位はタンギングするのだが,デクスター・ゴードンはほとんどをタンギングしている。そういう奏法をすると赤ちゃん言葉のようにぎこちなくなるはずなのにデクスター・ゴードンはそうならないので現在研究している。

スタン・ゲッツジャズからフュージョン・タッチのものまで聴けるがボサノヴァ・タッチのものが(本人が気に入っているからそういう風に聞こえるのかもしれないが)スタン・ゲッツに丁度合う。昔のジャズをやっても歌ものをやってもフュージョンをやっても全部がスタン・ゲッツしている。それがもの凄い聞こえてくるのが素晴らしい。どれもカッコイイ。アドリブが全部作曲した美しい曲のようになっている。音使いが笑っちゃう。太さとか深さだけでなく軽やかさ。ポーッとしたのんびりした感じがいい。

スコット・ハミルトン:男らしさ。音が現代的なサブトーン。「シャーッ」て音が常にしている。フュージョンがもてはやされている時代に敢えてオーソドックスなジャズをやったのが新鮮。なんだか音が低い。

トム・スコット:スタジオ・ミュージシャン的なスタンスでテナー・サックスアルト・サックスも同じように吹く。同じスタジオ・ミュジシャン系であるデヴィッド・サンボーンからはR&Bだとかブルースの匂いがするが,トム・スコットからは昔はジャズを普通にやっていた匂いを感じる。

マイケル・ブレッカー:大変な発明王。割と最近まで活躍していたのに常に新しい奏法,新しいプレイを聴かせていた。つい最近というと発明的にやることがないはずで,楽器は発明されていないのに新たな奏法を自分で作って確立するのが凄い。リズム感も今までにないもの。サックスではなくギターっぽい歌い回し。音色はブライトでトンガッタ特徴的な感じ。フラジオまでをも全く普通の音域のように操ってしまう。フレーズのハズレ具合のコントロールや倍音だけを使って演奏するとかテクニカルな面でもダントツに凄い。

グローヴァー・ワシントンJR.:簡単に言うとポップスのような激しくない歌をサックスで奏でてるようなフュージョンよりもメロディアスなスムーズ・ジャズの走り。アメリカで車内で聴くといいよなぁ。本田雅人は【JUST THE TWO OF US】の邦題が【クリスタルの恋人たち】ということを昨日の放送中に初めて知ったらしい。本田雅人さんはこの邦題に驚いていましたが「初めて知ったのかよ〜っ」て管理人の方が数倍驚きましたから〜。

ウィルトン・フェルダー:クロスオーバー世代のバンド=クルセイダーズのバンド・サウンドをある程度重んじながらも豪快で「ソニー・ロリンズがクロスオーバーした感じ。ここで話が脱線してウィルトン・フェルダーは「仕事が始まると最後までまっとうしなければいけない」ベーススとの二刀流話。「サックスって割と休んでもいい楽器。歌ものなんてほとんど休みじゃないですかぁ。実質休んでいる時間を「ためてる」という表現に大爆笑!

ジェリー・マリガンバリトン・サックスというとソリストよりも縁の下の力持ち的な「セクションの一部」の役割が多くなりがちなのに,一躍真ん中に持ってきたという感じ。とは言えジェリー・マリガンクールな感じでインテリジェンス溢れるムードがあってバリトン・サックス奏者らしい。

ペッパー・アダムスサド=メルにいたのに“華のある”バリトン・サックス。華がありすぎてテナーっぽい面白さがある。

ブランフォード・マルサリス:油の乗り切りまくった絶好調なプレイヤー。歴史を重んじたスタイルの中に全ての音楽性を吸収して一つにしたような演奏。

渡辺貞夫本田雅人が一番最初に「これかぁ」と思ったサックス・プレイヤー。小3からサックスを吹いていたのにビッグ・バンドの楽器ぐらいの認識しかなかった時に渡辺貞夫のドキュメンタリーTVを見て「なんかおかしいぞ。今まで知ってるサックスと違ってこれがいい。サックスで僕がやりたいとしたらこういうことかもしれない。そこからサックス人生が始まったと言っても過言ではない」とのこと。音を聞いて一発で貞夫さんと分かる。ジャズでもフュージョンでも全く違和感なく行ったり来たりしながらも当たり前のように上手く融合されているのが凄い。

3)本田雅人の解説コーナー

本田雅人ライブでの「吹き語り」のネタ=ビリー・ジョエルの【素顔のままで】が「吹いてパッと歌う」のにちょうどいいらしい。

・他の楽器の練習はしていない。最近は学校で教える機会があるのでピアノを伴奏で触れる機会はある。サックスの訓練的な練習としては長い時間を耐久練習的にやることと,心の中で作曲をするというか瞬間瞬間に歌を作るようなつもりで演奏しないと色々出て来ない。

・【メガリス】にまつわるエピソード。新しいバンドに入って1枚目の1曲目。本田雅人を分かりやすく示す用の曲で「こんにちは」の意味合いの曲。気合い入っていたので1ヶ月ぐらいレコーディングした。

・【サックスのためのソナタ第18番「おはこ」】にまつわるエピソード。『サックス』三昧の最高峰。要は「サックスにとってかなり簡単にでも凄い速く指が動くフレーズだけを集めてみました」という曲。「まぁまぁできていない。見ていただければできるわけないでしょ」というライブでのお笑い風の曲。

4)本田雅人の生演奏コーナー

・セラビーさんの生演奏のリクエストで【パラレルグラム】に「忘れましたねぇ」の言葉を置き去りに,吹いてくださいました。演奏終了後は「みたいな。大体そうだったと思います。フフフッ。キーも違うかもしれないです」の弁。やった〜! 超うれしい! 念願かないました!! 都合5曲の生演奏。【放課後は日曜日】【春うらら】【スマック・アウト】【ダスキー・レィディ】も吹いてくれましたが【パラレルグラム】が今日一番の生演奏っ感じで最高でした〜。

 最後に本田さんとなおちゃんへお詫びいたします。実は「今日は一日『サックス』三昧 〜ジャズ&ポピュラー編」の後半は【パラレルグラム】の生演奏をやらないかをチェックしながらも「THE MANZAI」を見て爆笑していました。いや〜,我ながら本田さん並の芸達者? いや〜,贅沢な【放課後は日曜日】からの【パラレルグラム】。完。