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『グリーン・ドルフィン・ストリート』での,ベースのポール・チェンバース,ドラムのフィリー・ジョー・ジョーンズとのトリオは,ベースのスコット・ラファロ,ドラムのポール・モチアンとの黄金トリオ演奏には遠く及ばない。
そう。『グリーン・ドルフィン・ストリート』はビル・エヴァンスの「インタープレイ目前」!
というかビル・エヴァンスは完全に仕上がっている。ポール・チェンバースとフィリー・ジョー・ジョーンズの演奏をよく聴きながらピアノを転がしている。
ポール・チェンバースとフィリー・ジョー・ジョーンズが悪いのでも時代について行けないのもない。インタープレイが画期的であった。ビル・エヴァンスが時代の先端を走っていた。ただそれだけのことなのである。
一つ触れておかなければならない点がある。『グリーン・ドルフィン・ストリート』は『エヴリバディ・ディグズ・ビル・エヴァンス』と共に1977年に発売された発掘音源。つまりは1958年当時の判断としては“お蔵入り”〜。
ポール・チェンバースとフィリー・ジョー・ジョーンズだけでなく,あのオリン・キープニュースさえも,この時点ではビル・エヴァンスの新しいジャズ=インタープレイについてこれていない。
この『グリーン・ドルフィン・ストリート』での“お蔵”の経験があればこそ,自分の音楽性を理解した最良のパートナー=スコット・ラファロを失ったビル・エヴァンスの深い悲しみが増幅したようにも思う。
さて,世間にも身内にも未だ浸透途上だった“完成形の”ビル・エヴァンス“一人名演集”『グリーン・ドルフィン・ストリート』!
そう。天才は死後評価される? 名盤『グリーン・ドルフィン・ストリート』には,後年,世間受けするキラー・チューンが2トラック収録されている。
それが『インタープレイ』の初演としても有名な【あなたと夜と音楽と】とTFM系「JAZZ PIANO BEST SELECTION」のナレーションBGM曲,つまりは「THIS IS JAZZ PIANO」の代名詞に選ばれた?【グリーン・ドルフィン・ストリート】である。

トランペットはマイルス・デイビスによって,アルト・サックスはチャーリー・パーカーによって,テナー・サックスはジョン・コルトレーンによって,それぞれ究められてしまった。
最大音域の自由と平均律の呪縛を併せもつこの楽器とアーティストたちの感性と創造性との果てしない闘争は,やがて熟成された空気となって満ちてくる。 》
毎度なんだかんだと言っているがビル・エヴァンスはどうしようもなく暗い。しかしこの暗さがなければジャズ・ピアノらしさがない。その意味で「ジャズ・ピアノはビル・エヴァンスによって究められた」と明言してもよい。
ただし誤解のないように! 管理人はビル・エヴァンスをそこまで好きではありません! ビル・エヴァンスは外せませんが本命にはなりません!(最近,ビル・エヴァンスについての問い合わせが多いのですが,そこのところをやんわりと〜)
01. YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC
02. MY HEART STOOD STILL
03. GREEN DOLPHIN STREET
04. HOW AM I TO KNOW?
05. WOODY'N YOU (take 1)
06. WOODY'N YOU (take 2)
07. LOOSE BLOOSE
(リバーサイド/RIVERSIDE 1977年発売/VICJ-60372)
(ライナーノーツ/オリン・キープニュース,小西啓一)
(☆XRCD仕様)
(ライナーノーツ/オリン・キープニュース,小西啓一)
(☆XRCD仕様)
コメント
コメント一覧 (2)
まぁ、以前Art Blakey御大の記事を連発してみえたので、まさかEvans本命は無いと分かっておりましたが。
今回の記事でいくと、フィリージョーが一番好きな当方ですが、結局聴いて面白ければ、一般人受けやら肌の色は関係ない訳です。
思わずニヤケてしまいました。全てお見通しだったようでハズカシイ〜。
フィリージョー。いつでも劇薬で共演者を選びますね。ズバリ,エヴァンスには合いませんが,こんなに元気なエヴァンスの生みの親には感謝です。エヴァンスは元気になっても暗いんですよ。やっぱりムッツリスケベなピアニストを再認識させられます。
「結局聴いて面白ければ、一般人受けやら肌の色は関係ない訳です」は至言です。白人であるが故の逆差別に苦悩したエヴァンスに伝えてあげたかったですね。そうすれば演奏を楽しむエヴァンスも聴けたかもしれませんので。