
『DOWN WITH IT』(以下『ダウン・ウィズ・イット』)を愛聴していた頃にそう思った記憶があるし,4日前に聴き直した時にも,やっぱりそう思ってしまった。
これってリアルなブルー・ミッチェルと管理人の頭の中で鳴っているブルー・ミッチェルに差異がない証拠? いいや,これってブルー・ミッチェルに“ハズレなし”の証拠である。
そう。ブルー・ミッチェルの“演奏の質”はいつでも高い次元で安定している。ブルー・ミッチェルは“どう吹いたって”ブルー・ミッチェルのままアゲイン!
『ダウン・ウィズ・イット』で語らねばならないのは,ブルー・ミッチェルの“スピリッツ”である。『ダウン・ウィズ・イット』の楽曲群はバラエティに富んでいる。ハード・バップの分厚いユニゾン&リフ&カウンターで,R&B,ラテン,アフリカン,ボサノヴァ,日野皓正のバラードが登場する。果たして,全トラックがブルー・ミッチェル“色”している。
『ザ・シング・トゥ・ドゥ』は,吹き流しの垂れ流し,的な演奏であったが『ダウン・ウィズ・イット』は,きっちりと仕上げられた端正な印象の演奏である。ブルー・ミッチェルのクインテットがコンボとしてまとまってきた部分もあるのだろう。
そんなバンド・アンサンブルの中にあってブルー・ミッチェルのトランペットが“柔らかい”。周囲の音や風景に溶け込む音色である。だから嫌みがない。どんな演奏でも無理なく自然に優しく響いている。
この辺りの“懐の深さ”がブルー・ミッチェルの度量であって,どんな場面でも冷静にサウンド全体を聴き分けている。力むことなく焦ることなく一気呵成に畳み掛けることもなく…。

『ダウン・ウィズ・イット』のブルー・ミッチェルが“粋”だねぇ。ブルー・ミッチェルが“いなせ”だねぇ。
『ダウン・ウィズ・イット』で“いなせ”なのは“ジャズ写真家”フランシス・ウルフも同様。どうですか!ブルー・ミッチェルに“不釣り合いな”ジャケット写真のインパクト!
ブルーノートの総合力に感動アゲイン〜。ブルーノートって“いなせ”だねぇ。
01. HI-HEEL SNEAKERS
02. PRECEPTION
03. ALONE, ALONE AND ALONE
04. MARCH ON SELMA
05. ONE SHIRT
06. SAMBA DE STACY
(ブルーノート/BLUE NOTE 1965年発売/TOCJ-4214)
(ライナーノーツ/フィル・ガーランド,原田和典,上条直之)
(ライナーノーツ/フィル・ガーランド,原田和典,上条直之)