
ゆえにブランフォード・マルサリスのデビューCD=『SCENES IN THE CITY』(以下『シーンズ・イン・ザ・シティ』)も,出来不出来など関係なく“ウイントン・マルサリスのお兄ちゃん”というだけの理由でヘビー・ローテーション。
特に2曲目【シーンズ・イン・ザ・シティ】における,チャーリー・パーカー,バド・パウエル,マイルス・デイビス・ライクなフレーズが,ナレーション入りの物語を彩る展開がお気に入り〜。
そう。管理人はブランフォード・マルサリスにウイントン・マルサリスの影を探し求めて聴いていた。
そのこと自体は間違いではないと思うが,結果は不毛な作業となった。今でこそ理解できるが「ウイントンはウイントン,ブランフォードはブランフォード」。『シーンズ・イン・ザ・シティ』にウイントン・マルサリスのDNAは薄い。
ポップなセンスとそれの対極にあるようなアヴァンギャルドな感覚の混在,システマティックに聴こえないインサイドとアウトサイドを自由奔放に行き来する独特なスタイル,特異なフレージングを統制して自然なものにまとめ上げているタイトで抜群のリズム感,さらに独特のユーモアを感じる「THIS IS BRANFORD MARSALIS」な個性は,ウイントン・マルサリスの「メインストリート・ジャズ」とは“似て非なり”である。

そう。『シーンズ・イン・ザ・シティ』は,ブランフォード・マルサリスによる「新伝承派」宣言作!
あぁ,何と勿体無いことしてしまったんだろう。“旬の”ブランフォード・マルサリスの美味しさを聴き逃していたよなぁ。
01. No Backstage Pass
02. Scenes In The City
03. Solstice
04. Waiting For Tain
05. No Sidestepping
06. Parable
(CBSソニー/CBS/SONY 1984年発売/25DP 5493)
(ライナーノーツ/A.B.スペルマン)
(ライナーノーツ/A.B.スペルマン)