
ブランフォード・マルサリスはライナーノーツのクレジットの中に「SPECIAL THANKS」欄をいつも設けているのだが,1STアルバム=『SCENES IN THE CITY』では,父親や兄弟など親族の名前ばかりが並んでいた。
2NDアルバム=『ROYAL GARDEN BLUES』では,親族に加えてデイブ・リーブマンの名前を見つけることができた。
そして,この3RDアルバム=『RENAISSANCE』は「SPECIAL THANKS」は,初見の親族の名前が並んでいると思われるが“目玉”は「VERY SPECIAL THANKS」にクレジットされた“ジャズ・ジャイアント”5名=ジョン・コルトレーン,チャーリー・パーカー,ソニー・ロリンズ,ベン・ウエブスター,ウェイン・ショーターのサックス奏者!
そう。『ルネッサンス』こそが,ブランフォード・マルサリスの考える“ジャズ・サックス”! 演奏曲目の中にジャズ・スタンダードを初めて取り入れているのは,過去の遺産の継承であろう。正しく『ルネッサンス』!
全く新しく突飛なことを始めるのではなく,ジャズの歴史の中に脈々と流れている最良の部分を自身の演奏に取り入れる“新伝承派”の『ルネッサンス』!
古典文芸や学術の復興=ブランフォード・マルサリスの『ルネッサンス』は,ジャズの伝統に立ち戻り,そこに新しい彩りを付け加えている。
ジョン・コルトレーン+ブランフォード・マルサリスの【LOVE STONE】と【CITADEL】。チャーリー・パーカー+ブランフォード・マルサリスの【THE WRATH(STRUCTURED BURNOUT)】。ソニー・ロリンズ+ブランフォード・マルサリスの【JUST ONE OF THOSE THINGS】と【ST.THOMAS】。ベン・ウエブスター+ブランフォード・マルサリスの【LAMENT】。ウェイン・ショーター+ブランフォード・マルサリスの【THE PEACOCKS】。

【ST.THOMAS】におけるブランフォード・マルサリスのテナー・ソロには,あの日のロリンズが息づいている! 「VERY SPECIAL THANKS」!
01. JUST ONE OF THOSE THINGS
02. LAMENT
03. THE PEACOCKS
04. LOVE STONE
05. CITADEL
06. THE WRATH (STRUCTURED BURNOUT)
07. ST. THOMAS
(CBSソニー/CBS/SONY 1987年発売/32DP 878)
(ライナーノーツ/市川正二)
(ライナーノーツ/市川正二)