
だ〜ってチック・コリア&ゲイリー・バートンのデュエット作『HOT HOUSE』がグラミー受賞で『タイム・スレッド』が受賞できない理由など見つからないのですから〜!
だ〜ってその2。小曽根真&ゲイリー・バートンの12年前のデュエット作=『VIRTUOSI』でさえグラミー・ノミネートだったんだから『タイム・スレッド』が(受賞できないことがあるにしても)グラミー・ノミネートさえされない理由など見つからないのですから〜! 残すはVERVEさん,頑張って〜!?
キース・ジャレット・トリオの大名盤『SOMEWHERE』を差し置いて,管理人にここまで言わせる小曽根真が真に凄い!
勿論,ザ・トリオやソロやデュオも含めて小曽根真はデビュー当時から凄かったのだが,『タイム・スレッド』におけるゲイリー・バートンとの「音楽的会話」が最高に素晴らしい。
特に小曽根真の大車輪の名サポートがあってこそのゲイリー・バートンのリラックスがある。ゲイリー・バートンがインプロビゼーションに没頭できている。それくらいに“細やかな気配り”を感じさせるピアノの絶妙なバッキングに「完全KO」!
ゲイリー・バートンにスペースを与えながら,それでいて自分のソロが回ってくると,ゲイリー・バートンを脇へ押しやる大立ち振る舞い! 美メロは全て小曽根真が弾いている。
30年の時を経て,小曽根真とゲイリー・バートンの関係性は「師弟」から互いを挑発し合う「盟友」へと変化してきている。もはや2人は対等な船長職に位置している。
しかし「阿吽の呼吸」「以心伝心」の面において対等なのは好都合であるが,実際の航海に出航したならば船長は1人。船長が2人いると航路は迷走する。そこで「阿吽の呼吸」「以心伝心」で出航できるとしても,敢えて小曽根真が話しかけていく。「ゲイリー船長,この曲はこういう解釈でいいのでしょうか?」。
小曽根真は当然,ゲイリー・バートンの答えを聞く前から知っている。しかしゲイリー・バートン自身の口から実際に答えを出させることによってゲイリー・バートン自身が,明確に意識していなかった感覚,を共有することが出来ている。
そう。小曽根真がゲイリー・バートンの才能を引き出している。ゲイリー・バートンの類まれな才能を一番熟知しているのが“世界の小曽根”なのだった。
『タイム・スレッド』は,ピアノとヴィヴラフォンのデュエットという,同じ打楽器にして鉄弦と鉄琴の異なる響きを活かした「2人だけの感覚」の調和を第一に音造りがなされている。
チック・コリア&ゲイリー・バートンのデュオも同じようなものだが,チック・コリア&ゲイリー・バートンの場合は,古来からある「伝統芸能」的なニュアンスに酔いしれるのに対して,小曽根真&ゲイリー・バートンの場合は「温故知新」的なニュアンスに酔いしれる。

鉄弦と鉄琴の強弱によって“時間の糸を手繰り寄せる”的なピアノとヴィヴラフォンのコラボレーションは唯一無二のハーモニー。ユニゾンではない2人の手癖が重なった瞬間のハーモニーが本当に心地良い。
『タイム・スレッド』を当然聴いたであろうチック・コリアの胸の内は嫉妬でメラメラ? 小曽根真&ゲイリー・バートンの次回作に期待度MAXであるが,チック・コリア&ゲイリー・バートンの次回作こそ,過去最高にエキサイティングな予感がしている。
そう。小曽根真とゲイリー・バートンはラヴラヴである。チック・コリアよ,大いに嫉妬せよ!
01. Fat Cat
02. Stompin' at B.P.C.
03. Lee's Party
04. Sol Azteca
05. Italpark
06. Hearts in Langenhagen
07. Popcorn Explosion
08. Time Thread (for Bill Evans)
Suite "One Long Day in France"
09. Part I "Lyon in the Morning〜I hear A Trouble!"
10. Part II "Cordon Bleu"
11. Part III "Deux Petites Voitures Francaises〜The
Concert"
12. I hear a Rhapsody
(ヴァーヴ/VERVE 2013年発売/UCCJ-2112)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/小曽根真,ゲイリー・バートン)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/小曽根真,ゲイリー・バートン)