
ズバリ,スガダイローの絶対に破綻しないフリー・ジャズ=アメリカン・ヒーローもののようである。
途中でどんなにやられようが最後には正義が勝つというお決まりの安心感。88の鍵盤をとっかえひっかえ乱打しているうちに肝心の音楽が消えていく不思議な感覚。雨が降ろうが槍が降ろうが最後までケラケラ笑って楽しめる“一家団らん”フリー・ジャズ。
ジャズ/フュージョンのスタイルとして,エンターテイメントに一番遠いのがフリー・ジャズ。難解だし集中して聴き続けなければ楽しみを聴き逃してしまうのがフリー・ジャズ。
しかし,ジャズ界の「突然変異」スガダイローがピアノを弾くと,フリー・ジャズがジャズ/フュージョンのスタイルの中で一番エンターテイメントしてしまう!

・『坂本龍馬の拳銃 −須賀大郎短編集−(上)』と『黒船・ビギニング −須賀大郎短編集−(下)』での“ホンキートンク・ピアノ”の調律ハズレがエンターテイメント。
・『坂本龍馬の拳銃 −須賀大郎短編集−(上)』と『黒船・ビギニング −須賀大郎短編集−(下)』での「縦ノリ」=非スイングがエンターテイメント。
・『坂本龍馬の拳銃 −須賀大郎短編集−(上)』と『黒船・ビギニング −須賀大郎短編集−(下)』での,大胆な構図,繊細な描写,スピード感,異常なまでの熱量とアーティスティックな職人気質がエンターテイメント。
・『坂本龍馬の拳銃 −須賀大郎短編集−(上)』と『黒船・ビギニング −須賀大郎短編集−(下)』での,ジャズのアーカイブ的なメロディアスなフレーズがエンターテイメント。
・『坂本龍馬の拳銃 −須賀大郎短編集−(上)』と『黒船・ビギニング −須賀大郎短編集−(下)』を,聴き終えた時に襲ってくる,抱腹絶倒,痛快無比,悲喜こもごもな感情がエンターテイメント。

スガダイローがフリー・ジャズの“鎖国”へと『黒船』で乗り込んで行く。
そう。スガダイローはジャズ界のペリー。だからジャズ界の「突然変異」なのである。
PS 「黒船・ビギニング −須賀大郎短編集−(下)-3」は販促用の特典CDです。
01. East Coast Way
02. The Outlaw
03. Black Ship
04. Children's Song No.1
05. Dragon Beard
06. It Don't Mean A Thing If It Ain't Got That Swing 〜
Thelonious
07. My Funny Valentine
08. The Trickster
09. How To Put The Standard Songs Into Your Brain
10. Beginning
11. The Gate of Tengu
(COOL FOOL/COOL FOOL 2009発売/CLFL-0002)
(ライナーノーツ/スガダイロー)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/スガダイロー)
(デジパック仕様)