TRUTH 21CENTURY-1 『宝曲』『夢曲』『虹曲』と続いた,T−スクェアの“恒例・秋の風物詩”セルフカヴァー・シリーズ。
 第4弾となる『HISTORY』(以下『ヒストリー』)は『宝曲』『夢曲』『虹曲』で貫かれた“現「河野坂東時代」のT−スクェア”のコンセプトとは異なる実に12年振りの「T−SQUARE PLUS」名義でのセルフカヴァー
 そう。「T−SQUARE PLUS」名義はT−スクェアの「ハードロック・プロジェクト」!

TRUTH 21CENTURY-2 しか〜し『ヒストリー』の「T−SQUARE PLUS」は『TRUTH 21CENTURY』の「T−SQUARE PLUS」にあらず。
 「T−SQUARE PLUS」が“看板倒れ”。ズバリ『ヒストリー』ではハードロックできていない。どれもこれもがミディアム・テンポへスロー・ダウン。
 これってフュージョンがハードロックに振れたではなくフュージョンスムーズ・ジャズに振れただけ?

TRUTH 21CENTURY-3 特に“ギンギンの”【PRIME】1曲だけを期待していたから【PRIME】がミディアム・テンポで流れた瞬間『ヒストリー』の全てがアウト。個人的にはかなりゲンナリ。
 でも収穫は【11月の雨】と【TERRA DI VERDE】の2曲。奇しくも2曲とも和泉宏隆作曲とは「T−SQUARE PLUS」の一人主人公=安藤正容の“狙いが外れた”?

 どうやら『ヒストリー』がイマイチな理由はこの辺にあるように思う。『ヒストリー』は演奏もアレンジも超一流。でも微妙に少しずつ“狙いが外れた”感覚。

TRUTH 21CENTURY-4 微妙な感覚の狂いは,上述した「安藤正容作曲の選曲ミス→それに合わせたミュージシャンの人選ミス」。
 どうせならもっとビッグネームを起用してほしかった。特に伊東たけしと被るアルトサックスの代役には,せっかくリッキー・ピーターソンと演るのならデヴィッド・サンボーンで決まりしょ? デヴィッド・サンボーン伊東たけしのアイドルであるわけだし。デヴィッド・サンボーンが吹くのなら“吹きたがりの”伊東たけしも気持ちよくEWIに専念できたでしょうに…。

 期待の「ハードロック・プロジェクト」でもなく「和泉宏隆作曲」だけがハマリ「デヴィッド・サンボーン不在」の『ヒストリー』に『TRUTH 21CENTURY』で一世を風靡した「T−SQUARE PLUS」名義は似合わない。

TRUTH 21CENTURY-5 事実『ヒストリー』の真実は「安藤正容ソロ名義」と呼んでもよい。あるいは「安藤正容 & フレンズ名義」そのものである。

 そう。『ヒストリー』の聴き所は,安藤正容がロック・ギターをかき鳴らしている瞬間にある。安藤正容ファンにとって『ヒストリー』は,安藤正容ソロ以上に“安藤正容を感じる”1枚だと思う。

TRUTH 21CENTURY-6 さて『ヒストリー』の聴き所が安藤正容であるならば『ヒストリー』の見所は特典DVDの5分7秒。
 ああ,やっぱり。リッキー・ピーターソンの口から飛び出す『ヒストリー』のキーワード“スムーズ・ジャズ”! ああ,やっぱり。『ヒストリー』に「T−SQUARE PLUS」名義は似合わない。

PS 特典DVDの2トラック目。【DVD INFORMATION】に目が釘づけ。シューティング・ライブの映像は“超・絶景”でしたよ。

  Disc 1 (CD)
  01. 11月の雨
  02. HISTORY
  03. 夜明けのビーナス
  04. YOUR CHRISTMAS
  05. LANDSCAPE
  06. PIOGGIA DI CAPRI
  07. PRIME
  08. TERRA DI VERDE
  09. HIGH TIME

  Disc 2 (DVD)
  01. Behind the Scenes of T-SQUARE plus 「HISTORY」
  02. DVD Information

(ヴィレッジ/VILLAGE 2013年発売/VRCL-10112〜13)
☆SACDハイブリッド盤+DVD仕様
★【初回生産限定盤】4種ジャケットカード&フレーム帯仕様
★音匠仕様レーベルコート

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