
直感的にイメージした『キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ』のクレジットを確かめてみると,やっぱり! ジミー・コブがキャノンボール・アダレイと実際に共演していました!
うれしい。少しは耳が肥えてきたかなぁ。ニヤニヤ。
さて,なぜこの「勝手な大当たり」が重要なのかというとキャノンボール・アダレイというアルト・サックス・プレイヤーの魅力は,純粋の音楽ファンにとってはマイルス・コンボ独立後における“ファンキー”キャノンボールにあるとしても,純粋のジャズ・ファンにとっては「チャーリー・パーカーの再来」と呼ばれたデビュー〜マイルス・コンボ在籍時の“インプロヴァイザー”キャノンボール。
『キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ』におけるキャノンボール・アダレイのアルト・サックスは,正しく「チャーリー・パーカーの再来」であろう。
あのジョン・コルトレーンを脇へと追いやるアドリブ・ラッシュ。加えて【アラバマに星堕ちて】における“歌心”。
マイルス・スクール卒業後の『キャノンボール・アダレイ・イン・サンフランシスコ』では,明らかにマイルス・デイビスを意識しているのに対し,マイルス・スクール在籍時の,所謂“マイルス抜き”な『キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ』では,明らかにマイルス・デイビスを忘れている。自由自在に吹き上げている。
そう。好き放題に吹き上げるキャノンボール・アダレイのアルト・サックスは,太く,大きく,明るい輝きにあふれた音色と,スケールの大きなタイム感,そしてビ・バップのフレージングを基調とした,あくまでもナチュラルな“歌心”溢れるアドリブ。
このキャノンボール・アダレイの「名演中の名演」を一番そばで聞いていたジミー・コブが矢野沙織を「日本のキャノンボール・アダレイ」と称したのだと知った時の管理人の“胸の高まり”を想像していただけますかっ!
“生涯最高の”キャノンボール・アダレイに“激似”な矢野沙織は当時18歳。あぁ“女子高生”だった沙織ちゃん。本当に大好きだったのに今ではエロイ人妻で〜す。

『キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ』はジャズ史に残る大名盤で間違いないので自信を持って大丈夫です。
(私事の言い訳)矢野沙織のデビュー前なら,もっと他にも書くことがあったはずなのですが,ジミー・コブの「矢野沙織は日本のキャノンボール・アダレイ」発言以降→矢野沙織が“激似”な『キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ』の“勝利の方程式”のインパクトが強烈すぎたものでして。あれっ,タイトルって『矢野沙織・クインテット・イン・シカゴ』じゃなかったっけ?
矢野沙織のデビュー前に抱いていた『キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ』の印象は完全に吹き飛んでしまった自分がいます。
『キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ』におけるキャノンボール・アダレイのアルト・サックスが矢野沙織のアルト・サックスと重なり聴こえて評価不能。「恋煩い」は病気です。
01. LIMEHOUSE BLUES
02. STARS FELL ON ALABAMA
03. WABASH
04. GRAND CENTRAL
05. YOU'RE A WEAVER OF DREAMS
06. THE SLEEPER
(マーキュリー/MERCURY 1959年発売/UCCM-9059)
(ライナーノーツ/村井康司)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/村井康司)
(紙ジャケット仕様)
コメント一覧 (2)
当方もファンキーアダリィよりもパーカー直系アダリィの方が好みだったりします。
余談ですが、キャノンボールがアルトを持っていると玩具みたいに小さく見えまして、グリフィンがテナーを持っている姿と正反対ですね(笑)
このalbumの一曲目、ライムハウス・ブルーズ の出だし一発でウキウキしてしまう訳ですが、コブ、ケリー、チェンバースという面子はこの手が本領発揮です。
どちらかというと、トレーンのrhythm感ではこの面子とキャノンボールについていくだけで精一杯です。彼にケリーやキャノンボールの様なrhythm感があったなら、後のシーツオヴサウンド、詰まり隙間を音で埋め尽くしてしまうplayはあり得なかったでしょう。
可愛そうですが、この時代のトレーンはハードバッパーのリーダー作では悉くケチョンケチョンになってしまいますし(笑)、かといってモンクとのalbumでもやりにくい感じが出てきてしまいます。
にしても、キャノンボールは本当に上手いですよね!音色、音程、rhythmの3拍子、まさにperfectです。見た目通り、アルトを玩具の様に自在に操ってしまう敏腕振りが痛快そのものです。
確かにキャノンボールの手にかかればアルトはおもちゃなのでしょうね。おもちゃで遊んで音楽で遊ぶ。大食漢な男です。
一方で性格もトーンも正反対なコルトレーンですが,らしさはあります。この後コルトレーンは激変していくわけですが,彼が生真面目で一生懸命なのは,隣りでおもちゃのようにサックスを操るキャノンボールとの出会いも絶対に影響を及ぼしていると考えます。例えば,重量級のテナーから軽量級のソプラノへの転向はキャノンボールの「バード2世な飛翔」の影響もあるのかと。
マイルスの抑圧から解放されて気分爽快なキャノンボール。レコーディングなのにおもちゃで遊んだだけのような「青天井の凄み」を感じますね。