VIVA!-1 付け焼刃で見切り発車だったデビュー・アルバム『JIMSAKU』は置いといて,メンバーの固定化でジンサク独自のアイデンティテイが確立された『45℃(FORTY−FIVE DEGREES)』〜『JADE』で,カシオペア本体と肩を並べた“ジンサク絶頂期”のライブ盤が『VIVA!』(以下『ビバ!』)である。

 『ビバ!』のライブ・レコーディングは,中央にドラム神保彰ベース櫻井哲夫が陣取り,スポットライトを浴び続ける前代未聞のステージング。そこへツインキーボード森村献吉弘千鶴子ギター是方博邦エレクトリックヴァイオリン中井一朗のゲスト陣がジンサクの2人を囲んでいる。

 そのせいなのか『ビバ!』では,音響的にも演出的にもドラムベースが主役を張っている。特に櫻井哲夫ベースの音の抜けの良さは格別。
 ゆえに櫻井哲夫ベースでステージを回している様子がよ〜く分かる。そして『ビバ!』は神保さんに押し出されていた櫻井さんの復権の時期であったこともよ〜く分かる。

 『JIMSAKU』から3曲。『45℃(FORTY−FIVE DEGREES)』から2曲。『JADE』から2曲。未発表曲が1曲の選曲からして『ビバ!』は単純に『JADE』のフォロー・ツアーではなくジンサクとしての活動の“集大成”的なライブであろう。

VIVA!-2 フロントマンである中井一朗エレクトリックヴァイオリンフィーチャリングするのは“ラテン”アレンジの森村献と“叙情派”アレンジの吉弘千鶴子の対局に位置するツイン・アレンジャー。森村献吉弘千鶴子の個性の違いが見事な濃淡を描き出している。

 森村献から吉弘千鶴子へバトンタッチした瞬間の“振り幅のうねり”がジンサク・バンドのアイデンティテイなのだが,ライブ盤でも“CDそのまんま”だったのが個人的には一番ツボった。

 あっ,話題に乗り遅れていた人がいた。スーパー・ギタリスト是方さんなのですが,う〜む。“いかにもバンドマン”って感じで終始さえないよなぁ。CDと違ってブラス隊がいないのだから,是方さんお得意のハイトーンでホーンズ5人分を弾ききってほしかったんだけどなぁ。これって大人の事情なの?

  01. SMALL WORLD
  02. SONGO DE GO GO
  03. A MAN FROM THE ANDES
  04. GIANT FORCE
  05. 45℃ FORTY-FIVE DEGREES
  06. I MISS YOU
  07. PLEASURE IN RIO
  08. VERMILLION

(ポリドール/POLYDOR 1992年発売/POCH-1180)

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