
では“濃厚”ラテン・フュージョンの追求はやめて「中期」ジンサクはどこへ向かったのか? その答えは『ウインド・ラブズ・アス』のサブ・タイトル『風は僕等を愛してる』のキャッチ・コピーが言い当てている。
『ウインド・ラブズ・アス』では,ジンサク・サウンドの“象徴”であった中井一朗の出番がめっきり減り,出番があってもサイドメン的な起用法。エレクトリック・ヴァイオリンに代わって,一般的なギターやサックスやトランペットがフロントとしてソロを取る。
なんだかジンサクが“爽やか系”に聴こえてしまう。おいおい。これじゃぁ,カシオペアを飛び出した意味がないじゃないか〜。おいおい。これじゃぁ,カシオペアの二番煎じじゃないか〜。カシオペア時代をなぞるのだけはよしておくれ〜。
そう。『ウインド・ラブズ・アス』は,それくらいの苦言を呈したくなるような“爽やか系”フュージョン。
なんたってカシオペアのフロントマン=ギターの野呂一生とスクェアのフロントマン=アルト・サックスの伊東たけしとアルト・サックス&フルートの本田雅人がスペシャル・ゲスト参加。
なんたって,キーボードの森村献,キーボードの吉弘千鶴子,ギターの是方博邦,ギターの鳥山雄司,エレクトリック・ヴァイオリンの中井一朗,アルト・サックス&ソプラノ・サックスの本多俊之,テナー・サックスの山本拓夫,テナー・サックスの小池修,テナー・サックス&バリトン・サックスの斉藤清,トランペットの佐々木史郎,トランペットの鈴木正則,トロンボーンの佐野聡,トロンボーンの中路英明,パーカッションの木村誠,パーカッションの田中倫明,パーカッションの斉藤ノブ,パーカッションの仙波清彦がゲスト参加。
どうですか! この豪華な参加メンバー! これぞJ−フュージョン・オールスターズによるラテン・フュージョン仕様! そう。カシオペアやスクェアのDNAがミックスされた王道“爽やか系”フュージョン!
大豊作で充実期のジンサクであったとしても,音楽性の豊かな櫻井哲夫と神保彰であったとしても,1年に4枚もCDリリースするとなると,やっぱりこうなるんですよ。
ジンサクの1993年は『JADE』『VIVA!』『100%』に『ウインド・ラブズ・アス』の4枚リリース。
凄いなぁ〜。やっぱり『JADE』が頂点だったんだよなぁ〜。残りは勢いだけだったのかもなぁ〜。

特に伊東たけしがフィーチャリングされた【I’M GONNA CATCH YOU】が大好物。「JIMSAKU WITH 伊東たけし」からの「JIM−TAKE−SAKU」が相性バッチリ!
『ウインド・ラブズ・アス』のハイライト。『100%』を“最高傑作”認定した管理人のことだから【FUNKY PUNCH】で来ると思ったでしょう? 違うんだなぁ。基本“爽やか系”フュージョンが全部好きなので名曲揃いなんだよなぁ。 ←アレレ? なんだか『ウインド・ラブズ・アス』大絶賛の方向に行ってやいませんか?
改めて『ウインド・ラブズ・アス』のハイライトは【SNAKEMAN’S SHUFFLE】。理由は,いつにも増して分厚いラテン・フュージョンだから! 神保さんなんてノリノリでアフロ・キューバンまで飛び出しているから! 一番ジンサクらしいから!
01. WIND LOVES US
02. DOROTEA
03. I'M GONNA CATCH YOU
04. ALCAIC SMILE
05. SNAKEMAN'S SHUFFLE
06. FUNKY PUNCH
07. GONDWANA
08. AIDA
09. AFTER THE RAIN
10. NIGHT CRAWLER
(ポリドール/POLYDOR 1993年発売/POCH-1248)
コメント
コメント一覧 (2)
ジンタケサクから入ったので、261ブロードウェイとアイムゴナ・・・が好物なんですが、当時、バンドでやらないかと提案してみたけど、あまりに装飾が凄いんで無理って却下されました。
スクでもなくカシでもなく、あの1曲でTKのアルバムになってるといっても過言ではない気がするのだが・・・
ちょうど、レコード会社がキティーかなんかになって。伊東さんが煮詰まってた時期で、ジンタケサクはいいはけ口だったんだろうなぁ・・・
ブルーノート福岡に行きました。
その辺はまた会ったときに・・・
いずれにしても、ジンサクを維持するための大人の事情があったんだろうなと想像。
ジンタケサク。いいですよね。『WIND LOVES US』批評としてジンタケサクのデビュー盤という視点でレビューしようかと思ったくらいです。でも野呂さんと本田さんがいますし,どうしてもジンサクらしさが希薄になった旧カシオペア路線復活の印象が強いですので,こんな形のレヴューに落ち着きました。
伊東さんの存在感が強烈です。一音で持っていくとは【I’M GONNA CATCH YOU】のことを指しています。まさにTK名義のアルバムといってもいいくらい。
櫻井さんも神保さんもやりたいことは2枚目と3枚目でやり尽くしたのでしょうが,ジンサクは意地とメンツで続けたのでしょうね。今となっては長期間のユニット継続は櫻井さんにとっても神保さんにとっても難しかったように思っています。