
いいや,これでは過小評価だ。『ネイブル』こそジンサクの“裏”名盤。これでいいと思う。
『ネイブル』の良さはジンサクの“追っかけ”よりも“一見さん”の方がよく分かるのかもしれない。そして“一見さん”の評価の方が正しいのかもしれない。
『ネイブル』を『WIND LOVES US』の延長線上として捉えると,例のラテン・フュージョンが“さらに薄くなった”ことに不満を覚えてしまう。これはジンサクを櫻井哲夫と神保彰のユニットとして聴いてしまうからだ。
しかしジンサクをフュージョン・バンドの1つとして聴くことができれば『ネイブル』ほど,メロディアスな楽曲群はない。あの手この手,手を変え品を変え,極上の“爽やか系”フュージョンが展開されている。
つまり『ネイブル』を「下からではなく上から」(リズムではなくメロディから)聴くことができるフュージョン・ファンであれば『ネイブル』こそジンサクの“最高傑作”と捉えることも可能なのだ。
事実,管理人の愛聴盤である角松敏生組とジンサクのコラボ作『DISPENSATION』以上にメロディアス!
『ネイブル』こそジンサクの“裏”名盤。この結論に至るようになったきっかけは“ハッとさせられた”実体験にある。
友人へジンサクのCDを10枚全てリッピングしてあげたのだが,その彼にお気に入りが『ネイブル』だった。
その彼は美メロ好きの遅れてやってきたフュージョン・ファンであって,リズムはよく分からないと公言する,管理人と似た趣味を持つ男で,櫻井哲夫と神保彰の凄さは分かっていないらしい。
管理人はジンサクの凄さをレクチャーし,お奨めの例題として『45℃(FORTY−FIVE DEGREES)』『100%』『DISPENSATION』について“とくとくと”説明してから送り出した。
その結果,もしや『JADE』や『VIVA!』を押されても,その事実を受け止めようと思いながら…。

意外であった。それまでの管理人の『ネイブル』に対する印象は,一曲一曲はいいのだがアルバムとしては散漫過ぎる印象有。ゆえにヘビロテに至ることはなかった。ニュアンスとしての『ネイブル』はパット・メセニー・グループの『ファースト・サークル』と書けばフュージョン・ファンには伝わることと思う。
「シンプルな歌もの」…。確かに…。確かに…。
ジンサク=ラテン・フュージョンという思い込み…。アルバムの評価は1枚通してのまとまりだという思い込み…。
改めて聴き直した『ネイブル』は「シンプルな歌もの」だった。多彩なゲスト陣がジンサクの生み出すグルーヴの大波の上で歌っている! メロディアス! “爽やか系”フュージョンの大名盤!
あっ,『ネイブル』の評価が急上昇したのは彼の影響だけではありません。神保さんのドラミングが更なるスケールアップを自力で再発見。ラテン系の多様性と生命のアース・ビート。ヘソ=『ネイブル』=地球的リズムとはうまく例えたものである。
01. NAVLE OF THE EARTH
02. SHINKIRO
03. BIG MAN
04. ALISA
05. RENDEZVOUS
06. PEA CAN ZOUK
07. CRESCENT JAM
08. GURU GURU LABYRINTH
09. DAWN VOYAGE
10. TOKYO TOWER OF POWER
(ポリドール/POLYDOR 1994年発売/POCH-1386)
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