JAZZ AT MASSEY HALL, VOL.1-1 ビ・バップを創造し,牽引し,発展させてきた5人のビッグ・ネームが一堂に会したベリー・ベリー・スペシャル・ライブ盤が『JAZZ AT MASSEY HALL,VOL.1』(以下『ジャズ・アット・マッセイ・ホール』)。

 その「栄光の5人」とは,トランペットディジー・ガレスピーピアノバド・パウエルベースチャールス・ミンガスドラムマックス・ローチアルト・サックスチャーリー・チャン
 えっ? チャーリー・チャン?のクレジットを2度見しましたか?

 そう。チャーリー・チャンとはチャーリー・パーカーのことである。この当時も?借金まみれの?チャーリー・パーカーは借金取りから印税が持って行かれないように偽名の別口座持ちで参戦したのだとか? 『ジャズ・アット・マッセイ・ホール』のジャケット写真もアルト奏者1人だけが顔面カットされていますし…。
 偽名の真相はよく知りませんが『ジャズ・アット・マッセイ・ホール』のアルト・サックスを聴けば,チャーリー・チャンチャーリー・パーカー本人であることは管理人が保証します。この音は紛れもないパーカー・フレーズで相違ありません。

 余談ですが,この音から演奏者を当てるという手法はピアノバド・パウエルには当てはまりません。こちらも事の真相はよく知りませんが,この夜のバド・パウエルは酒に酔っていたらしいのです。酒をひっかけてステージに上がることはバド・パウエルにとって特段珍しいことではないのでしょうが,う〜む。この日のバド・パウエルは明らかに不調。
 『ジャズ・アット・マッセイ・ホール』で偽名を使っているのはチャーリー・パーカーではなくバド・パウエルではありませんか?

 余談の余談なのですが,こんな超ヘビー級の5人が集結したコンサートだというのに,客席はガ〜ラガラだったらしいのです。なぜなら同じ夜にボクシング・ヘビー級のタイトル・マッチが開かれたらしいのです。正真正銘のヘビー級にジャズ界の重鎮たちが5人がかりで完敗したというわけです。

 さらに余談の余談の余談なのですが,チャーリー・パーカーはこの日手ぶらで会場入りし,借り物の白いプラスチック製のアルト・サックスを吹いたとの逸話まであるのです。

JAZZ AT MASSEY HALL, VOL.1-2 う〜む。眉唾ものだ。事実『ジャズ・アット・マッセイ・ホール』は,曲の頭が少し切れている。「栄光の5人」と呼ばれてはいても一人一人の力量は確実にピークを過ぎた凡庸さを感じ取ってしまう。

 そう。『ジャズ・アット・マッセイ・ホール』は,聴いていて気になるところばかりな「迷盤」なのだが,ビ・バップには『ジャズ・アット・マッセイ・ホール』のような「破天荒なアウトロー」スタイルが断然似合うから受け入れちゃう!

  01. PERDIDO
  02. SALT PEANUTS
  03. ALL THE THINGS YOU ARE/52ND STREET THEME
  04. WEE (ALLEN'S ALLEY)
  05. HOT HOUSE
  06. A NIGHT IN TUNISIA

(デビュー/DEBUT 1953年発売/VICJ-23062)
(ライナーノーツ/油井正一)

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