
しかし10人中7,8人はマイルス・デイビスであったとしても,残る2,3人にとって【枯葉】と来れば,ビル・エヴァンスであり,キース・ジャレットであり,ウィントン・ケリーである。【枯葉】はジャズの大スタンダードなのだから,至極当然の話…。
…で,管理人にとっての【枯葉】とは? この答えが難しい。というのは日替わりで好きな【枯葉】が変わっていくのだから…。
…で,本日取り上げる【枯葉】はチェット・ベイカーの【枯葉】。チェット・ベイカーの【枯葉】はトラック単体でも素晴らしいが,一枚のアルバムとして聴き通しても素晴らしい。
ズバリ,チェット・ベイカーの【枯葉】の『枯葉』こそ,チェット・ベイカーの“最高傑作”であり,CTIレーベルを代表する“名盤中の名盤”である。
ECMやブルーノートには及ばないがCTIという言葉を聞くだけで胸を躍らせてしまう管理人。CTIには本当にいいアルバムが多い。イージー・リスニング調の「売れ線ジャズ」でありながらマニアをも納得させる上質のジャズ/フュージョンを堪能できる。その意味で『枯葉』こそがCTIの全てだと言い切ってもよいと思う。
チェット・ベイカーが“フュージョンもどき”の【枯葉】を吹いているのだが,甘く暖かな音色の中にも枯淡の響きを持つトランペットを“盛り上げる”スティーブ・ガッドとジャック・デジョネットの攻撃的な“うるさ型”ドラミングとボブ・ジェームスの控え目なのに華やかなエレピとロン・カーターの脈打つベースを従えた,チェット・ベイカーと同じまろやか方面のポール・デスモンドのアルト・サックスが「死にゆく葉っぱ」を埋葬している。ありそうでなかったこのアイディアを完璧に具現化したCTIサウンドが素晴らしい。
テクニカルなのにズバッとハマッタ【枯葉】の大名演。ジャズ・スタンダードがフュージョンの新曲であるかのように新鮮に聞こえてしまう。今もって新鮮味が衰えない真の大名演。
思うに,引退と復帰を繰り返し,何度目かのカムバックを果たした自分自身の人生と,売れ線のフュージョンという時代とCTIのドン・セベスキーとの出会い等,名演を生み出す幾つものタイミングが全てマッチしたのだろう。
やっぱりチェット・ベイカーは「スター」だよなぁ。チェット・ベイカーこそが「千両役者」なんだよなぁ。クリード・テイラーがお膳立てした,後は吹くだけ,の大仕事をキッチリとこなした結果だと思う。打つべきところで打ってくれる「3番打者」長嶋茂雄的な名演だと思う。

管理人なんかは【シー・ワズ・トゥー・グッド・トゥ・ミー】のメロウなオーケストラ調のイントロが流れてくるだけで,もう涙ウルウル〜。70年代以降のチェット・ベイカーのボーカルはフランク・シナトラ・チックに流麗な盛り上がりを聴かせていくのだが,そのクライマックスへ来ての“可憐でキュートで甘美すぎる”間奏でのトランペット・ソロに,涙チョチョギレ〜。
加えてストリングスとエレピがオルゴール調でハーモニーを付けてくるのだから,た・ま・ら・な・い〜。
悲しみの歌なのに,愛と希望そして勇気のメッセージ・シングに思えてしまって心の奥底から感動してしまう。シビれる。もうどうにでもよくなってしまう美しすぎる絶品バラード。
管理人はこの【シー・ワズ・トゥー・グッド・トゥ・ミー】を聴き続けて,ついに結婚することを決めました。はい。「人生この一曲」なのであります。
お相手もこれまた『枯葉』のジャケット写真のような少女のようなお方です。決定的な出来事が1つと準決定的な幾つもの出来事が同時期に重なり合い10年越しの運命を感じました。こそっと?読者の皆さんへご報告させていただきます。
独身主義の管理人。友人の皆さんは多分信じてくれない? 後日,改めて個人的にご報告させていただきます。それまではそっとしておいてくださいませ。
01. AUTUMN LEAVES
02. SHE WAS TOO GOOD TO ME
03. FUNK IN DEEP FREEZE
04. TANGERINE
05. WITH A SONG IN MY HEART
06. WHAT'LL I DO
07. IT'S YOU OR NO ONE
(CTI/CTI 1975年発売/KICJ-9003)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/ダグ・ラムゼイ)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/ダグ・ラムゼイ)
コメント一覧 (4)
“さりげなさげの衝撃の告白”というやつですな。とにもかくにも“こんぐらちゅれーしょん!”
いまあわてて『SHE WAS TOO GOOD TO ME』の動画を探し当て、その4分43秒の間にこの文案を閃かせ、反芻するかのようにこうして綴っています。
今夕、一緒に「舞台公演」を観に行ったのに、夕食もしないまま帰ると貴兄が言ったとき、どこか体調でも……と少し心配していました。
ああ、よかった。素晴らしいことですね。とりあえずは、ひとこと祝辞をと思って……。
エヘヘ。そういうことで恒例のお食事はできませんでした。この件は追ってきちんとお話しますので。それまでそ〜っとそ〜っと。
まだ知り得ていない他の仲間にはしばらく内緒でお願いします。
今夜の演劇鑑賞も楽しかったです。九大のレベル上がりましたよね。次回は西南に誘ってくださいねっ。
ありがとうございます。彼女についシンパシーを感じてしまったのです。チェットには感謝しております。
でも私情抜きで【シー・ワズ・トゥー・グッド・トゥ・ミー】のボーカルと間奏でのトランペットが極上です。世界中には私たち以外にも【シー・ワズ・トゥー・グッド・トゥ・ミー】を聴いて結婚したカップルがいるものと信じます。その位,心揺さぶる大名演です!