RETURN TO FOREVER-1 『RETURN TO FOREVER』(以下『リターン・トゥ・フォーエヴァー』)こそが,70年代ジャズフュージョンの“最高傑作”である。
 この点については大方のジャズフュージョン・ファンにご賛同いただけると思っている。

 ズバリ『リターン・トゥ・フォーエヴァー』について議論となるのは「名盤か否か」などではなく,名盤の理由としての「時代の名盤なのか,チック・コリア名盤なのか」なのである。

 この問題に答えを出すのは非常に難しいのだが,管理人は(どちらかと言えば ←逃げ道を作っている?)後者を支持する。
 そう。『リターン・トゥ・フォーエヴァー』は,70年代ジャズフュージョンの“最高傑作”にして,チック・コリアの“最高傑作”である(これは言い過ぎ? ←逃げ道が必要かも?)。

 『リターン・トゥ・フォーエヴァー』には,あの時代だからこそ感じるインパクトが底辺に流れているし,ジョー・ファレルスタンリー・クラークアイアート・モレイラフローラ・プリムのあのメンバーがいて,エレクトリックへ流れつつもアコースティックも捨てきれない楽器の流行があって,そしてフュージョン直前のフリージャズの興隆があっての大名盤

 でもでも『リターン・トゥ・フォーエヴァー』が仮に明日発売されたとしたら,2014年の耳をしても年度代表“カモメ”になるに違いない! 全ての成功は,時代を超えるチック・コリアの“天才”にあるように思うのだ。

 事実『リターン・トゥ・フォーエヴァー』の全4曲中の3曲【CRYSTAL SILENCE】【WHAT GAME SHALL WE PLAY TODAY】【SOMETIME AGO〜LA FIESTA】はチック・コリアの現役のレパートリー! ねっ,時代を超えているでしょう?
 だから管理人は『リターン・トゥ・フォーエヴァー』は“チック・コリア名盤派”なのです。

 さて,管理人が『リターン・トゥ・フォーエヴァー批評で一番に語りたいのは“チック・コリア名盤派”云々などではない。
 上記,名曲として記した全4曲中の3曲から外れた【RETURN TO FOREVER】の「特異な魅力」についてである。

RETURN TO FOREVER-2 なぜ大名盤リターン・トゥ・フォーエヴァー』の全4曲の名曲中,タイトル・トラックである【RETURN TO FOREVER】だけが演奏されないのだろう?

 それこそ【RETURN TO FOREVER】が圧倒的な大名演だからである。目の前に本物の“カモメ”が舞い降りる普通では感じ得ない感覚がある。
 エレクトリックアコースティック,優美な演奏とテクニカルな演奏が同じ時間軸で鳴っている。幻想的なエレピ,優しいフルート,プリミティブなフローラ・プリムのあの声が,トロトロに溶け合っていてメロウに鳴っている。
 聴いていると,曲と曲の境目が分からなかったり,何曲目を聴いているのか分からなかったり。世の中の色々な境界線がぼやけていきそうな,精神世界のようであり,アンビエントのようでもあり,不思議な浮遊体験のようでもある。

 そう。『リターン・トゥ・フォーエヴァー』こそが,70年代ジャズフュージョンの“最高傑作”である。
 『リターン・トゥ・フォーエヴァー』の全4曲(特に【RETURN TO FOREVER】が)“再現不能な高みの極み”に達している。

 ライブでは表現しきれないスタジオ・ワークと“天才”チック・コリアの余裕から生まれた「快楽の泉」。
 『リターン・トゥ・フォーエヴァー』を「最高の音楽」と呼称する!

  01. RETURN TO FOREVER
  02. CRYSTAL SILENCE
  03. WHAT GAME SHALL WE PLAY TODAY
  04. SOMETIME AGO〜LA FIESTA

(ECM/ECM 1972年発売/POCJ-9044)
(ライナーノーツ/油井正一)
(紙BOXセット仕様)
(☆ARTON盤仕様)

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