
チック・コリアの大ファンの皆さん,ごめんなさい。しかし,チック・コリアの大ファンの皆さんと同じ立場をして,この発言であることをご容赦ください。
チック・コリアは素晴らしいのです。アヴィシャイ・コーエンのような“天才”をまたもや発掘したのだから凄い眼力の持ち主に違いないのです。
思うに,きっと読者の皆さんもチック・コリアのように感じた瞬間がありませんか? つまりアヴィシャイ・コーエンの「ベース主導」のアンサンブルに身を委ねてしまいたくなるような…。
正直,管理人はアヴィシャイ・コーエンの“天才肌”が苦手です。ベーシストとしてのアヴィシャイ・コーエンはそれなりに好きなのですが「ベース主導」のアヴィシャイ・コーエンの音楽性,彼の世界観がいまいち肌に合わないんだよなぁ。
ゆえに『アダマ』もチック・コリアとブラッド・メルドー目当てで購入。しかし『アダマ』を聴いているうちに,自然とチック・コリアやブラッド・メルドーではなく,アヴィシャイ・コーエンのベースばかりを耳で追う自分に気付く。
そう。アヴィシャイ・コーエンはジャズの枠を飛び越えた多彩なプレイのベーシスト。ベース1本で音楽を感じさせてくれる。
いや〜,参ったなぁ。流石に“チック・コリアを袖にした”ベーシストだけのことはあるよなぁ。とにかく「凄いヤツが出てきたな」。そんな感想で頭が一杯になってしまうのである。
まぁ,こんなことはたまにある。繰り返し聴き込んでいくにつれ,徐々に音楽が評価が定まってくる。はずなのだったが…。

そんな“フワフワ”とした感覚の中で,管理人の頭の中に明確に浮かんだイメージこそが「チック・コリア&オリジン」であった。この無意識に「オリジン」を連想したという事実は管理人にとって,とてつもなく大きく重い一大事。
もはや自分の中で「オリジン」というバンドは,チック・コリアのバンドではなくアヴィシャイ・コーエンのバンドになってしまった。
“チック・コリアを袖にした”結果,ジャズの表舞台から姿を消したアヴィシャイ・コーエンであったが,今やアヴィシャイ・コーエンの大復活! アヴィシャイ・コーエンが覇権を握り“ヴイヴイ”言わす時代が10年がかりで到来した!
それくらいのメガトン・パンチ=『アダマ』恐るべし! アヴィシャイ・コーエン恐るべし!
01. Ora
02. Madrid
03. Bass Suite #1
04. Reunion of the Souls
05. Dror
06. No Change
07. Bass & Bone Fantasy
08. Adama
09. Bass Suite #2
10. Besame Mucho
11. Gadu
12. Ace of Bass
13. When I Fall in Love
14. Jasonity
(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 1998年発売/MVCL-24007)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
(ライナーノーツ/小川隆夫)