
『CRYSTAL SILENCE』は“COOL”。『DUET』は“HOT”。
そうして「ジャズ・デュエットの金字塔」な1枚『IN CONCERT,ZURICH,OCTOBER 28,1979』(以下『イン・コンサート』)は“VERY HOT”! いいや,時折,スタジオ録音を思わせるくらいに“VERY COOL”!
最高の舞台を得て“シンクロしまくる”チック・コリアとゲイリー・バートンが,どこまでもどこまでも昇りつめる! ここまで合いまくるパートナーを目の前にして,思うがままに自由に跳ねまくる!
もう何を演っても,どう演っても合ってしまう。どうしようもなく合ってしまう。シンクロするつもりがないのに“シンクロしてしまう”。真に恐ろしいライブ録音である。
1979年10月28日のチューリッヒの夜。チック・コリアとゲイリー・バートンには,信頼関係と音楽的な合意が存在していた。
2人の頭脳に全く同じイメージが浮かび上がり,全く同じイメージでアウトプットしている。出ている音に違いがあるのはピアノとヴィヴラフォンという楽器特性の違いである。

ただしそれは「美辞麗句」が連なる「最高の賛辞」を有した世界中のジャズ評論家たちによって,すでに徹底的な検証作業がなされてきた…。
管理人が『イン・コンサート』について語ることができるのは,チック・コリアとゲイリー・バートンは,あの夜“双子”のようであった,ということだけである。天国での再会を先取りしていた,ということだけである。
『イン・コンサート』について凡人が語れることはただそれだけである。次元が違いすぎる「歴史的な超・超・名盤」。
01. SENOR MOUSE
02. BUD POWELL
03. CRYSTAL SILENCE
04. TWEAK
05. FALLING GRACE
06. MIRROR, MIRROR
07. SONG TO GAYLE
08. ENDLESS TROUBLE, ENDLESS PLEASURE
(ECM/ECM 1980年発売/POCJ-2021)
(ライナーノーツ/本多俊夫)
(ライナーノーツ/本多俊夫)
コメント一覧 (2)
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しかし、これだけ推薦されれば聞かないわけにはいきませんね。
チック・コリア&ゲイリー・バートンのデュオは全てが大名盤でして,何度聴いてもため息がでるくらいなのですが,個人的にはスタジオ盤だと思ってしまう完璧なシンクロなのにライブでの興奮状態でトランスしている『イン・コンサート』が,頭一つ抜きん出ています。
でもこう思えるのも『CRYSTAL SILENCE』→『DUET』の流れがあればこそ。この3枚はリリース順通りに聴いてこそ,何倍も楽しめるように思います。