TKY-1 「TKY」とは,TOKUのT,日野賢二のK,小沼ようすけのY。

 それぞれソロデビューから約5年。すでにジャズフュージョン・シーンを牽引すべきビッグネームとなり,ジャズメンとしての一層の飛躍を迎えた時期に,敢えて「ソロ封印」の“スーパー・セッション”がアルバム・タイトル=『TKY』。

 『TKY』が実に“荒々しい”。TOKUなんてソフト&メローなジャズで売り出していたので『TKY』の“汚れた”サウンドに腰を抜かした。

 野生である。ワイルドである。音と音がぶつかり合う「肉弾戦」である。とにかく「やったもん勝ち」の“スーパー・セッション”!
 生々しいライブ感に満ちた激しくぶつかり合いながらも「湯気」を放ちながら高みへと向かっていく。演奏の「熱量」が目に見えるような“スーパー・セッション”!

 『TKY』は,ジャズというよりJAMであって,伝えるべきは“洗練された現代のファンキー”である。
 「TKY」のノリと興奮がストレートに伝わってくる。「TKY」のジャムる喜びがビンビンに伝わってくる。若者の体内からとめどもなく湧き上がる無尽蔵のパワーに圧倒される。“イケイケドンドン”のアドリブの音圧に圧倒される。勢い一発で押し倒されそうに感じる瞬間がある。

 もう“脳味噌ぐじゃぐじゃ級”のファンキー・ジャズ名演の連続なのだが,特に長尺の2トラック【ACTUAL PROOF】と【AS ALLURE】が最高にエキサイティング。10分超えの大曲にして,怒涛の疾走感が「もっともっと」で盛り上がり続ける。

 主にTOKUと共演してきた秋田慎治キーボードと,主に小沼ようすけと共演してきた大槻“KALTA”英宣ドラムが,日野“JINO”賢二との共演で“野獣”と化している! 生きている!
 主役である「TKY」と“同格”で鳴るキーボードドラムがあってこその“スーパー・セッション”の誕生である。

TKY-2 不思議なことだが『TKY』におけるTOKUこそが“TOKU”であり『TKY』における日野賢二こそが“日野賢二”であり『TKY』における小沼ようすけこそが“小沼ようすけ”の感がある。

 『TKY』で聴こえるトランペットが,ベースが,ギターが,各自のリーダー・アルバムで聴こえる以上にアグレッシブであって,各自のアイデンティティが色濃く出ている。

 そう。『TKY』の真実とは,5人が「ソロ封印」&バンド形式のスタイルをとって集まっただけの非バンド。「喰うか食われるか」の白熱のセッション・アルバム。
 『TKY』は,TOKUソロ・アルバムであり,日野賢二ソロ・アルバムであり,小沼ようすけソロ・アルバムであり,秋田慎治の代表作であり,大槻“KALTA”英宣の代表作なのである。

  01. TKY 〜introduction〜
  02. ACTUAL PROOF
  03. SNARL
  04. JUST FOR FUN!
  05. REMINISCENCE 〜回想〜
  06. as allure
  07. TALKING LOW
  08. 0079
  09. TKY

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