
『EXPRESSION』で“つまずいた身”としては『ソロ・ピアノ パート2〜スタンダード』の方が敷居が高い。こちらとしても【SPAIN】【WHAT GAME SHALL WE PLAY TODAY】のように気楽に聴くわけにはいかない。
だから批判の多かった『オリジナル』と『スタンダード』の「2枚組ではなく別売り」は個人的には望むところであった。
『パート1〜オリジナル』以上に気合いを入れて向き合った『パート2〜スタンダード』の結論は,当たりであった。
『EXPRESSION』と『スタンダード』の比較になるが『EXPRESSION』はチック・コリアの「アコースティック・ジャズへの回帰」を提示した“焼き直し”のアルバムであったが『ソロ・ピアノ パート2〜スタンダード』は「ジャズ・スタンダードの未来」を提示する“新解釈”のアルバムである。
そう。『ソロ・ピアノ パート2〜スタンダード』は“新解釈”のビ・バップが目白押し。スタンダード・ナンバーからのインスピレーションをテーマとしたアドリブが中心であって「解体と再構築」風のアプローチは採っていない。原曲の精髄はそのままに自らの音楽に昇華すべく意を砕いている。
バド・パウエルとセロニアス・モンクからの影響を感じさせるセオリーに沿ったアドリブが,却って「THIS IS CHICK COREA」を強烈に感じさせる演奏に仕上がっている。

既存の様式から解放されたペダルの使い方,音の切り方,そして音の残像と余韻,イマジネーション…。そのどれをとってもチック・コリアらしい創造性に溢れたジャズ・ピアノであり,ソロ・ピアノである。
そう。『パート1〜オリジナル』以上に,チック・コリアのオリジナリティを感じるのが『パート2〜スタンダード』。
きっとチック・コリアは,ジャンルにこだわらない全方位型の“天才”ピアニストではないのだと思う。チック・コリアは“根っからの”ジャズの人なのだと思う。 ← 『SOLO PIANO−ORIGINALS』批評との矛盾。
01. Monk's Dream
02. But Beautiful
03. Blue Monk
04. Ask Me Now
05. Thinking Of You
06. Yesterdays
07. Dusk In Sandi
08. It Could Happen To You
09. 'Round Midnight
10. So In Love
11. How Deep Is The Ocean
12. Oblivion
13. Brazil
14. Trinkle Tinkle
(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 2000年発売/MVCL-24024)
(ライナーノーツ/チック・コリア,小川隆夫)
(ライナーノーツ/チック・コリア,小川隆夫)