RENDEZVOUS IN NEW YORK-1 『RENDEZVOUS IN NEW YORK』(以下『ランデヴー・イン・ニューヨーク』)は,チック・コリアの音楽生活40周年を記念して,2001年12月にニューヨークブルーノートで行なわれた3週間連続公演のハイライトを記録した「超豪華」2枚組みスペシャル・ライブ盤。

 プログラムは収録順に,ボビー・マクファーリンとのデュオミロスラフ・ヴィトウスロイ・ヘインズとによるナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブストリオロイ・ヘインズクリスチャン・マクブライドジョシア・レッドマンテレンス・ブランチャードとによるリメンバリング・バド・パウエルバンドゲイリー・バートンとのデュオジョン・パティトゥッチデイブ・ウェックルとによるアコースティック・バンドアヴィシャイ・コーエンジェフ・バラードスティーヴ・ウィルソンスティーヴ・デイヴィスティム・ガーランドとによるオリジンゴンサロ・ルバルカバとのデュオアヴィシャイ・コーエンジェフ・バラードとによるニュー・トリオマイケル・ブレッカースティーヴ・ガッドエディ・ゴメスとによるスリー・カルテッツバンド。(日本盤ボーナス・トラックとしてチャカ・カーンをゲストに迎えたニュー・トリオの演奏も収録)。

 チック・コリアは,当初「過去を振り返るようなリユニオンはやりたくない」とこの企画を断った,とライナーノーツに書かれているが『ランデヴー・イン・ニューヨーク』を聴く限り,他の誰よりもチック・コリアが一番この演奏を楽しんでいる!
 全ての主演者,関係者,観客からの祝福を受けたチック・コリアさん,音楽生活40周年おめでとうございます!

 チック・コリアが『ランデヴー・イン・ニューヨーク』でのスペシャル・ライブを楽しんだ最大の理由は,それぞれの経験を糧にしたフレンズたちとの「新感覚のコミュニケーション」にあると思う。
 それぞれのユニット毎に,そのユニットでの代表曲を演奏しているのだが,単なる過去の焼き直しでは終わらない,斬新なアレンジで歌い上げるチック・コリアの極上のピアノが響いている。

 『ランデヴー・イン・ニューヨーク』は,スペシャル・ライブの性質上,チック・コリアの“音楽性の広さ”を堪能するためのプロジェクトであるが,どの演奏にもグッと来てしまう“音楽性の深いつながり”も感じられる。
 やっぱりチック・コリアこそが「ジャズフュージョン」界の“スーパー・スター”であった。

 『ランデヴー・イン・ニューヨーク』を聴いていると,何だか『ランデヴー・イン・ニューヨーク』がダイジェスト盤のように感じてくる。この後に発売される「本編プロモーションのための予告編」のように思えてくる。
 そう。『ランデヴー・イン・ニューヨーク』における「チック・コリア・オールスターズ」の“演り逃げ”を聴かされては,到底満足などできやしない。2枚組では足りないのだ。1ユニット1曲か2曲では欲求不満を覚えてしまう。あの3週間連続公演のコンプリート盤を渇望してしまう。

RENDEZVOUS IN NEW YORK-2 いいや,そもそも『ランデヴー・イン・ニューヨーク』は,チック・コリアの40年のキャリアを総括する,真のコンプリート盤には成り得ない。
 今回のプロジェクトから,リターン・トゥ・フォーエヴァーエレクトリック・バンドの「チック・コリアの2本柱」が抜け落ちている。

 そう。『ランデヴー・イン・ニューヨーク』は「超豪華」盤に違いないけれども『ランデヴー・イン・ニューヨーク』のCD帯にある「史上最強夢のアルバム!!」のキャッチ・コピーは早過ぎた。
 チック・コリアなら『ランデヴー・イン・ニューヨーク』より“もっと広く”『ランデヴー・イン・ニューヨーク』より“もっと深い”スペシャル・ライブが実現できる。

 「ジャズフュージョン」界で「史上最強夢のアルバム!!」を制作できる,有資格者はチック・コリアだけなのですから…。

  DISC 1
  <CHICK COREA & BOBBY McFERRIN DUET>
  01. ARMANDO'S RHUMBA
  02. BLUE MONK
  03. CONCIERTO DE ARANJUEZ / SPAIN
  <NOW HE SINGS, NOW HE SOBS TRIO (CHICK
  COREA, ROY HAYNES & MIROSLAV VITOUS)
>
  04. MATRIX
  <REMEMBERING BUD POWELL BAND (CHICK
  COREA, ROY HAYNES, JOSHUA REDMAN,
  TERENCE BLANCHARD & CHRISTIAN McBRIDE)
>
  05. GLASS ENCLOSURE / TEMPUS FUGIT
  <CHICK COREA & GARY BURTON DUET>
  06. CRYSTAL SILENCE
  <CHICK COREA AKOUSTIC BAND (CHICK COREA,
  DAVE WECKL & JOHN PATITUCCI)
>
  07. BESSIE'S BLUES

  DISC 2
  <CHICK COREA AKOUSTIC BAND (CHICK COREA,
  DAVE WECKL & JOHN PATITUCCI)
>
  01. AUTUMN LEAVES
  <ORIGIN (CHICK COREA, AVISHAI COHEN, JEFF
  BALLARD, STEVE WILSON, STEVE DAVIS & TIM
  GARLAND)
>
  02. ARMANDO'S TANGO
  <CHICK COREA & GONZALO RUBALCABA DUET>
  03. CONCIERTO DE ARANJUEZ / SPAIN
  <CHICK COREA NEW TRIO (CHICK COREA, AVISHAI
  COHEN & JEFF BALLARD)
>
  04. LIFELINE
  <THREE QUARTETS BAND (CHICK COREA, MICHAEL
  BRECKER, EDDIE GOMEZ & STEVE GADD)
>
  05. QUARTE NO. 2, PART I
  <CHICK COREA NEW TRIO (CHICK COREA, AVISHAI
  COHEN & JEFF BALLARD WITH SPECIAL GUEST
  CHAKA KHAN)
>
  06. HIGH WIRE

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 2003年発売/UCGU-7008/9)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/チック・コリア,ドン・ヘックマン,小川隆夫)

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