
【HUMPTY DUMPTY】【THE ONE STEP】【WINDOWS】【MATRIX】【QUARTET #2 PT.1】【SICILY】【SPAIN】。このチック・コリアの代表曲がズラリと並んだ収録曲を目にしただけで“買い”である。
名曲が最高の演奏で奏でられることが二重の意味で保証された『スーパー・トリオ』。こんな名盤が,なぜだか「日本限定発売」の曰くつき〜。
聴いてみて,ハハーンである。『スーパー・トリオ』の真実とは,チック・コリアの“マニアックなコレクター盤”。正直,世界発売をする内容ではなかった。
当然ながら,チック・コリアのピアノ,スティーヴ・ガッドのドラム,クリスチャン・マクブライドのベースうち,たった1人でも加わればマジックが起きてしまうのだから,そんな名手が3人揃ったライブ盤が悪いはずがない。
『スーパー・トリオ』には,事実,チック・コリアの弾いた,オーソドックスなアプローチからのフリーな展開をフュージョンっぽく響かせる即興“マジック”演奏の瞬間が記録されている。
事実,スティーヴ・ガッドが叩いた,4ビートと8ビートと16ビートのシャッフル即興“マジック”演奏の瞬間が記録されている。
事実,クリスチャン・マクブライドが弾いた,野太いベースによる即興“マジック”演奏の瞬間が記録されている。
ただし,この3人が同時に揃うのであれば「神レベル」のピアノ・トリオを身勝手ながら想像してしまう。未体験のピアノ・トリオを予想するだけで,涎が垂れてくる。
リスナーが納得しない&満足しない理由は『スーパー・トリオ』が「神レベル」に達していないからであって,普通に聴けば“極上の”ピアノ・トリオのライブ盤に違いない。その意味で名盤『スーパー・トリオ』は“買い”で間違いない。
管理人が『スーパー・トリオ』に,ハハーン,の不満を感じるのは演奏面でのことではない。
ズバリ,ラストに【SPAIN】を入れた編集姿勢に対してである。人気の【SPAIN】を入れたのは「日本向け営業」の最たるものである。【SPAIN】の,特に引っ掛かりのない演奏を,ただアルバムを“売りたいがために”フェードアウトさせてまで入れている。

チック・コリア,スティーヴ・ガッド,クリスチャン・マクブライドによる水準以上の名演が6曲続くも,最後の最後で落とされたようで毎回興醒めしてしまう。何なんだ〜,この営業至上主義のダメダメ編集〜。
そんな“眉唾物”の『スーパー・トリオ』が「スイングジャーナル」誌主催2006年度のジャズ・ディスク大賞【金賞】受賞って何なんだ〜,この営業至上主義のジャズ・ディスク大賞〜。
日本だったら売れる。ネーム・バリューだけで売れる。収録曲だけで売れる。「スイングジャーナル」誌も売るのを手伝ってくれる…。そんな「日本限定発売」の『スーパー・トリオ』だが,管理人は出せば世界でも売れると思っている。
だってチック・コリア・マニアなら,このメンバーにしてこの選曲,絶対に聴いてみたくなるんだもん!
01. Humpty Dumpty
02. The One Step
03. Windows
04. Matrix
05. Quartet #2 Pt.1
06. Sicily
07. Spain
(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 2006年発売/UCCJ-3014)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
コメント一覧 (2)
久々にまた興奮の嵐でした。
管理人さんの言う通り、このメンバーときたら買わないわけにはいきません。その道のスペシャリストが一堂に会したわけですよ。
史上最も豪華なJazz Trioだと思います。
正直なところ私はあまり『Spain』には思い入れはないのです。けどLive盤のくせにフェードアウトという部分はやっぱり何か頂けないですね笑
けどそんな気持ちも一瞬で吹っ飛びました。なんだって、あんなスリリングな『Humpty Dumpty』と『Sicily』が聴けたんですから!
【HUMPTY DUMPTY】と【SICILY】。よだれがたれてくらいの名演ですよねっ。
こんなオールスターなピアノ・トリオで弾いたらそのテイクが決定版になってしまいますので,もう少し手加減してほしかったです。オリジナルを取るかスーパー・トリオを取るかで悩んでしまいそうです。
本当は【SPAIN】なしで発売してほしかったと思います。