この記事は「スーパートリビア」の「グラミー賞 ジャズ部門」との連動記事です。
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
実は2000年辺りからのチック・コリアのリリース・ラッシュに微妙な思いを持っていた。
数カ月に1枚のリリース間隔も異例なら,そのほとんどが2枚組(中には6枚組)。何だか「音楽の大量生産品」→「大量消費」のような気分がして(管理人は1枚のアルバムを聴き込みたい派!)そんなチック・コリアのスタンスが嫌いだった。
出せば売れると分かっていても,自分で納得が行かないものは世に出そうとしないキース・ジャレットを見倣ってくれ〜。
それでも買い続けてしまったのは,やはりチック・コリアが“天才”だったわけで,過去の焼き直しの企画物にはげんなりしつつも,最後には称賛してしまう。並みのジャズメンなら「生涯の代表作」と呼ばれるようなハイレベルなアルバムを数カ月おきにリリースするのだからチック・コリアは真に“怪物”である。
チック・コリアさん,こうなったら何でも買いますからどんどんリリースしてくださ〜い。
これは最近になって思うようになったのだが,チック・コリアの幅広い“カメレオンな”音楽性って,スタイルを次々と変えていった“帝王”マイルス・デイビスの手法と同じかも〜。
違うのはマイルス・デイビスの場合は,出したら終わり&やめたら終わりで,決して焼き直しはしなかったこと。チック・コリアの場合は,過去の傑作を磨き続けたくなる修正能力に長けていることであろう。
う〜む。何だか批判するつもりが称賛してしまったのだが,それは管理人の気分が上がっているから!
今夜は『FIVE PEACE BAND LIVE』(以下『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』)批評なのです。チック・コリア&ジョン・マクラフリンが組んだスーパー・ライブ盤なのです。
怒涛のリリース・ラッシュの中,ついにチック・コリアが本音でアルバムをリリースしてくれた思いがしたのだコレ! 管理人のハートが“鷲掴み”されたのがコレ! 管理人はチック・コリアに『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』のような「イチからの新作」を待っていた!
“オール・スター・スーパー・バンド”「ファイヴ・ピース・バンド」のスーパー・ライブを聴いて腰を抜かしそうになった。何なんだ,このダイナミズムわ。「生きの良いバンド・サウンド」ではないかっ。
チック・コリアのピアノ&キーボードとジョン・マクラフリンのギターの音の何とも瑞々しいこと! 70代のレジェンド2人が20代の頃のようなパワフルな高速フレーズで空間を埋め尽くしていく! 凄んごい! 最高にカッコいい!
『ビッチェズ・ブリュー』セッションの再現を聴いているかのような大興奮&ガッツポーズ状態。特に1曲目【RAJU】が流れ出すと同時に放出されるアドレナリンが丸1ケ月は分泌されていた記憶がある。
本題はここからである。『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』の大興奮が少し落ち着いた頃,2度目の『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』熱に襲われた。
今度はケニー・ギャレットのアルト・サックスであった。『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』を聴き込んでいくにつれ,このセッション全てはケニー・ギャレットのために企画されている,と感じるようになった。
ケニー・ギャレットはソロになってからも大好きだけど,管理人のお気に入りはマイルス・バンド在籍時のケニー・ギャレットである。
ゆえに“電化マイルスっぽい”「ファイヴ・ピース・バンド」は相性チリバツ! ケニー・ギャレットがアルト・サックスを吹けば,チック・コリアもジョン・マクラフリンも「ケニー・ギャレット・バンド」のサイドメンに成り下がってしまったかのように感じてしまった。
マイルス・デイビスが“睨みをきかせていた”当時のマイルス・バンドの雰囲気が「ファイヴ・ピース・バンド」から漂い出ている。
「ファイヴ・ピース・バンド」の強烈なリズムの波間を“自由に泳ぎまくる”ケニー・ギャレットが神!
正しく「ジョン・コルトレーンとウェイン・ショーターを足して2で割ったような」アルト・サックスの吹きっぷりが“エレクトリック・ジャズ”!
チック・コリアの“待望の新企画”『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』の聴き所は,巷で語られているような,チック・コリア&ジョン・マクラフリンの40年振りの共演だとか,思い出の【IN A SILENT WAY〜IT’S ABOUT THAT TIME】とか,ハービー・ハンコックの飛び入りなどではない。
『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』のハイライトは“コマーシャリズムを越えた”エレクトリック・ジャズ”である。
チック・コリア&ジョン・マクラフリンが,ケニー・ギャレット在籍時のマイルス・バンドにサイドメンとして40年振りに参加した「ファイヴ・ピース・バンド」が最高にクリエイティブ!
チック・コリアさん,来年も「ファイヴ・ピース・バンド」の新作をお願いします。出せば何でも買いますからどんどんリリースしてくださ〜い。
DISC 1
01. RAJU
02. THE DISGUISE
03. NEW BLUES, OLD BRUISE
04. HYMN TO ANDROMEDA
DISC 2
01. DR. JACKLE
02. SENOR C.S.
03. IN A SILENT WAY〜IT'S ABOUT THAT TIME
04. SOMEDAY MY PRINCE WILL COME
CHICK COREA & JOHN MCLAUGHLIN FIVE PEACE BAND
CHICK COREA : Piano, Keyboards
JOHN McLAUGHLIN : Guitar
KENNY GARRETT : Saxophone
CHRISTIAN McBRIDE : Acoustic Bass, Electric Bass
VINNIE COLAIUTA : Drums
寛大さは報われる(コ二8:1-9:15)
和泉宏隆 『WIDE & FULL』
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
Category 48 - Best Jazz Instrumental Album, Individual or Group ; Five Peace Band - Live / Chick Corea & John McLaughlin Five Peace Band

数カ月に1枚のリリース間隔も異例なら,そのほとんどが2枚組(中には6枚組)。何だか「音楽の大量生産品」→「大量消費」のような気分がして(管理人は1枚のアルバムを聴き込みたい派!)そんなチック・コリアのスタンスが嫌いだった。
出せば売れると分かっていても,自分で納得が行かないものは世に出そうとしないキース・ジャレットを見倣ってくれ〜。
それでも買い続けてしまったのは,やはりチック・コリアが“天才”だったわけで,過去の焼き直しの企画物にはげんなりしつつも,最後には称賛してしまう。並みのジャズメンなら「生涯の代表作」と呼ばれるようなハイレベルなアルバムを数カ月おきにリリースするのだからチック・コリアは真に“怪物”である。
チック・コリアさん,こうなったら何でも買いますからどんどんリリースしてくださ〜い。
これは最近になって思うようになったのだが,チック・コリアの幅広い“カメレオンな”音楽性って,スタイルを次々と変えていった“帝王”マイルス・デイビスの手法と同じかも〜。
違うのはマイルス・デイビスの場合は,出したら終わり&やめたら終わりで,決して焼き直しはしなかったこと。チック・コリアの場合は,過去の傑作を磨き続けたくなる修正能力に長けていることであろう。
う〜む。何だか批判するつもりが称賛してしまったのだが,それは管理人の気分が上がっているから!
今夜は『FIVE PEACE BAND LIVE』(以下『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』)批評なのです。チック・コリア&ジョン・マクラフリンが組んだスーパー・ライブ盤なのです。
怒涛のリリース・ラッシュの中,ついにチック・コリアが本音でアルバムをリリースしてくれた思いがしたのだコレ! 管理人のハートが“鷲掴み”されたのがコレ! 管理人はチック・コリアに『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』のような「イチからの新作」を待っていた!
“オール・スター・スーパー・バンド”「ファイヴ・ピース・バンド」のスーパー・ライブを聴いて腰を抜かしそうになった。何なんだ,このダイナミズムわ。「生きの良いバンド・サウンド」ではないかっ。
チック・コリアのピアノ&キーボードとジョン・マクラフリンのギターの音の何とも瑞々しいこと! 70代のレジェンド2人が20代の頃のようなパワフルな高速フレーズで空間を埋め尽くしていく! 凄んごい! 最高にカッコいい!
『ビッチェズ・ブリュー』セッションの再現を聴いているかのような大興奮&ガッツポーズ状態。特に1曲目【RAJU】が流れ出すと同時に放出されるアドレナリンが丸1ケ月は分泌されていた記憶がある。
本題はここからである。『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』の大興奮が少し落ち着いた頃,2度目の『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』熱に襲われた。
今度はケニー・ギャレットのアルト・サックスであった。『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』を聴き込んでいくにつれ,このセッション全てはケニー・ギャレットのために企画されている,と感じるようになった。
ケニー・ギャレットはソロになってからも大好きだけど,管理人のお気に入りはマイルス・バンド在籍時のケニー・ギャレットである。
ゆえに“電化マイルスっぽい”「ファイヴ・ピース・バンド」は相性チリバツ! ケニー・ギャレットがアルト・サックスを吹けば,チック・コリアもジョン・マクラフリンも「ケニー・ギャレット・バンド」のサイドメンに成り下がってしまったかのように感じてしまった。
マイルス・デイビスが“睨みをきかせていた”当時のマイルス・バンドの雰囲気が「ファイヴ・ピース・バンド」から漂い出ている。

正しく「ジョン・コルトレーンとウェイン・ショーターを足して2で割ったような」アルト・サックスの吹きっぷりが“エレクトリック・ジャズ”!
チック・コリアの“待望の新企画”『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』の聴き所は,巷で語られているような,チック・コリア&ジョン・マクラフリンの40年振りの共演だとか,思い出の【IN A SILENT WAY〜IT’S ABOUT THAT TIME】とか,ハービー・ハンコックの飛び入りなどではない。
『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』のハイライトは“コマーシャリズムを越えた”エレクトリック・ジャズ”である。
チック・コリア&ジョン・マクラフリンが,ケニー・ギャレット在籍時のマイルス・バンドにサイドメンとして40年振りに参加した「ファイヴ・ピース・バンド」が最高にクリエイティブ!
チック・コリアさん,来年も「ファイヴ・ピース・バンド」の新作をお願いします。出せば何でも買いますからどんどんリリースしてくださ〜い。
DISC 1
01. RAJU
02. THE DISGUISE
03. NEW BLUES, OLD BRUISE
04. HYMN TO ANDROMEDA
DISC 2
01. DR. JACKLE
02. SENOR C.S.
03. IN A SILENT WAY〜IT'S ABOUT THAT TIME
04. SOMEDAY MY PRINCE WILL COME
CHICK COREA & JOHN MCLAUGHLIN FIVE PEACE BAND
CHICK COREA : Piano, Keyboards
JOHN McLAUGHLIN : Guitar
KENNY GARRETT : Saxophone
CHRISTIAN McBRIDE : Acoustic Bass, Electric Bass
VINNIE COLAIUTA : Drums
(ユニバーサル・ジャズ/UNIVERSAL JAZZ 2009年発売/UCCJ-3021/2)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/チック・コリア,ジョン・マクラフリン,工藤由美)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/チック・コリア,ジョン・マクラフリン,工藤由美)
寛大さは報われる(コ二8:1-9:15)
和泉宏隆 『WIDE & FULL』
コメント一覧 (2)
Milesバンド卒業生は全員変態ですね←偏見
管理人さんの評論でこのCDの購入を決めたのですが「Raju」は、ずば抜けてカッコいいですね。
高度なユニゾン、入り組みまくるメロディーライン、裏か表か分からなくなるソロ回し。
どの部分も最高ですね。
管理人さんの絶賛するKenny Garrettは今回初めて聴いたのですが、管理人の言う「アドレナリンが丸一カ月は分泌されていた記憶がある」が共感出来ました。
この「霞んだ」音がクセになりますねっ
「Milesバンド卒業生は全員変態」は偏見ではなく事実ですねっ。
この「ファイヴ・ピース・バンド」も卒業生5分の3で結成された変態バンドであります。
【Raju】。ずば抜けてカッコいいですよねっ。「裏か表か分からなくなるソロ回し」。そうそう。
ケニー・ギャレットは初めてでしたか? ドム男さんもそのうち絶対に外せなくなることと思います!